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続く東北地方の地震



7月26日、5月に引き続いて再び宮城県北部を中心とした地震が発生した。

未明に震度6弱、早朝に震度6強、さらに夕方に震度6弱の地震が発生。

1日に震度6弱以上の強い地震が3回も観測されたのは、観測史上初めてのことだという。

5月の地震は宮城県沖の深さ約71kmの太平洋プレート内部で発生したのに対し、今回は宮城県内陸部の深さ約12kmを震源としており、5月よりもはるかに小さい規模の地震ではあったが、浅いところで発生したために震度6強という強い震度になったと考えられているという。

今回の地震は直接宮城県沖地震につながるものではないということだが、この地域の地震活動が活発になってきているのは確かだろう。

政府の地震調査委員会が、マグニチュード(M)8,0〜7.5程度の宮城県沖地震が、今後30年以内に発生する可能性は99%と警戒を呼びかけている。

どんなに頑張っても地震を防ぐことはできないのだから、発生した際の被害を最小限にするための対策がどれだけできるかが問題である。

その対策のひとつとして、既存木造住宅の耐震改修は非常に重要なものである。

現在、多くの人が木造住宅に住んでいるが、ほとんどの人は自分の家の耐震性能が、どれほどのものなのかを知らないでいるのではないだろうか。

古い住宅では現在の基準法の最低条件でさえ満たしていなかったり、新しい住宅であってもきちんとした施工がなされていないために、実際どの程度までの地震に耐えられるのか分からない状態になっていたりする。

そして住んでいる本人は、自分の家に不安を感じていたとしても耐震補強をするところまでは行動を起こさない場合が多い。

「構造躯体を補強するにはお金もかかるし、強い地震が来て被害が出た時は仕方がない」と思っている人が多いのだと思う。

しかし、耐震補強すれば命が助かるものを、「お金もないので仕方がない」と言って何もしなかったために死んでしまうのはどうだろうか。

個人ではなかなか行動は起こせなくとも、国でどのような被害が出るかを予想しているのだから、被害が出そうな住宅に対して警告をしたり、耐震補強に対する援助を行ったり、そういった対策はとられないのだろうか。

木構造に関しては、一般の人だけでなく建築関係者の間でも認識が浅い。

その認識不足のために、多くの人が危機感を抱けないでいるように思えて仕方がない。

地震によって住宅の倒壊による被害が出るのが当たり前の状態になっているが、それを食い止める方法はあるのだ。

その方法を知らなかったり、知っていてもやらないだけなのである。

自分が住んでいる家について関心を持ち、すぐそこまで迫っている地震に対して何ができるのかを、それぞれがもっと考えてほしい。

そして、国としても耐震補強に対して補助対策を強化したり、建築関係者や一般の人に対する木造住宅の構造に対する認識を、もっと広めるような努力をしてほしいと思う。

被害を最小限にするための対策なのだから、事が起こる前にできるだけのことをしておくべきなのではないだろうか。

後悔しても、なくしてしまったものは元には戻らないのだから・・・・


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003