公務員の政治活動 :2006.7.7
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2004年の立川反戦ビラ配布事件以来、不当な逮捕・起訴が非常に気になっている。
6月末にも気になる判決があった。

2003年の衆議院選挙前に共産党の機関紙を配布したとして国家公務員法違反
の罪で起訴された厚生労働省職員に対し、6月29日に東京地裁は有罪判決を言
い渡した。国家公務員の政治活動に関しては、「猿払事件」というのが1960年代
にあった。これは北海道の猿払村の郵便局員が、衆議院選挙の際に労働組合が
支持する候補者のポスターを勤務時間外に掲示したため、国家公務員法違反で起
訴された事件である。1審、2審は勤務時間外の行為まで処罰するのは表現の自
由などの面から無罪と判断したが、最高裁判所が1974年に有罪判決を下した。

政治活動の制限に関して国家公務員法違反で起訴されたのは、上述の最高裁判
決以降初めてらしい。今回の事件も勤務時間外に配布しただけで特別な問題があ
ったわけではないのに起訴したということは何か意図を持ってのことだろう。
「猿払事件」については、「憲法の本」(浦部法穂著)に載っていたが、数十年前の事
件で過去の話のように感じていた。しかし、判例というのは怖いもので、先の最高裁
判決に従って有罪となったわけだ。

公務員の政治活動の制限は「公務員の政治的中立」という言葉で表現されるが、ど
うもおかしな風に解釈されているように思える。公務員が業務として政治活動を行え
ば行政と特定の政治勢力が結びつき強力な影響を与えてしまうので、これは禁じな
ければならない。でも、休日に個人として機関紙を配布した程度で逮捕されるなどと
いうのは非常に危険だ。しかも、そのようなことをした全ての人が逮捕されるわけで
はない。おそらく政権党の候補者のビラなどを配布しても捕まることはなく、逮捕され
るのは共産党の機関紙や反戦ビラを配布した人だけなのだ。今回の事件では長時間
尾行しビデオ撮影も行っており、明らかに個人を狙って逮捕している。これも全く公平
さを欠いた行為であり不当だ。多くの人に明日はわが身という危険性を感じてほしい。