スリランカ内戦激化 :2008.10.7
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世界各地でいろいろな紛争が起こっているが、状況も理解しようとせず無関心で
いることが多い。
もちろん、状況を知っただけでは何も解決しない。
でも、まず、知ることから始めなくてはいけない。
「ホテルルワンダ」を見たのだから、各地の紛争への感度を高めなければいけないと思う。
昨日の新聞に、「スリランカで内戦激化、20万人避難」という記事が出ていた。
「スリランカ内戦」は、新聞のキーワード解説に次のように書いてある。
『多数派で仏教徒の多いシンハラ人中心の政府が50年代以降、シンハラ語の公用語化や
仏教保護政策を進め、ヒンドゥー教徒の多い少数派のタミル人が反発。70年代から分離
独立運動が起き、83年からタミル人の多い北部と東部で、政府軍と武装勢力LTTEとの
間で内戦になった。02年に停戦で合意したが、06年から再び戦闘が激化し、政府は今年
1月に停戦を正式に破棄。これまでに戦闘やテロで7万人以上が死亡している。』
また、外務省のホームページにはこの民族問題を次のように解説している。
『1815年以降スリランカ(当時はセイロン)全土を植民地とした英国は、少数民族タミル人
を重用して多数派のシンハラ人を統治させる分割統治を行った。これを受けスリランカは
独立後、多数派シンハラ人を主体とする政府によるシンハラ人優遇政策を取り、これに
反発したタミル人の過激派がスリランカ北・東部地域をタミル人のホームランドであると
して、その独立を求め1972年に「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」を結成し、1983年
には本格的内戦に発展』
ルワンダでベルギーが少数派のツチ族を重用して多数派のフツ族を統治し、それが原因で
大虐殺が起きたのと全く同じ構図だ。植民地は過去の出来事とは言えない。
[記事(朝日新聞10月6日朝刊)]
少数派タミル人の武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」と政府軍の内戦が続く
スリランカで、攻勢を続ける政府軍が北部にあるLTTEの本拠地に迫りつつある。戦闘の
激化で20万人以上の避難民が発生し、国連機関も退避。緊迫の度は高まり、住民に
さらなる被害が出る懸念も強まっている。
政府軍は昨年7月に東部のLTTE支配地域を完全制圧した後、北部の攻略を進めている。
国防省の発表では、最前線の陸軍部隊は4日、LTTE独自の行政、軍、警察組織の中枢
があるキリノッチの南端から2キロの地点に迫ったという。空軍も2日から3日にかけ、
キリノッチとその周辺のLTTEの軍や警察施設を狙って空爆を繰り返した。
政府が戦闘地域へのメディアの立ち入りを認めていないため、正確な状況を確認するのは
困難だが、LTTE寄りのウェブサイト「タミルネット」も空爆で建物の被害が出たことを認めた。
政府軍の砲撃の一部が市内まで届き始めた、とも伝えている。
政府側の説明では、06年に1万5千平方キロあったLTTEの支配地域は4分の1に減少。
LTTE支配下にあった町を政府軍が次々と制圧している。
劣勢のLTTEにとっては、事実上の「首都」であるキリノッチまで制圧されれば大きな打撃と
なり、その後はジャングルでゲリラ戦を展開するしかない。大統領の実弟のゴタバヤ・ラジャ
パクサ国防次官は「年内にLTTEを一掃する」と発言しており、83年以来続く内戦は重大な
局面を迎えている。
国連などの集計では、戦闘から逃れようと、LTTEの支配地域であるキリノッチ、ムライティブ
両県で20万〜23万人の避難民が出ている。多くは野外生活を強いられているという。
今後、追い込まれたLTTEが住民を前線近くに強制移動させ、「人間の盾」にするのではないか
との懸念が出ている。政府は住民を戦闘に巻き込むのを避けるため、南側の政府支配地域へ
避難するように呼びかけているが、LTTEは許していない模様だ。
政府は9月、LTTE支配地域で活動をする国連機関やNGOに「安全が保証できない」として、
政府支配地域への退避を要請。国際赤十字社を除き、ほとんどはすでに引き上げた。政府側
地域から国連の援助物資が運び込まれてはいるものの、人道支援への影響は避けられない
情勢になっている。