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応急危険度判定における三種(赤・黄・青)判定の危険性


今年の1月26日午後8時頃、小千谷市のある旅館の浴場屋根が落ち、搬送先の病院で亡くなった。 旅館は中越地震で半壊の被害を受けており、屋根の積雪荷重で倒壊したもので、中越地震後、積雪による家屋倒壊での死亡事故が初めて発生した。

木造の風呂場の屋根には、約1mの積雪があり、略算すると1m2当り300kgf の荷重がかかっている事になる。

この旅館は、応急危険度判定において黄色紙(やや危険)の判定であったが、この判定はあくまで、積雪等の積載荷重を屋根面で受ける事を想定しておらず、無積雪時の判定であり、今回のような多雪地域における積雪時の判定は、積雪荷重を考慮し、ワンランク安全側にすべきと防災協会の委員会で説明したのだが...

この点に関して、建築技術2月号で述べているので、見ていただければと思う。

さらに、応急危険度判定をする建築士は、実質、5時間程度の講習を受け、理解できていなくても大地震時には、狩りだされ、1棟当り10分程度の調査で、判定を下しているのが現実である。

こういった、急造判定士とも言える人達は、学生時代に木質構造の講義を受けておらず、 ほとんどの判定士が、マニュアルに則った作業をしているだけであり、中学生でも出来る内容であるとも言える。

本当に自分の家と思ってきちんと調査し、判定している人が一体いくらいてるのであろうか?

大地震時には、数万棟以上の判定が必要となる場合があり、「そんな悠長なことをやっている場合ではない。」と言う人もいてるであろうが、地震直後の一ヶ月ぐらいは、しっかりとした判定が出来なくても、一ヶ月以上経ち少し落ち着いてから、きちんと判定する二度判定というシステムが必要だと思うのは、筆者だけであろうか...

とにかく、木造の耐震構造的な診断や補強部分については、これからも色々と問題が出て来るであろうが、当HPでは参考になる情報を掲載して行くつもりである。


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©Tahara Architect & Associates, 2005