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5月26日の夕方に起きた宮城県沖地震について(2)



今回の宮城県沖地震の被害状況の報告等で、斜面の崩壊による土砂災害が発生した。

この土砂災害は、特殊な事例として報告されているが、それは普通の土で斜面が通常ならば安定し、土砂崩れを起こさないとされている角度(30°)より、緩やかな斜面が崩壊し、高速で長い距離の土砂崩れが発生したのである。

このような災害は、土砂が地震の震幅により、液状化と同様な流体挙動を起こし、非常に緩い斜面でも、地震の周期によっては、起きうると言われていたが、その映像を見る限り、起こる可能性が他にもあることに気が付いた。

それは、この災害を引き起こした場所には、高木がなく、雑草と低木程度の植物しか生えていない事に気が付いた。

これが、もし多様性のある高木(針葉樹・広葉樹・竹)等の樹木があれば、その根が構造的に「斜面崩壊を防ぐネット状の押さえ」となり、このような事にはならなかったのでは、と思うのである。

このような樹木の効果を利用しないで、人工的な鉄筋コンクリート造擁壁等で安易に凌ごうとするのが、防災対策工事では一般的である。

しかし、里山の樹木等の利用は、昔の生活面ばかりではなく、現在の災害防止にも役立つものと筆者は思う。

そのためにも、山の木材生産を生かした森林体系の多様化や、里山の森林利用をみんなで考えなければならない時期にきている事は間違いない。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003