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No.1 構造設計とは

2002年6月


はじめに

木造住宅で構造設計が行われることは、現在建設されている一般的な2階建木造住宅では、ほとんどない。

例えば、みなさんの頭上を通っている梁が安全であるかどうかといった検討はなされることはなく、20世紀に建てられた木造2階建て住宅では非常に少なく、大工さんの経験や、一般に市販されている書籍の付録の梁スパン表などをもとに、構造材の寸法が決定されている場合がほとんどである。


これは、木造の構造に対する姿勢だけが問題では無いように思われる。

1つは、現在の大学教育では、木構造についての講義が行われている学校が、ごく一部に限られている点にあると思う。

そのため、現代の建築技術者は木構造についての知識が皆無なままに、過去の先輩の実例や大工職人のアドバイスを元に木造を設計しているのが現状であったといえる。

もっとも、構造設計が行われていないからといって、世の中の木造住宅のほとんどが構造的に問題があるわけではない。

オーソドックスなプランの家を、経験豊かな大工が施工すれば、致命的な問題は起きないだろう。

実際に命にかかわるような、重大な構造的欠陥をかかえた住宅はごく少数にすぎないと思われる。


しかし、ここで問題となるのは、木造の場合、設計・施工どちらの段階においても、構造的欠陥の有無をきちんと検討し判断できる人間がいないという点である。

それゆえに木造では、建築技術者は構造的欠陥をかかえた住宅を生み出す可能性を潜在的に持っていると言える。

では、木造の構造設計とはいったいどういうものなのか、その内容、現状の問題点について述べていきたい。



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 ©Tahara Architect & Associates, 2003