背割り面の表側にホールダウン金物(10・15KN用)をボルト・ラグスクリューで設置したタイプ(タイプ5・6)は、予想通りの結果ではあったが、変形するにつれてボルト・ラグスクリューがくさび効果で、柱の背割りを広げていき、背割りの裏面にも割れが生じていた。
また、許容耐力においても他の試験体に比べると、2〜3割程度低下しており、特に15kN用の方では、所定の耐力が得られていない。
さらに、この2タイプの結果のグラフから、その荷重に対する変形性能をみると、弾性域が非常に少なく、塑性域が支配的になっている。
実験からの耐力壁の壁倍率が決定する基準の一つで、仕様規定で定められてた耐力壁は、中規模地震時の性能を基準として壁体が1/150radの変形したときの耐力で決定することが多い。
耐力壁長が910mmだとすれば、その壁体は910/150≒6mmの浮き上がりが生じた時点である。
その時、柱脚金物の性能がすでに塑性域であれば、その復元力は期待できずに、変形したままの状態となる可能性があり、その補修にも大きな影響を与える恐れがある。