映像協力(DAYS JAPAN 2月号) :2006.2.7
                                          戻る

写真月刊誌DAYS JAPANの今月号に、「【映像協力:陸上自衛隊】の裏側」
という注意を促す記事が載っていた。書いているのは、綿井健陽氏である。
記事の概要を以下に記す。

 
TBSの「NEWS23」で、イラクのサモワに派遣された陸上自衛隊の家族が
 取り上げられた。その映像に派遣された自衛隊員の映像が何度も出てくる。
 そして、番組の最後に一瞬 「映像協力:陸上自衛隊」のクレジットが出た。
 過去に自衛隊広報が撮影した映像がメディアで使われたことはあるが、その
 場合、「陸上自衛隊提供」や「撮影:陸上自衛隊」となっていた。今回、「映像
 提供」でなく、「映像協力」となっているのは何を意味するのか。
 今回の映像は、自衛隊の広報が配布したものでなく、放送局が自衛隊の広報
 に依頼した映像だった。問題は自衛隊の広報が撮影した映像を、メディアの側
 が報道番組の中で説明もなく流すことにある。しかも、撮影の依頼までしている。
 こうなるとジャーナリストはコピー業、情報運搬業である。映像撮影を自衛隊の
 広報に頼んで、その映像を「ポート」して流すのならば、それは「取材」でも、「報
 道」でも、「レポート」でもない。

マスコミはこのような問題に特に敏感でなくてはならない。でも、それを見ている
側もどこからの情報かということにもっと注意する習慣を付ける必要があるだろう。

情報源に注意しなければいけないことはおそらく至るところにあるのだろう。
例えば、「誰々が容疑を認める」というような取調べ情報が報道されることがある。
しかし、これを真偽を確かめずに報道すると、被疑者が有罪であることを決定して
しまうことになるし、そうすることを情報をリークする側が狙っているかもしれない。
そうなったら、いくら、その後の裁判で覆しても、取り返しのつかないダメージを受け
ることになる。
これはマスコミの問題でもあるし、そのような情報を知りたがる私たちの問題でも
ある。状況を変えることは容易ではないが、自分もそういう立場に置かれるかもしれ
ないという想像力をひとりでも多くの人が持つことが少しでも状況を変える力になると
思う。