東北アジア非核兵器地帯条約(案) :2008.9.8
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1ヶ月ほど前の新聞に、民主党の岡田克也氏らが中心になって
「東北アジア非核兵器地帯条約(案)」をまとめ、記者発表する
と小さく書かれていた。
ひょっとしたら私が見逃しただけで、記者発表の内容は新聞に載って
いたのかもしれないが、結局私はその新聞記事を目にすることはなかった。
私は「軍縮問題入門(黒沢満)」を以前読み、「非核兵器地帯」という概念が
あり、核兵器の生産、取得、配備が禁止されている地域があることを知った。
そして、日本も東アジアを中心に取り組んでほしいと思っていた。
(参考)
[非核兵器地帯の概念]
ある地域の複数の国家が条約を締結し、その地域での核兵器の生産や取得、
他国による核兵器の配備を禁止することを約束
[ラテンアメリカ核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)]
1967年署名、地域33ヶ国全部批准
・きっかけは、1962年のキューバ危機
・地域外の米英仏蘭が非核の地位を維持することも定めている。4ヶ国も批准
・核兵器国が条約締約国に対し、核兵器の使用、威嚇を行わないという消極的
安全保障を約束。1979年までに核兵器国が批准済み
民主党案では、地域の範囲は、韓国、北朝鮮、日本の3カ国。
この3国が非核兵器地帯条約を締結するとともに、周辺の3つの核兵器国である
米国、ロシア、中国の3 カ国が、核攻撃をしないという意味での「消極的な安全の保
証」などを含む非核兵器地帯尊重の議定書に参加するという内容。
実現には、北朝鮮の核施設無能力化が前提となるので、提案してすぐに受け入れ
られるものではない。
しかし、東北アジア全体を非核兵器化するから、北朝鮮にも核兵器は持つな、という
呼びかけをするのが理になかっているだろう。
北朝鮮の現状を見て、そんな条約が成立するはずがないと考える人は多いかもしれない。
しかし、今までで最も核戦争に近づいたと言われているキューバ周辺で、核兵器禁止条約
(トラテロルコ条約)が成立していることを忘れてはいけない。
危機的状況をうまく乗り越えれば、そんな危機的状況を作り出さないための仕組みを
受け入れる下地ができている場合がある。
民主党案が単に民主党だけの案ではなく、もっと広い範囲からの提案になってほしい。
それにしても、民主党のホームページを見ても、この条約案が出てこない。
岡田克也氏のホームページに掲載されているだけのようだ。
http://www.katsuya.net/upload/pdf/joyaku.pdf
核廃絶は選挙での票にはならないだろう。与野党対立ではなく協力が必要な領域だ。
それでも、重要な提案なのだから、こういう考え・概念が世界にはあるんだと宣伝する
べきではないだろうか。