奈良町のB&B

2009年12月
奈良市内の町屋を改修した、Bed&BreakFirst
意匠設計アトリエロータス
構造設計木構造建築研究所 田原(担当: 中尾)
施工者 福西工務店

東面の正面玄関部分

奈良町にあるこの建物は、元々築百年程度の伝統工法で造られた2棟の町屋である。

B&Bへのリフォームにあたって、あわせて耐震補強も行った。

改修が決定しているので、概略のチェックのみ行った上で、補強設計を行った。


建物正面全体

改装前の正面部分は、軒先一杯にモルタル壁をつけたりして、原型をとどめないほどに改造されていたが、内部の部材配置や周辺の建物などを参考に復旧し、奈良町にふさわしい竪格子を持つファサードを取り戻した。

但し、完全に旧に復したわけではなく、構造上の見地から耐力壁を設けたり(町屋では正面側に全く耐力壁がないものも多い)、棟梁の提案により補強材を設けるなどの補強・改良を行っている。


奥座敷
奥座敷

奥座敷の部分は、後年の増築で、造りが良かったことや、中庭側以外は壁が多いこと、また、予算の制約もあって、最小限の手直しと、中庭側の構造補強のみとしている。


壁補強

北側は隣地が高く、また、手前側は排水溝に接している等条件が悪く、痛みが激しかったため、基礎立ち上がりを設け、内壁側を構造用合板で補強した。


玄関
一階玄関土間部分

耐震改修工事では、状態の悪かった屋根の葺き替えと、野地合板による補強、耐力壁の補修・増設、各部の緊結を行った。


 ©Tahara Architect & Associates, 2011