自民党総裁選と総選挙の最悪・最低シナリオ :2008.9.7
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  9月1日に福田首相が退陣表明を行い、今、自民党総裁選の候補者の
  話題がニュースのメインになっている。

  麻生太郎氏と小池百合子氏が争うのだろうから、どちらも面白くないなあと
  思っていたら、与謝野馨氏も出るらしい。
  その他の候補に上がっている人も含めて、次の総選挙をにらんで人気の
  ある人という点で挙がってきているように見えるが、与謝野氏は失礼ながら
  国民的人気はないだろう。
  それでも与謝野氏の推薦人になる人が自民党に多くいるところがなかなか
  自民党のしぶといところだ。
  与謝野氏がもし総裁になって増税も含めて真面目に議論してきたら、民主党は
  厳しくなるかもしれない。

  何といっても最近の民主党は、小沢代表の下で、政権交代するためには、
  増税など口に出さない、という方針でやっているように見えるのだから。
  これは言うまでもなく、前回2005年の郵政選挙で大敗した反動が続いて
  いるからだ。

  8月中頃の新聞に、岡田克也氏が民主党代表選に関してのコメントが紹介されていた。
  たしか、岡田氏のブログに掲載されている次の部分だった。
   「まだ現時点で、具体的な政策を率直に、正直にお話しをして戦うという選挙が、
    いい結果を生むという十分な自信が、いま私にはないということです。」
 
  これは現在の日本の民主主義の未成熟さを強烈に批判している言葉だ。
  岡田氏は政策本位での主張が受け入れられると信じている人と思われてきた。
  それが3年前の総選挙での敗戦でそれほどまでに傷つき、今なお、傷が癒えて
  いないのだ。
  いや、たぶん、3年前だけでなく、小沢代表のもとで、財源を示さない昨年の
  参議院選挙で民主党が勝ってしまうことも 岡田氏の国民に対する不信感を
  煽ってしまうのだろう。

  こんなことで良いはずがない。

  もし、
   ・麻生氏でも小池氏でも石原伸晃氏でもなく、与謝野氏が総裁、そして首相になって、
   ・マニュフェストに福祉の財源を増税でまかなうことを明記し、
   ・増税無しのばらまき的なマニュフェストを作った小沢民主党と総選挙で戦い、
   ・民主党が勝利を収める
  ということがあったなら。。。。

  これが私の恐れる最悪のシナリオだ。
  これなら、一体何のための政権交代か、15年ほど前の政治改革とはこんなことのために
  あったのか、ということになってしまう。
  

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[岡田克也氏のブログより]
  (民主党代表選に出ない理由について)

  「私が総選挙を戦うとすれば、当然2004年の参議院選挙、2005年の総選挙と
   同じように、マニフェスト選挙になる。具体的な政策、それに伴う財源、いつやる
   かという期限、そういうものを明示して、具体的な政策を選挙で問う。
   そういうやり方をいままでもしてきましたし、私が代表であれば、今回もそういう
   選挙をすることになる。

   しかし、あの2005年の選挙で、そういうやり方が国民の皆さんからご理解いただ
   けず、郵政民営化賛成か反対か、その1点を問うた小泉自民党に大勝を許して
   しまったのは、私が代表のときの総選挙だったわけです。

   もちろん、民主党に対しても、2480万人の方にご支持いただいたわけですが、
   しかし大きく負けたということも事実。では、そのときの国民の意識が大きく変わって
   いるか、政策本位で選挙をやろうというふうになっているかというと、私はまだそう
   大きくは変わっていないのではないかと思います。


   やがてそういう時代が来るということは確信しています。しかし、まだ現時点で、
   具体的な政策を率直に、正直にお話しをして戦うという選挙が、いい結果を生むと
   いう十分な自信が、いま私にはないということです。

   したがって、私が代表になってマニフェスト選挙をする、そのことが政権交代につな
   がるとは考えにくい状況にあるということ。これが1点目です。」