前へ← →次へ

背割り柱に取り付くホールダウン金物の影響等


 完全弾塑性モデルによる降伏耐力・終局耐力等の求め方



 (財)日本住宅・木材技術センターより2001年12月に発行された「木造軸組構法住宅の許容応力度設計法」から抜粋

 降伏耐力Py、降伏変位δy、終局耐力Pu、終局変位δu、剛性K、塑性率μ及び構造特性係数Dsの算定は、枠組壁工法の試験評価法で提案されている。
 包絡線は、計測した荷重・変形曲線の終局加力を行った側の最初の荷重変形曲線より求める。


(1)包絡線上の0.1Pmaxと0.4Pmaxを結ぶ第T直線を引く。
(2)包絡線上の0.4Pmaxと0.9Pmaxを結ぶ第U直線を引く。
(3)包絡線に接するまで第U直線を平行移動し、これを第V直線とする。
(4)第T直線と第V直線の交点の荷重を降伏耐力Pyとし、この点からX軸に平行に第W直線を引く。
(5)第W直線と包絡線との交点の変位を降伏変位δyとする。
(6)原点と(δy,Py)を結ぶ直線を第X直線とし、それを初期剛性Kと定める。
(7)最大荷重後の0.8Pmax荷重低下域の包絡線上の変位を終局変位δuと定める。
(8)包絡線とX軸及びδuで囲まれる面積をSとする。
(9)第X直線とδuとX軸及びX軸に平行な直線で囲まれる台形の面積がSと等しくなるようにX軸に平行な第Y直線を引く。
(10)第X直線と第Y直線との交点の荷重を完全弾塑性モデルの終局耐力Puと定め、そのときの変位を完全弾塑性モデルの降伏点変位δvとする。
(11)塑性率μ=(δu/δv)とする。
(12)構造特性係数Dsは、塑性率μを用い、Ds=1/√(2μ−1)とする。






短期基準せん断耐力P0は「軸組構法耐力壁の評価方法」にて算定し、壁倍率は次式により算定する。

 壁倍率 = 短期基準せん断耐力P0 / (試験体有効長×1.96kN)

@せん断変形角の算定
せん断変形角は次の方法で計算を行う。
見かけのせん断変形角(γ)、脚部のせん断変形角(θ)、真のせん断変形角(γ0)は次式による。


見かけのせん断変形角  γ=(δ1−δ2)/H (rad)
脚部のせん断変形角   θ=(δ3+δ4)/V (rad)
真のせん断変形角    γ0=γ−θ       (rad)
  ただし、δ1:柱頂部の水平方向変位(mm) (変位計H1)
      δ2:柱脚部の水平方向変位(mm) (変位計H2)
      H :変位計H1とH2の間の標点間距離(mm)
      δ3:柱頂部の鉛直方向変位(mm) (変位計V3)
      δ4:柱脚部の鉛直方向変位(mm) (変位計V4)
      V :変位計V3とV4の間の標点間距離(mm)

      
A短期基準せん断耐力の算定
短期基準せん断耐力P0は、下記の(a)〜(d)で求めた耐力の平均値に、それぞれのばらつき係数を乗じて算出した値のうち最も小さい値とする。


なお、ばらつき係数は、母集団の分布系を正規分布とみなし、統計的処理に基づく信頼水準の75%の50%下側許容限界値をもとに次式により求める。
ばらつき係数=1*CV*K
  ただし、CV:変動係数
      K :定数0.471(n=3)
なお、降伏耐力Py、終局耐力Pu、構造特性係数Ds等は上記の「完全弾塑性モデルによる降伏耐力、終局耐力等の求め方」による。


(a)降伏耐力 Py
(b)終局耐力 Pu*(0.2/Ds)
(c)最大荷重 Pmaxの2/3
(d)特定変形時の耐力(タイロッド式:真のせん断変形角1/150rad 
   柱脚固定式:見かけのせん断変形角1/120rad)



前へ← →次へ



 ©Tahara Architect & Associates, 2003