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「阪神・淡路大震災」後 9年目(その2)



1月16日に、マスコミ等から発表された耐震基準不適格「危険建物に補修勧告」について私見を述べたい。
あるマスコミによると、阪神淡路大震災において耐震性能が無い建物が倒壊し多数の死者が出たことから、国土交通省は阪神大震災クラスの地震で倒壊の恐れがあるビルやマンションに対して、勧告制度を導入する方針を決めたと報道された。

そこには個人の住宅に対しては含まれないで、不特定多数の集まる建築物が対象とされているが、そのような建物はS造かRC造であり、このような建物は木造に対して倒壊率にすると非常に少ない。

そのような被害の少ないと思われる建築物に対して耐震補強の方針を打ち出したところで、肝心な木造住宅に対しては触れられていない。
いくら個人の財産だと言え、ビルやマンションも個人の持ち物だってあるはずだが、、、

そのような不特定多数が出入りする比較的大規模な建築物の補強に対し、補強を進めることは裏言葉で話すと大手ゼネコンや中堅ゼネコンを助ける為、ビルもの等の需要を掘り起こすことに他ならないのである。

また、既存の建物を使用しながら耐震補強することは、先進的な技術や特殊な技術が必要となり、大手ゼネコンや中堅ゼネコンと一部の研究者や学者の独占事業となっていると言え、一般の設計者や工務店等の施工者にこのような仕事はほとんど廻ってこない。

このような産官学の連携(開発には初期費用が発生するが、利益を得ようとして癒着の体制がみえ隠れしている)では、ほとんど利益にならない耐震性の低い木造家屋や密集市街地に住む高齢者や一般の人に対しては無視を決め付けているようでは、また阪神・淡路大震災と同様の被害(木造家屋の下敷きによる圧壊死者6000人以上)をくりかえすことにつながるのだが、だれがこのことをに気付くのであろうか、、、


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003