和歌山カレー事件 :2008.3.22
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3月16日(日)に和歌山市民会館で「和歌山カレー事件を考える人々のつどい」という会が
開かれた。林眞須美さんが逮捕され、1審、2審で死刑判決が出ているが、冤罪の可能
性があると聞いていたので状況を知りたいと思って和歌山まで行ってみた。
【日時】 2008年3月16日(日)13:30〜16:30
【場所】 和歌山市民会館4階会議室
【内容】 @河野義行さん講演
A弁護団からの状況説明
最初に河野義行さんの講演があった。河野さんはTVで見ると非常に自分を抑えた冷静な
方だという印象が強い。直接話を聞いても同じ印象を受けるが、その中に非常に強い憤り
を持っていることを感じた。
話はとても興味深い。冤罪が多くありそうな気がしてきた。
林眞須美さんが犯人かどうかは全くわからない。でも本当に証拠がないようだ。
今回説明があった目撃情報というのも、2つあったカレー鍋のうち、ヒ素が入っていない方の
鍋のふたを開けるのを見た、というものに関してだ。(それすら怪しいが)
ヒ素が入っていた鍋に関する証言は無い。
後は最高裁判所だけになっている。この状況で死刑にしてしまって良いのだろうか。
[詳細メモ]
【@河野義行さん講演】
河野さんは1994年の松本サリン事件で警察・マスコミから容疑者扱いされた。翌年の
地下鉄サリン事件の後、結果的に無実が証明された。その経験を踏まえて「冤罪はこう
してつくられる」というテーマで約1時間話をされた。
(豊橋事件)
・高校の同級生が冤罪となったことが過去にあった。
1970年に「豊橋事件」という殺人放火事件があり、文具店の妻と子供が亡くなった。
そして、文具店で働いていた高校の同級生Mが逮捕された。
・Mは取り調べで全面自供し、文具店の主人宛にお詫びの手紙まで書いた。
裁判では初公判では罪を認めたものの、第2回公判で否認に転じた。
・捜査に関わった7名の警部補のうち、5名はシロと考え、1名はわからない、クロと主張
したのは1名だけだった。証拠はなく、いわゆる状況証拠のみ。
・局面が変わったのは、毎日新聞の記者が警察で「Mが無実かも」という話を聞いたこと。
そして一人の警察官がシロの部分を探し始め、弁護側の証人として発言した。
その中で、犯人とMとの血液型が異なるなどが隠されていることが暴露。
結局、裁判の第1審で無罪となり、検察は控訴せず無罪が確定した。
→犯人であることを否定する情報は隠されていく。
(松本サリン事件)
・1994年6月27日 死者7人、負傷者600人以上を出した。
・なぜ疑われたか。
まず、第一通報者であったこと。
次に、さまざまな点が不自然と捉えられ疑惑を受けた。
いったん妻のもとを離れたこと。
次の日の朝、話を聞きたいと言われ断ったこと。
・・・サリンによって39度の熱があり、幻覚症状があった。
次の日に、昨日何をやっていたか答えられなかった。
・・・これもサリンによって記憶がおかしくなっていた。
薬品を所持していた(写真の現像や陶芸用)
薬品に青酸カリがあった。以前は現像に一般的に用いられていた。
・6月28日 「被疑者不詳の殺人容疑」で河野宅を強制捜査
名前を公表した。・・・マスコミ的にはこれで決まり
まだ、事故か事件かわからない時点で裁判所が「殺人罪」とした。
強制捜査を受けたのは実は河野宅だけでなく、亡くなった7人の家全部受けた。
・この後は、言っていないことが次々報道された。誤報から疑惑の増幅が起こる。
例えば「薬の調合に失敗した、と言っていた」
・6月29日に高1の長男が病室に来て、TVで報道していることを教えてくれた。
TV局を訴えるために弁護士を依頼。
誹謗・中傷が弁護士に殺到。
・7月30日退院。実際は病院にかくまっているというような非難があり、十分には
回復していないのに退院させられた。
・退院してすぐに任意で取調べを受けた。主治医が聴取は2時間までという診断書を書いて
くれたが、事実上無視。実際は7時間半に及んだ。
・警察は河野氏が犯人で長男が証拠を隠したというストーリーを描いていた。
取調べでは犯人扱い。同じ頃、長男も3人の警官に囲まれていた。
「お父さんは認めている」とも言われたらしい。
ただ、長男はそんなはずは無いと言い切ったそうだ。
・2回の取調べの後、危ないのは世論だと感じていた。
「まだ、あの会社員を逮捕せずに放っておくのか」というような声
(和歌山カレー事件)
・林被告が怪しいというだけで、何も立証できていない。
自白していないというのは大変なことだ。
私は2日間の取調べだったが、それだけでも屈しそうになった。
・豊橋事件で証人として発言した警察官の言葉を最後に紹介する。
「怪しいだけでは犯人ではない。犯人ならば調べれば何か出てくるはず」
【A弁護団状況説明】
・事件当日の目撃証言についての問題点について説明。