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12月16日に発表された東南海・南海地震について(2)



今回の報道のあとの12月24日に、来年度予算案で地震被害における倒壊家屋への公的な補助金を申し立てていた地域と団体があったが、予算案時には盛り込まれず、閣僚による打ち合わせ(財務省への脅し)とでもいおうか?・・・・

それにより、公的な資金で倒壊家屋等に対し、住宅再建費用の補助金として、最大200万円まで補助してもらえる制度が出来たが、これは、はっきり言って非常にまずい制度だと思える。

つまり、「阪神・淡路大震災」でもわかったように、震度6強以上の地域で倒壊する家屋もあれば、無被害の木造住宅もある。

これは、本当の意味で設計者等による技術能力の差であり、施工能力ではない。

つまり、施工者は設計図書と基に工事をするのであり、その設計図書の内容に問題点があれば、大地震時にはそれが結果となって現れるのであり、決して施工者の問題が手抜き工事等として取り上げられる事はないのだが・・・・

もし、仮に耐震性能を担保した設計であったとしても、施工者が手抜きをしたからというようなばかげた責任逃れは出来ないのであるが、一部のマスコミは、欠陥とか手抜きとかをすぐ書きたてるが、建築基準法が制定された以後に建築された住宅においては、必ず設計者が存在し、さらには、監理者が存在しているはずである。

そういった建築士としての責任をきちんと果たしていない事に対して、もっと責任を問う報道がなされて良いはずであるのだが・・・・

つまり、倒壊した家屋の責任の所在をまず第一に突き止めることが大事であって、その原因が建築基準法の定める、諸規定や安全の精神を謳った第一条に対し、不備があるものについては、損害賠償や禁固刑を負わすことが出来る法律も同時に出来るべきである。

何か今回の補助金制度は、本末転倒であり、倒壊の恐れのある住宅に対しては、耐震診断と耐震補強を義務付ける法律すら出てきていない。

本当にこの日本と言う国は、一体どうしてこんなおかしな国になってしまったんだろう。

確かに被害を受けた人への救済は大事であると思うが、その原因をはっきりさせ、その原因に対処する法律を整備しなければ、「金儲け建築士」や「適当仕事な業者」がまだまだ住み良い建築業界と言われるであろう。

最後に建築関係者以外の方々に声を大にしてもう一度いう。

「建築士と言う職能では、安全を担保する能力の個人差があり、施工金額が全く同じであっても、震度7で倒壊するような設計をする建築士もいれば、同様な地震で軽微な被害に済ませる建築士も存在するのである。」


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003