武村正義氏(元さきがけ代表)講演 :2006.2.5
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朝日カルチャーセンター奈良の公開講座で、元新党さきがけの武村正義氏の
講演が今日行われた。
戦後60年、日本国民はモノ、カネ、効率、便利さといったものを目指して生きて
きた。そしてそこそこ成功した。しかし、立ち止まって考えると、「これで良かった
のか」、「何か大事なものをおろそかにしてこなかったか」という思いがしている。
「モノは栄えて心が病んでいる」状態に感じる。
このような最近の思いを語られた後、@人口減少、A貧富の差の拡大、B財政
赤字、という3点についての考えを示された。(Bは時間不足で少しだけ)
@人口減少
2005年から日本の人口は減少し始めた。専門家によると、50年後には、今の
人口から3分の1ほど減り、8千万人ほどになるという試算がなされている。
しかし、これを内心、明るいニュースと捉えようと思っている。無理して人口を増や
す必要はないのではないか。
明治の初め、日本の人口は3000万強だった。百数十年で4倍になったわけだ。
(終戦時で8500万)。明治以降、日本は軍事大国への道と経済大国への道を
歩んできた。常に大国への道を進んできたが、これからは頭の切り替えが必要
ではないか。
世界の人口は64億人くらいいて、感覚的な話だが、地球容量を越えている。
地球の環境を考えるともう少し少ないほうが良いので、その意味でも、人口減少
への道筋を日本が付けるくらいの意識を持ったら良い。
例えば、国全体のGDPは減少しても、1人当たりのGDPが維持できるのならば
納得は得られるだろう。日本より人口が少ない先進国はたくさんある。大きくなく
てもいいじゃないかと切り替えて考えれば、対応の仕方は生まれてくる。
A貧富の差の拡大、2極化
小泉首相は今の国会で格差が広がっていないという主旨の発言をしたが、各種の
数字を見れば、拡大していると考えるべきだろう。ニート60万人、フリーター200〜
400万人という数字に加え、生活保護を受けている家庭も130万に上っている。
小泉内閣は、規制緩和、競争社会という方向を目指した。しかし、自民党、民主党
を見ると、必ずしも、自民党=新自由主義、民主党=リベラル(弱者にも目を向ける)
という形になっていない。特に2極化に対する民主党の考えがわかりにくい。
この観点で、もう一度、政界再編ということが起きるかもしれない。
(この話の途中で、少し脱線)
日中の15年戦争は明らかに侵略戦争だった。米国との戦争については他国の包
囲網ができたため止むを得ず戦争に踏み切ったという議論もあり、理解できる面も
ある。また、東京裁判を正当な裁判でないとする考えがあり、もちろん勝者による裁
きだったことは事実だが、サンフランシスコ講和の際に結果を受け入れたので簡単
に否定できるものだはない。部分的にいろいろな議論があるが、日本は戦争全体に
ついて総括できていない。まず、確認できる歴史的事実はきちんと認識し、南京事件
など事実関係の認識に差が大きいものについては共通の認識が持てるように努力が
必要。
少子化の問題が話題になった時に、国の人口問題によって個人の価値観の領域まで
入り込んでくるような違和感を感じていた。また、何となく、人口が減ることはいけないこ
とのように思い込んでいた面がある。人口減少をこのように考えても良いということを
知り、少し自由になった気がする。