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No.9 雑壁はどれほど効果があるか

2004年1月


1.雑壁とは

住宅の品質確保の促進に関する法律(以下品確法)では「新壁量計算では雑壁が計算できるようになった。」とか、旧建築基準法46条の壁倍率関係で「雑壁効果」といった言葉を耳にしたことがあると思う。

一般に雑壁とは耐力壁以外の壁要素のことを指す。

RC造やS造では文字通り構造的に雑物のあつかいで構造耐力上無視、あるいは無視できるようにしていることが多い。

例えば、RC造では構造に悪影響を与えないようにわざわざスリットを設けて切り離したりする場合もあることは皆さんもご存知の通りである。

しかし、規模の小さい木造住宅程度の建物では、その軽さゆえに雑壁でも耐力に加算できる程の性能がある場合がある。

窓の上下の垂壁程度の箇所に周りに合わせて合板を打ち付けたり、あるいは仕上材を取り付けたりする(下図)だけでもそれなりの耐力(場合によっては耐力壁と同程度の耐力)を発揮してしまうことがある。

雑壁

つまり、S・RC・SRC構造等では、雑壁は主架構から切り離され、単なる荷重(重り)でしかないが、木造住宅ではこの雑壁が非常に有効な耐力要素として加算(但し、面材のみ)でき、他構造では単なる重量として不利となる要素が有利な要素になるのは、木造住宅でのメリットである。

それならばということで、考え方や計算の方法は構法によっていろいろあるが、木造の建物では雑壁も耐力要素として見込んでいるのが普通である。ただ、このことが計算上の耐力と実際の耐力の違いを生じさせ、木造住宅の構造についてのあいまいさをうむ原因ともなっていた。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2004