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林業白書より思うこと



平成14年度における林業白書が林野庁より出された。

その内容は五章から成る構成で下記のとおりである。

第1章  森林の減少および劣化が地球的規模で進行している。

第2章  地球温暖化防止及び生物多様性の保護のため、森林の整備が必要。

第3章  わが国の林業経営が依然として厳しい状況にあり、生産性の向上や林業経営の集約化が必要。

第4章  積極的な木材の利用推進のための供給体制の確立。

第5章  国有林野事業の改革・・・・・

この内容だとすると、第4.5章から推測されるのは弱小林家は「もう無くても良い」と暗に、退場レッドカードを突きつけているものと思う。

確かに弱小林家は、山に手を入れたくても現状の木材価格からすると、手を入れるだけ赤字の拡大となり「現状の木材価格が好転しない限りどうする事も出来ない。」と言うようにあきらめているのが現状だと思う。

だからと言って、少数の資産家に山が集約されることが、本当に山の現状を改善することになるのか?

短絡的な考えでは、その場しのぎの案としか思えないのである。

この第3・4章を解決する策は、国民全体で考えるべきであり、この様な役所が考えた白書で全てが解決するとは到底思えない。

また、第5章の件については、「コラム」の初頭でコメントしているので合せで読んでほしいが、これだけはいえる。

「林野事業の莫大な赤字を埋めるのにまた、国民一人当たり数万以上の税金をつぎ込まなければ、数兆円の負債はなくならないであろう。」

自分の職業は構造設計という職種であるが、そのなかで上記のことを考えつつ、日々業務を行っている。

たかだか5・6mの空間を構成するのに、意匠設計者のほとんどは、「RC造だのS造だの」とすぐ構造種別を決めたがるが、「木造で構築できる可能性がある空間だから、木造で考えてみませんか?」いかがですか・・・


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003