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建築教育に木構造の講義の復活を



現在の建築教育を行なっている、工業高校・工業高等専門学校・専門学校・短大・大学等における建築教育カリキュラムの中で、木造建築における構造教育が行なわれていないのは、戦後の建築教育で最大の失策といえるだろう。

今我々の住まいとしての住宅は、過半数が木造住宅であると思われる。

しかるに、木造住宅の設計教育内容は、構法の説明や、意匠計画がほとんどであり、附録のように設備等の教科や建築史等が入ってくるのみで、最も基本といえる耐震性能の検討法である、「壁量規定」について、習わないまま卒業し、実務に就いて初めて先輩の指導や参考書等で覚えていくのが普通である。

ましてや、木造建築は設計料が少ない上、構造設計者も「S造・RC造は基本として請け負うが、木造はちょっとねぇ・・・・」というようになり、ほとんどは意匠設計者が適当と思われる梁断面等を決め、厄介な壁量規定を守りながら、設計を行なっているに過ぎない。

ところが、最近の自然素材ブームや、リフォームブーム等で、木造建築の出番が多くなり、学生が木造に目を向けていることは嬉しいのだが、果たして本当に木造のいい意味での普及につながるのだろうか?疑問に思えてならない今日この頃である・・・・・。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003