南方熊楠記念館
白浜温泉には、地味だが必見の記念館がある。
和歌山県が生んだ博物学の巨星、柳田国男と双璧をなす民俗学者、そして日本で初めて「エコロジー」の言葉を使った環境問題の先駆者、南方熊楠(みなかたくまぐす)の記念館だ。
白浜温泉に行かれた際は、是非、立ち寄られることをお薦めする。


南方熊楠については、これまでにも何回となくテレビで彼の特集が報道された。
日時は定かでないが、かって、粘菌の世界的研究者として紹介された番組を見た。そして2004年7月21日午後9時15分からのNHK番組「そのとき歴史が動いた」で、日本の環境問題の先駆者としての取り組みと業績が詳しく報道された。
番組では、まだ環境問題が一顧だにされない明治・大正時代、周辺の無関心と偏見の中で変人と嘲られ、利権と政治が絡む紀伊半島の樹木伐採に猛烈な抵抗をして、巨木・古木の保存や白浜近くの神島の自然保護に成功したエコロジストとしての彼が報道された。

私ばかりでなく、この番組をご覧になった多くの方が、彼の時代の先駆者としての苦労と偉大な業績に感動したに違いない。

そんな彼のプロフィール、多くの縁の品々や業績が詳しく展示・紹介されているこの記念館は、白浜温泉街の中心から車で10分足らず、小さな岬の先端、亜熱帯の植物が茂る小高い山(番所山)の頂上に建てられている。

館内を周ると、慶応3年(1867年)に生まれ、幼少期から常人では考えられない才能を発揮、20歳から14年間、イギリスやアメリカへの留学、10数ヶ国語を自由に使いこなし、生物、民族、鉱物、文学などに才能を発揮した彼の天才ぶりがよく分かる。

晩年、彼は昭和天皇に生物学をご進講し、キャラメルの箱に粘菌を入れて贈呈し、周囲を驚かした。そんな彼を偲んで、天皇は後に「雨にけふる神島を見て紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」という歌を詠まれた。おそらく市井の人を詠まれた唯一の歌であろう。


尚、彼の詳しい情報は南方熊楠記念館HPをご覧ください。

住 所 和歌山県西牟婁郡白浜町3601−1(番所山)
電 話 0739−42−2872
観覧時間 午前9:00〜午後5:00(入館は午後4時30分まで)
休館日 ●毎週木曜日(7/20〜8/31は無休)
●6月28日〜30日(館内整備)
●12月29日〜1月3日(年末年始)
入館料 大人400円 小中学生200円
駐車場 丘の下に駐車場有 乗用車30台(無料)
駐車場からかなりきつい坂が続くが、身体が不自由な方は記念館の目の前まで車で行ける。
アクセス JR紀勢本線白浜駅から明光バス臨海経由アドベンチャーワールド行臨海バス停(約15分)下車徒歩約10分
白浜駅からタクシーで約20分(約2,100円)
白浜空港からタクシーで約15分(約2,000円)
記念館HP http://www.minakatakumagusu-kinenkan.jp/
青年時代の南方熊楠
晩年
記念館正面
展示室
展示品
屋上からの白浜温泉展望
南方熊楠記念館情報