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日本における林野行政という名の摩訶不思議


木造の構造設計という職業に携わるようになって、20年ほどなるが、毎年毎年日本の林野行政には、失望というよりも、もはや意味をなさない行政になったのではと思う。

昭和30〜40年代にかけての国産材需要期には、1立方あたりの価格は、現在の相場に比べて倍以上であったが、戦後の拡大造林による無秩序な植林により、現在の出荷適齢材(60年生)の国産材が景気の影響もあるが、これほどまで安くなろうとは・・・

「国家100年の計」と言うことわざがあるが、100年先のことは分からずとも、せめて右肩上がりの成長が続くとして、木材需要を立てたのかどうかは分からないが、これほどまで国産材が安くなり、さらに将来的な展望が見出せない現状を解決しようという動きが見えないのはどういう訳だろうか?

「もう国産材は林業家・林家に任せたよ。」というように、国は思っているのだろうか?

木造建築の構造設計に携わると同時に、山での仕事(植林作業・下草刈りの作業・間伐作業等)を林業家の小林直人氏のもとでやらせていただいて、その労働と長期にわたる出費に対し、木材価格がいかに安いことか・・・・

このままでは本当に「山の自爆テロ」が始まるのではないかと思えて仕方がない。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003