ベネズエラ :2008.12.7
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 11月15日の勉強会で、
 「中南米で社会主義の道を採る国が5カ国現れている。ただ、ベネスエラのチャベス
  大統領が憲法を変えて自らの再選を可能にしようとするような危うい動きもある」
 との内容の話があった。

 外務省のHPで見ると、大統領の再選制限の撤廃を盛り込んだ憲法改正案の国民
 投票を行ったが、否決されたところまでは書いてあった。

 昨日の朝日新聞によると、一度否決された改正案は再度提出できない規定が憲法
 にあるが、今回は改正でなく修正だという屁理屈で再提案し、来年2月に国民投票
 を実施するつもりらしい。

 ベネズエラには複数の政党があり、改正案は野党の批判を受け、反チャベス派メデ
 ィアでは「独裁を許すな」との野党の主張を伝えているそうだ。
 野党が存在し、マスコミでの批判もある点は救われるが、現大統領が権力を握る
 期間を延ばすために憲法を改正しようとするとは言語道断だ。
 これは社会主義を目指している国だからというわけではないかもしれないが、
 社会主義が企業の国営化を指しているとすると、国家が持つ権力は資本主義国よ
 りも大きくなるので、こういう無茶を起こしやすくなる。
 社会主義イコール国営化ではないはずだ。もっと国民の多くが関わる形はないの
 だろうか。どういう形態が考えられるのか、いろんな考えがあるのだろうが、私は未だ
 知らない。現在の金融恐慌の先の形、新自由主義でない形について学んでみたい。
 

 *外務省のHPによると、ベネズエラは国の面積は日本の2.4倍、人口は2400万人。

[外務省HPより抜粋(2008年11月14日時点)]
内政
 ベネズエラでは1958年以降、二大政党による民主的な政治体制が継続してきた。
 しかし、これら二大政党は、国内の貧困問題に対して効果的な政策を実施してこな
 かったことから、低所得者層を中心に国民の不満が高まっていた。
 1999年2月、低所得者層の高い支持を得てチャベス大統領が就任し、同大統領は
 国内の貧困及び犯罪増加は過去40年間の二大政党幹部による政治、司法の私物化、
 汚職が原因であるとして、新憲法制定を始めとする抜本的な政治改革を実行した。
 2000年7月には新憲法の下、大統領、国会議員、州知事等選挙を実施し、チャベス
 大統領が再選された。
 チャベス政権の発足当初は、反政府勢力や伝統的支配層の抵抗から、チャベス大統
 領の改革は思うように進まず、2002年4月には一時暫定政権が発足するという政変劇
 が発生し、また、その年の12月には2ヶ月に及ぶ大統領の罷免を求めるゼネストが発
 生するなど政情は不安定であった。しかし、同ゼネスト後、政府はベネズエラ石油公
 社(PDVSA)を掌握し、経済活動に対する国家管理が進んだ
。その後、チャベス大統領
 は徐々に自らの支持基盤を整え、貧困層に対する支援活動を推進し、国民の高い支持
 を受けて2004年には大統領罷免国民投票で留任を勝ち取った。2005年12月の国会議
 員選挙においては、追いつめられた野党側が選挙直前に候補者を取り下げて選挙の
 正当性を否定し、反政府世論の再燃を狙ったが、結果的に国会議席を失い、国会は
 与党が議席を独占することとなった。さらに2006年12月の大統領選挙では、チャベス
 大統領が国民の圧倒的な支持を得て再選された。
 現在、チャべス大統領は「21世紀の社会主義」建設を標榜しつつ現体制の強化を進めて
 おり、その具体化のため、大統領の任期延長と再選制限の撤廃等を盛り込んだ憲法改
 正案を国会に提出。2007年12月には憲法改正国民投票が行われたが、僅差にて否決
 された。


経済概況
(1)資源
 べネズエラは、世界有数の石油産出国であり、同国経済は石油収入に大きく依存して
 いる。石油の確認可採埋蔵量は870億バレル(2007年末)と世界第6位を誇り、メキシコに
 次ぐ中南米第2位の原油生産国である。またオリノコ川北岸には超重質油(オリノコタール)
 が存在し、それが可採埋蔵量に認められた場合、埋蔵量は世界一のサウジアラビアを凌
 駕する3000億バレルに達するとも言われる。さらに天然ガスの確認埋蔵量は5.15兆立方
 メートル(2007年)と世界第8位で、この他にも鉄鉱石、ボーキサイト、金、ダイヤモンド等を
 豊富に産出する。
(2)最近の動き
 チャベス大統領は、2001年11月以降、炭化水素法、土地及び農村開発法など、国家経済
 の根幹に関わる49の法律を制定して改革を推し進めた。これに対し民間部門は強硬に反対
 し、2001年12月の12時間ゼネスト、2002年4月の政変(クーデター騒ぎ)、同年12月のチャ
 ベス大統領の罷免を求めた2ヶ月に及ぶ大規模ゼネスト等が相次いで発生。その結果、
 2002年の経済実績は大幅に悪化した。その後は、石油価格の高騰に後押しされる形で、
 ベネズエラ経済は回復。2006年の成長率は、石油部門が石油生産の伸び悩みから-1.9%
 となったが、非石油部門が11.7%成長した結果、全体で10.3%の成長を記録。2006年1月
 には、チャべス大統領が「オリノコベルト超重質油プロジェクトを国家の財産とすべき」と発言
 具体的には同プロジェクトに進出する各合弁企業におけるベネズエラ国営石油公社(PDVSA)
 の出資比率を60%以上に引き上げる大統領令に署名
。また、2008年3月にセメント産業、
 同年4月に鉄鋼会社の「国有化」(共にベネズエラ政府を60%以上の筆頭株主とする合併会
 社に移行)を発表するなど、天然資源の国家管理の強化を推進している。
(3)経済統合・自由貿易協定
 チャベス大統領は、米国主導のFTAAに異議を唱え、中南米主導の米州ボリバル代替統合
 構想(ALBA)を提唱し、中南米における経済統合と政治統合の重要性を主張している。また
 2006年7月、ベネズエラはメルコスールへの加盟手続きを開始した。さらに中南米地域のエ
 ネルギー統合実現のため、中南米諸国とエネルギーを巡る合意・取極めを結び、エネルギー
 分野での連携を進めている。