ホテル ルワンダ :2008.9.21
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 ルワンダでの大量虐殺を描いた映画「ホテル ルワンダ」を後ればせながら見た。

  [gooの映画紹介より]
   フツ族とツチ族の間で続いていた内戦が終息、和平協定が結ばれようとしていた1994年、
   ルワンダの首都キガリ。
   外資系高級ホテル、ミル・コリンの支配人ポールは、近くフツ族の民兵によるツチ族の
   虐殺が始まるという噂を耳にする。やがてフツ族大統領暗殺の報道がなされ、フツ族が
   武器を片手にツチ族を襲撃し始めた。
   フツ族のポールは、ツチ族の妻・タティアナと息子たち、そして隣人たちを守るため、
   ホテルに匿うのだが……。



 1990年頃からフツ族とツチ族の対立が顕著になる。
 ただし、フツとツチという民族の分け方はもともとはっきりしたものではなかったが、
 ベルギーが鼻の大きさを測って2つに区別したためにはっきり分かれるようになったことが
 映画で紹介されている。
 
 第1次大戦まで、ルワンダはドイツの植民地だったが、ドイツが敗戦国となったため
 ルワンダはベルギーの植民地になった。
 ベルギーは支配するにあたって、フツとツチとをはっきりと分け、少数派のツチ族を
 重用した。にもかかわらず、ルワンダ独立の際は、フツ族を支援した。
 このことが、フツとツチの対立の背景にあるようだ。

 1994年に和平合意がなされるが、直後に大統領が暗殺され、フツ族の民兵による
 ツチ族の大虐殺が始まる。映画の舞台はこの1994年である。


 ルワンダには国連の平和維持部隊も駐留していた。しかし、フツ民兵によるツチ族虐殺が
 激しくなると国外退去し、ルワンダ全体で300人まで減ってしまい、力がとても弱い。
 
 でも、国際社会の影響が全く及んでいないわけではないことを示す場面がしばしば出てくる。
 ルワンダ軍(フツ軍)はホテル内の人々を外に連れ出そうとするが、フランスからの通告に
 よって一旦断念する。これは、フツ軍がフランスから武器を購入していたためらしい。
 また、ホテル支配人ポールは、アメリカの動きを匂わせてフツ軍の将軍を動かす場面もある。

 つまり、アフリカの民族紛争も国際社会の影響を無視しては行なわれないし、逆に武器供与
 等による国際社会の影響によって紛争が起きている要素もある。

 本作品には国際社会が虐殺を知りながら放置したことを強く非難するメッセージが込められて
 いるが、一方では国際社会の関与によって抑えることができる可能性も示しているように
 思える。
 
 この作品を見るのは疲れるが、平和の問題を考える上では見ておくべき作品だと思う。
 中東は石油があるから日本の国益のために自衛隊を出すべき、という主張をする場合
 ルワンダには取り立てて資源があるわけでもないから、無視しようということになる。
 また、一切、自衛隊を派遣しないという立場でも、結果的にルワンダの人々を救えない。

 日本が今後、こういう事態にどう対処すべきかはとても重い問題だ。