再度、武村正義氏講演会へ :2006.11.1
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2月に朝日カルチャーセンター奈良の公開講座で、元新党さきがけの武村正義氏の
講演を聴講した。新政権誕生に合わせて再度、武村氏の講演が行われるという案内の
葉書がカルチャーセンターから送られてきた。当初、2月に聴いたばかりだからという
理由で参加するつもりはなかったが、妻が珍しく、武村さんの話しを聞いてみたいと
言い出したので、2人で参加することにした。
人口の少ない国に魅力的な国が多いという話や、安倍首相の父方の祖父である安倍
寛氏の話が印象に残った。安倍首相の国家主義的傾向を、単に家族と結びつけるのは
間違いらしい。また、人口が今後かなり減ることは間違いないので、どういう国を目指す
かを国民ひとり一人が考えていかなくてはならない。大国主義でない国づくりを考えるの
は結構楽しいのではないか。
(序)
・日本は非常に豊かな国になった。しかし、最近、目を覆いたくなるような異常な事件が
相次いでいる。また、様々な不祥事も多い。これを政治が悪い、教育が悪い、マスコミが
悪いと見ることもできるだろうが、自分自身との関係で問題を見つめなおす必要がある。
・戦後60年、日本は経済主義で生きてきた。そして、そこそこ成功した。しかし、結果とし
て経済以外の分野をおろそかにしてきた。「モノが栄えて心が病んだ」日本になった。
・安倍首相は「美しい国」を目指すとしているが、なぜ、日本が美しくない国になったか
という反省が書物にも書かれていない。
(人口減少)
・日本の人口は減少し始めた。専門家によると、50年後には8千万人ほどになるという
試算がなされている。江戸時代は3千万人くらいで安定し、戦後すぐは8千万人くらいで
あった。
・世界の人口は1900年には16億人だったが、現在は4倍に膨れ上がった。貧しい国で
人口が非常に増えている。以前、バングラディッシュの人口抑制に関わったことがある。
衛生状態の良いモデル地域(生まれた子どもはほとんど死なない)を作ると、そこでは
子どもの数をコントロールしようとするようになる。
・日本より人口の多い国は、現在9つある。中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジル、
パキスタン、ロシア、バングラデシュ、ナイジェリアである。魅力のある国が少ないように
感じる。
・ドイツは8000万、イギリス、フランス、イタリアは6000万弱、カナダ3000万、
オーストラリア2000万、オランダ1600万
スイスやデンマークは1000万以下である。
人口が少なくても魅力のある国は多い。
・日本は、人口は減ってもひとり一人の生活の質が落ちない国を目指すべきだ。
明治以降、戦前は軍事大国を目指し、戦後は経済大国を目指してきた。もう、「大国主義」に
決別すべき時だ。
・以前、新党さきがけの党理念に、「質実国家」という難しい言葉を使った。また、「小さくとも
キラリと光る国」とも表現した。大国主義でない質の高い国を目指すべきだと考える。
(安倍政権)
・先ほどTVで中川幹事長が成長率4%も可能、18年続けば倍増になるという話をしていた。
内閣を見ても、経済成長派一色になっている。
政治だけで景気を簡単に制御できないのに、あまりに経済成長一色で主張し始めている。
経済成長すると、金利が上がる。巨大借金(823兆円)の金利負担が非常に大きくなる。
現在、国家予算80兆のうち、30兆円が借金。小泉政権では、政権の最初から消費税は
上げないと宣言した。最初から問題を先送りし、結果的に小泉政権下でも借金は170兆円
増えた。難しい問題に取り組まない、難しい問題を口にしない政治になっている。
・外交については心配していたが、タカ派から大きく変身して、無難なスタートを切った。村山
談話、河野談話の継承も明らかにした。核武装論も抑えているようだが、麻生外相の発言は
問題
反日でもや北朝鮮問題で、日本の世論は大きく変化した。危険な状況にある。「核」はどんどん
エスカレートする恐れがある。軽々に判断すべきではない。
・格差が広がっている。正規社員・非正規社員の格差などに歯止めをかけるのは政府しかない。
・年金は、民主党の2階建て案がスウエーデンでも実施されており良いと思っている。
(人物としての安倍首相・・・質問に答えて)
・自民党時代、安倍派に属していたので、安倍氏の父である安倍晋太郎氏の話を聞く機会が
多かった。安倍晋太郎氏は、父である安倍寛氏を誇りに思っていた。安倍寛氏は国会議員を
2期勤めた。1942年の翼賛選挙では、大政翼賛会の推薦を受けずに出馬し当選したハト派の
政治家だった。安倍晋三首相は、母方の祖父である岸信介氏のことは書いているが、なぜ
父方の祖父である安倍寛については触れないのか不思議に思う。
・安倍派にいたとき、安倍晋三氏は秘書だったので知ってはいたが、筆頭の秘書ではなかったので
あまり印象に残っていない。目立つ存在ではなかったと記憶している。
・安倍首相は、まだ経験が不足し、熟し切っていない人物のように感じている。
参考データ
[人口の多い国] 外務省HPより 出典:国連「世界人口白書2005」
1 中華人民共和国(中国) 13億1,580万
2 インド 11億0,340万
3 アメリカ合衆国(米国) 2億9,820万
4 インドネシア 2億2,280万
5 ブラジル 1億8,640万
6 パキスタン 1億5,790万
7 ロシア 1億4,320万
8 バングラデシュ 1億4,180万
9 ナイジェリア 1億3,150万
10 日本 1億2,810万