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「リフォーム」という名の無法業界



昨今、「リフォーム」という名の木造住宅における改修工事が盛んであるが、実際のところ、この改修工事は建築基準法から見た場合、違法な工事と思われることが多い。

建築基準法第6条で「建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合は、(中略)確認の申請を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない」と記されている。

つまり、実際には大規模な修繕又は模様替と思えるような工事も、そのほとんどが確認申請を行なわずに工事を行なっているのが現状である。

確認申請を行なうと、現在の建築基準法で定めている建ぺい率・容積率等の規制がかかり、現状よりも小さな面積になる可能性があるので、それは仕方のないことかもしれない。

しかし、上記の確認申請の件については百歩譲って目を瞑っても、そのような「リフォーム」を行なう際に、安全性のことを全く考慮せずに、重要な耐力壁要素等も平気で取っ払ってしまい、表面仕上げのお化粧直しだけの工事を行なっている例がほとんどであると思われる。

その様な場合には、施主に対して見た目の綺麗さや快適な設備については説明をするが、安全性についての説明はまったくない状態で話を進めているのがほとんどである。

「リフォーム」を行なおうと考えている人は、予算的に困難である場合が多いので、構造躯体までに手をかけていられないのが現状であるが、構造安全性能についても正しい説明を行なうべきなのだが・・・・・

また、現在行なわれている「木造住宅の耐震精密診断と補強方法」による診断法では、多くの問題を含んでいるが、その様なことはお構いなしに、曖昧な調査と曖昧な診断で、曖昧な耐震補強がなされているのが現状である。

中には、悪徳と思われる業者が、詐欺めいた商品販売や意味のない金物補強等で、高額の料金を騙し取るようなケースも存在するのであるが、悲しいかな、リフォーム時の耐震補強設計の技術規準すら満足に整備されていないのが現状である。

次の大地震が目前に迫っているかもしれないのに、一体国民の安全確保をどう思っているのだろう?

確かに個人の資産であるが、早急に耐震診断だけでも全国規模で行ない、危険と思われる住宅には警告を発した方が良いのだが・・・・・

また第二の阪神・淡路大震災が起こる事が分かっている。

本当にこの現状に苛立ちを覚えるのは一体誰なのだろうか?


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003