壁ありのときの測定については、今回用いた荷重計の最大値が5t程度であったため、荷重4.0t程度で測定を中止している。
よって最大荷重については測定できなかったが、変位−荷重関係の壁ありの場合と壁なしの場合の比較より、モルタルが軸組と密着している場合、耐力壁に作用する力に対する抵抗要素としてモルタルが効いていることが確認できた。(写真15,16)
第1折れ点をみると、壁なしでは0.6t程度であるのに対し、壁ありではその4倍ほどの約2.6tまで達している。
また、壁ありと比べると、壁なしでは変位計2と変位計3の値に差がはっきりと読み取れる。(図3−3,3−4)
これは、変位計2をとりつけた梁は優先梁(柱の上に直接緊結している)であり、柱を持ち上げた際にまず優先梁が持ち上がろうとし、次に優先梁に取り付いている梁が持ち上がろうとすることが考えられる。(図3−1)
測定番号No.1と同様、壁ありの場合はモルタルの効果が大きく、最大荷重については測定できなかった。
これは玄関脇の外壁のモルタルがカットされずに構造体に取り付いていた為と思われる。
測定番号No.1と比べると、優先梁に取り付けた変位計2の変位が大きく、柱の持ち上がりと共に梁も持ち上がっていることがわかる。
これは優先梁にはほとんど壁が取り付いていないことが影響していると考えられる。(図3−5,3−7,3−8)
壁ありの測定については柱を持ち上げようとすると、反対に荷重計がめり込む結果となり正確な値を測定できなかった。
壁なしの場合にはこのことを考慮して土台部分に荷重計を設置して測定を行った。(写真42〜45)
グラフより変位計1に続き、変位計4の変位が最も大きく、変位計3については負方向に変位が進んでいることが読み取れる。
変位計4の値が最も大きいのは優先梁に取付けられていることと、 2F部分の真上付近に柱がないことが考えられる。(図3−11)
変位計2が変位計4に比べて変位が小さいのは、変位計2を取り付けている梁(Y方向梁)と交差する方向に上部柱が並んでおり、変位計2の直上付近に 柱が位置することが影響していると考えられる。(図3−9)
また変位計3については、変位計4と同様の梁に取付けられており、以下の図のような効果により梁が下向きに変位したと考えられる。
上図のような変形が生じた理由として梁H=150と小さい為、梁の曲げ剛性が低かったことに起因するものと考えられる。