戻る

次へ

No.6 木造住宅における接合金物の施工上の注意点

2003年6月


1. はじめに



1−1 接合金物の特徴と種類

阪神・淡路大震災において被害を受けた木造住宅は、壁量不足、壁配置の偏り、接合部の耐力不足、部材の老朽化などさまざまな要因が複合的に絡み合って大きな被害に至った例が多い。

なかでも、接合部の弱さが被害を大きくしたことは、各種の報告などで広く知られるようになっている。

筆者が見た範囲でも、接合部に金物といえるようなもののない築30年以上と思われる建物は、かなりの割合で大破の状況を呈していたし、築10年前後の金物補強がされている新しい住宅でも、金物の使用箇所が適切でなかったり施工不良などにより倒壊しているものがあった。

現在、一般に使われている金物は、通称「Zマーク表示金物」と呼ばれる一連の金物、またそれと同等の性能をもつと認定されたものが中心である。

「Zマーク表示金物」とは、(財)日本住宅・木材技術センターが、'78(昭和53年)年に定めた「軸組工法用金物規格」で規定されたもので、翌'79年から住宅金融公庫の「木造住宅工事共通仕様書」に所載されている。

金物の使い方としては、大きく2通りに分けられる。接合部が2種類に大別できるといってもいい。

概念的に説明すると、1つは地震力や風圧力を負担する部材の接合部で、金物も相応の応力を受けもつことを期待される。

もう1つは、力を部材から部材へ確実に流す動きができればよい接合部で、金物は力をスムーズに流す一助を担う。

具体的に例を挙げれば、前者は筋かい下部が取り付く柱と土台の接合部であり、後者は胴差や梁の継手などが該当する。

後者の場合は、継手や仕口が離れないように「補強」するのであって、一般にきちんと施工されていれば応力の検討などは必要ない。

それに対して、前者は住人の生死を決定する鍵を握っているともいえる重要な部位である。

特に耐力壁廻りの接合部は大切で、先の大震災では、家屋倒壊の大きな要因となっている。(下表)






戻る

次へ
 ©Tahara Architect & Associates, 2003