憲法改正の前提条件 :2006.3.23
                                          戻る

平和の勉強会への呼びかけのビラを何人かの方に見てもらったところ、憲法を
変えることへの心配を口にする方が目立った。「憲法9条がある状態ですら自衛
隊ができ海外にまで行くようになっているのに、憲法で自衛隊を認めたらもっと
海外に出て行きやすくなり戦争をする国になってしまう」という懸念である。この
心配はもっともなもので、非常に重要なことだ。
私は、自衛隊を認めながら条文としての9条を残そうという考えには理念的に無理
があると考えており、解釈改憲でどんどん進められてしまうことの方を恐れるのだが、
理念的にすっきりさせても、上記の声のように結果的に戦争をしやすい国になって
しまっては元も子もない。
したがって、憲法改正に当たっては、いくつかの前提条件考えておく必要がある。
今考えている条件は次の2つである。
まず、1つ目は憲法の条文がしっかり守られる状況を作り出すことだ。そのためには
国民が憲法をしっかり守る意思を持つことと、憲法を守るシステムとしての違憲立法
審査権を明確に確立するという2つが重要だと思う。
2つ目は、憲法の内容に関することだ。憲法を変える場合でも、普遍性が大切だと
思う。最近、憲法は時代とともに変わっていくべきものというような主張もなされてい
るが、私は少し考えが違う。憲法を変える場合でも、全世界の国がこの憲法を採用
すればすばらしい世の中になると自信を持って他国にも推奨できるレベルの普遍性
を持たなければならないと思う。そのレベルに至らないのであれば、内容を見直す
余地があり、もっと知恵を出す必要がある。

(追記)
私が普遍性を重視したいのは、相手のミサイル攻撃の前に先制攻撃をすることを
認めるべきという乱暴な議論があるからだ。私は、自国が先制攻撃できるのならば、
相手国にも先制攻撃の権利を与えなければならない、と考える。それは非常に危険
な状況を生み出す。それよりも先制攻撃はしないから、他国にも先制攻撃しないよう
に訴える方が安全な考えだろう。
また、自衛隊を認めたとしても海外派兵に反対するのは、世界中の国が同様にすれば
かなりの戦争は防げるはずだと考えるからである。最低限の普遍性のレベルとして
このような視点が求められるのではないだろうか。