戻る

地震保険とは一体誰のための物?



地震保険は阪神淡路大震災以前はほとんどの人が存在すら知らず、保険屋さん達もその営業を積極的に行っていなかった。

それが「阪神淡路大震災」以後伸び続け、2006年7月には一千万件に達し、その保険の意義が重要になってきている。

しかし大手損保においては、全国の地震保険料の基になる危険度地(一等地から四等地)で評価されており、四等地が最も危険な地域とされ保険料が一番高い地域である。

2006年7月の改正前まではこの四等地の対象は東京・神奈川・静岡であったが、2006年7月の改正により(千葉・東京・神奈川・静岡・愛知・三重・和歌山・徳島・高知)の地域が四等地と決定された。

他にも3等地から2等地に軽減される地域はあるものの、大都市部に四等地を多く配置し、地方の人口の少ない地域では軽減してより多くの契約数が確保できる人口の多い地域を最大保険料の地域としたのである。

バブルが崩壊し銀行や損保は不良債権をやっとの思いで処分し「さあ、これから収益を上げるぞ」といった具合の2006年7月の地震保険料の改正であった。

ところが、1年経っても「なかなか思うように加入件数が増えないな」という結果となり、そこで2007年10月に地震保険料が再度改定される事になった。

この再度の改訂も、表現は「地震の発生確率を重視しその確率により地域ごとに地震保険料を変える」ということであり、中身は大きな変化は無いが「全体では平均7.7%下がる」ように見せかけている点である。

特に人口が密集している大都市圏や東海・東南海・南海の各地震被害エリアの地域では、危険等級の一等地の年間保険料1万円の2〜3倍程度有り、人口比で比較した場合むしろ値上げとなっているのが実態である。

さらにはこの地震保険には割引制度があり、1981年6月以降に建築された住宅では10%割引があり、品確法の耐震等級によって10〜30%割引もあり、免震建物と評価されたりすると30%割引がある。

また、81年より古い住宅においても、耐震改修で現行の建築基準法に定める耐震基準に適合すると10%割引がある「耐震診断割引」がある。

これらの制度はどれか1つしか使う事は出来ない。

今年からは損害保険料控除が無くなってしまったが、国としてもこの制度を後押しするために「地震保険料控除」が新たに設けられた。

このようにかなりおいしそうに思える「地震保険料」だが、大地震が起きた場合その地震に対して総支払い限度額は5兆円だそうだが、損保会社等が全社であわせて約8千数百億円。

残りの4兆1千億円程度を国民の税金で支払う事となっているので、どう転んでも損保会社が潰れる事がない地震保険システムで有るといえる。

ついでにいっておくが、過去最大の地震保険料の支払いは「阪神・淡路大震災」が784億円であり、色々と免責事項等があり、関東大震災が再び起こったとしてもこの5兆円だけなのだが、もし関東大震災が発生した場合は数百兆円の被害が予想されることは分かりきっているのだが・・・


戻る

©Tahara Architect & Associates, 2007