カルデロンさん両親強制退去 :2009.4.15
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強制退去処分を受けたカルデロンさん夫婦が、在留特別許可を得た長女を
日本に残し13日にフィリピンに帰国した。
この出来事はしばらく前からよく新聞等で報道されていた。経緯を振り返ると
次の通り。(asahi.comより)
夫妻は92〜93年、出稼ぎのため、それぞれ他人名義のパスポートで
不法入国。日本で結婚し、のり子さんが生まれた。
06年にサラさんの逮捕をきっかけに国外退去処分となり、08年9月に
最高裁で処分が確定した。その後、改めて在留特別許可を求めていた。
偽造旅券で入国した経緯から、法務省は両親の在留を認めなかった。
のり子さんについては「日本で勉強を続けたい」という希望と近親による
養育環境を確認し、在留を許可した。
日本で生まれ、日本で育った中学生の女の子が不幸な状態に陥っている。
両親が強制的に帰国させられ、両親と別れて暮らさなければならない状況が
彼女の心に大きな傷を残すことは間違いない。こんなことがあってはならない。
一方で、不法入国なのだから、強制退去は当然だという声もある。法律を
守るという点からはそうすべきなのだろう。
ではこのままで良いのだろうか。法律を守ったら子供が不幸になる。そんな
ことなら何のための法律なのだ。
今のままなら法律に対する信頼感が失われてしまう。不法入国を防ぎ、罰する
規定と、両親と離れて暮らさざるを得ない状態を打ち破ることの両立が必要だ。
法律家は知恵を出さなくてはいけない。
法務省によると、2009年1月1日現在、不法残留者数は11万3,072人であり,
1年前に比べ3万6,713人(24.5%)減少している、とのことである。
国別では、下記のように、韓国、中国、フィリピンからの人が多い。
@ 韓 国 24,198人 〈構成比 21.4%〉
A 中 国 18,385人 〈 〃 16.3%〉
B フ ィ リ ピ ン 17,287人 〈 〃 15.3%〉
C タ イ 6,023人 〈 〃 5.3%〉
D 中 国 ( 台 湾 ) 4,950人 〈 〃 4.4%〉
E ペ ル ー 3,396人 〈 〃 3.0%〉
F イ ン ド ネ シ ア 3,126人 〈 〃 2.8%〉
G マ レ ー シ ア 2,986人 〈 〃 2.6%〉
H ス リ ラ ン カ 2,796人 〈 〃 2.5%〉
I ベ ト ナ ム 2,527人 〈 〃 2.2%〉
そ の 他 27,398人 〈 〃 24.2%〉
「平成16年からの5年間で,不法滞在者を半減させる。」とした政府目標があった
らしい。平成20年末に平成16年初めから48.5%減少した。半減を目指して
特に平成20年の減少率が大きかったが、半減には至らなかった。
こういったことも背景にあって、不法滞在者の強制退去を進めているため
今回の件も例外的に扱われることがなかったのだろう。
不法滞在者が減っていること自体は望ましいことなのだが、帰国した人たちの
中には、きっと不幸な人たちが大勢いるに違いない。
いったい何のために不法滞在者を減らそうとしているのだろう。私たちももう一度
そこから考え直さないといけないのではないだろうか。