ベルトルト・ブレヒトの詩 :2008.4.4
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 「兵役拒否の思想」(市村ひろみ)という本の巻頭に、ベルトルト・ブレヒトと
 いう人の詩が載っている。


   将軍よ、きみの戦車は強力なものだ。
   森の木々を轢きたおし、百の人間を踏みにじる。
   だが、それにも欠点がひとつある。
   戦車には操縦者が必要だ

   将軍よ、きみの爆撃機はいかにもすごい、
   爆風よりはやく飛び、巨象より積載力がある。
   だが、それにも欠点がひとつある。
   機には搭乗員が必要だ。
 
   将軍よ、いかにも人間は役に立つ、
   飛ぶこともでき、殺すこともできる。
   だが、かれにも欠点がひとつある、
   かれは考えることができるのだ。
 

     ベルトルト・ブレヒト「ドイチェ・マルジナリエン」(1938年)
     野村修訳 『ブレヒト詩集』飯塚書店刊より


 インターネットで調べると、ブレヒトはナチに追われ亡命生活を送った劇作家・
 詩人だそうだ。1898年に生まれ1956年にベルリンで亡くなっている。
 詩を読むと、人間一人ひとりの信念や抵抗力の強さへの期待が感じられる。
 1938年時点でも、信念を持って書いていたのだろう。

 「兵役拒否の思想」という本によると
 第2次世界大戦に従軍した米軍兵士のうち、80〜85%が敵に向けて発砲する
  ことができなかったとする調査がある。
 しかし、 朝鮮戦争ではその割合が45%に減り、ベトナム戦争では5〜10%に
 減少したそうだ。
 兵士が殺人に対する抵抗を感じなくなるよう訓練を「改善」した成果のようだ。

 人間の抵抗力を失わせる手法が開発されている。
 それはジョージ・オーウェルの「1984年」のような共産圏の管理社会の話だけでは
 ない。
 私のような弱い人間たちの「抵抗」は果たして可能なのだろうか。