No.57 田辺市立東陽中学校

2007年8月
スパン12mの軸組
意匠設計(株)岡本設計
構造設計木構造建築研究所 田原(担当: 中尾)
施工者 田中組

和歌山県田辺市にある木造平屋建ての中学校校舎棟の新築。

写真左は、校舎の最大スパンである約12mを、地元の杉材で構成した菱型トラスです。

このトラスに使われている材は、最大断面でも合掌材135×330mm、下弦材135×240mm、ウェブの斜材150角となっています。

このように杉を組み合わせてトラスを構成する場合には、材料の乾燥コントロールとプレカット加工では難しい大工職人の手技が必要となり、それらが伴って始めてできる架構システムです。


完成した小屋組は昇降口を入り、下足入上部に化粧で見えています。光と風が通る空間で、木組みが中学生を迎えます。

丸太の杉柱とともに地元の材料、地元の職人技が感じられる空間でもあります。
このような組物による複雑で難易度の高い架構は、プレカットではできないものです。     
当方では大工職人の技を生かした今までにない新しい木構造デザインに取り組んでいます。

left

旧木造校舎が取り壊され、その建替えにあたり地元の要望で、以前の雰囲気を残した外観となっています。

木構造建築研究所 田原がよく提案する面格子耐力壁を今回も耐力要素の一部として、玄関脇の袖壁に利用しました。桧の格子が非常にいい雰囲気を出しています。

 ©Tahara Architect & Associates, 2008