よくいうじゃん、「どうして私のこと、好きなの?」って。
ばかじゃないかって思う。そんなの、わかるわけないじゃん。
で、そういうこと聞いて、なんて答えて欲しいの?

―顔が好き
 びんたされるの決定。

―性格が好き
 あほくさい。

―全部かな?
 だから、特にどこ?
 うーん、ありすぎてわかんない…
 だから特に・・?
  エンドレスエンドレス……

 答えなんてある?
じゃあ、性格が好きっていわれたら…顔はそんなに好みじゃないって言われてるわけで。そう取られたって、仕方ないし。
 好きになるのに、理由がいる?
 好きかなって思える「動機」はあってもさ、好きになる理由なんて、ないじゃん。

 理性にゾクする理由、本能にゾクする感情。

 対立項。
 共通項。

 本能に理由付けなんて、バカみたい。


 恋って、そんな理由いらないよ。きっと。
 自然に、いつの間にかなんだから……


      ×××××××××××××××××××××××××××


「今日も、負け越しかぁ……オレってちょーよぇーの。」
 ふぅっと大きく溜息をつく帰り道。なんだかきれいな夕焼けもちょっと腹立たしく感じる。

「そんなことないよ、和谷は強い、強い」

 少し笑いをこらえたような、でも優しくて低い響きの声が和谷の頭の上にふってくる。
 夕方だからムダに長い影は、和谷の1.5倍はあるんじゃないかってくらい伸びていて。しかもその隣の影は、さらに長い。

 なんか、ムカツク。

「子供扱いしてる…」

 そういって、ちらっと上目遣いで隣にいる、青年―伊角に視線を向ける。
 ちょっと女のこっぽすぎたかな?なんて思いつつも、和谷は拗ねるのをどうしてもやめられなくて。

 きゅっと伊角のジャケットを、和谷の指が小さく引っ張る。そんな和谷に少し驚いた表情をしながらも、甘えてくる和谷をちょっと無視する。

 こういうときの和谷はどうしたら機嫌が直るかなんて、百も承知の伊角だが、今回はちょっと苛めてみたい気分にも駆られてしまう。

「仕方ないだろう?オレが相手だったんだから」

 そのちょっと自信たっぷりな伊角の顔に、和谷はぷぅっとほっぺを膨らませて抗議する。

「そういうことをするのが、子供なんだよ。可愛い子フグちゃん」
 くくっと笑うと、伊角はその膨らんだ頬をむにっと突っつく。

 ぶっと、間抜けな音を立てて和谷の頬がしぼんでいく。でもそのふにふにと柔らかい感触はもちろん残っていて、伊角の指はむにむにつつくのをやめない。

「やめてってばぁ、伊角サン、ううう…あ、お腹空いた!ハンバーガー食べたい!!」

 そういって駆け出した和谷をきゅっと腕で絡み取る。

「とかいって、またオレにおごらせるつもりだろ?」
「いーじゃん!それくらいぃ!」
「ダメだ!」

 逃げようとする和谷を伊角は自分の腕の中に引き寄せる。
 ふわっとオレンジの薫りが和谷の柔らかい髪からほんわりと香ってきて、その髪にそっと顔を埋めた。

「い…伊角サン!!こんなとこでなにするんだよぅ!!」
 じたばた暴れる和谷にお構いなく、伊角はしれっと答える。

「イイ薫りじゃないか。和谷」
 低く耳元で囁かれて、和谷はぽんっっとほっぺが真っ赤に染まる。膨れたり、茹だったり、忙しいほっぺたである。

「お母さんがぁ!好きなんだ、この薫り!!オレ、ヤダって言ったのに…」

 見かけも性格もミーハー趣味な和谷のお母さんを思いだして、伊角はくくっと思い出し笑いをする。確か、和谷の碁に関しても「碁石、おかあさんがネイルアートみたいにお花さん、描いてあげようか?」なんて言われて慌ててオレんちに碁石を避難させていたよな…と。


 そういえば、今日の和谷のカッコはまた一段と……
「じゃあ、この服も…オバサンの…」
 こくんっと大きく頷く和谷。

「なんだかしらないけど、バトロワの制服だってさ…」

 さすがにスカートはムリだから、半ズボンにしてもらったけど…とひとりごちる和谷の姿に、伊角の理性はこらえきれず大きな声で笑ってしまう。

 機嫌をさらに悪化させてしまうのは分かっているモノの、機嫌の取り方もちゃんと心得ているし、笑うのをガマンするのは健康にも悪いしなと理由づけて笑いを優先する。

「……むぅぅ。伊角サン、笑いすぎ!」

 たたっと和谷は長身の伊角の前に回り込むと、下からのぞき込みつつ、ぴっと右手の人差し指を向ける。

「ちょっと、シツレーだと思う!」
 むむむっと眉間を寄せて、いかにも怒ってます!というような表情を取る和谷だったが、その様は可愛いばかりだった。
 和谷だってバカじゃないし、自分が可愛いのも分かってたから。

(きっと、伊角サンだって、めろめろパンチだ!)

 と自信たっぷりの和谷だが。

 しかし。

 伊角の瞳が少し細められ、ぴんっとその和谷の眉間を撥ねたのち、突きだした細い指をきゅっと自分の手の中に収める。

「そういうお前の方が、失礼だぞ、人に向かって指さししちゃダメだって言われなかったか?」

 余裕たっぷりで返す伊角に、和谷は指を捕らえられた状態でじたんだを踏む。

(ムカツク、ムカツク、むかつくーーー)

 …で爆発。和谷のワガママモード完全に発動。

「伊角サン!オレのこと嫌いなんだぁぁ!!」
「なーに言ってんだよ、和谷」
 突然ふにゃあっと泣き顔になった和谷に、さすがの伊角もちょっとやりすぎたかなと思ってしまう。
 べそべそと涙が溢れてくるのを止められない。

「ねえ、伊角サン、オレ、可愛くない?どーしてオレのわがままきいてくれないの?……オレのこと嫌い?」

 自分で言ってしまった言葉に、自分で傷ついてしまっているようだった。バカだと思うけど、どんどん目頭が痛くなってくるし、胸もちくちくしてくるし。

 ワガママな自分は知ってる。
 伊角サンが年上で、優しくて、カッコイイから、他の人にワガママ言うの以上に言っちゃう。

 伊角サンが好き。

 傍にいて、優しく頭撫でてくれる伊角サンが好き。
 なのに…

 そしてふっと思った。

 いつも負けて機嫌が悪いとき、伊角サンがこんなわがままな子供にしてくれること。
 オレの手より、ずっと大きな手で、ぽんぽんって頭撫でてくれるのに…

―今日はしてくれないし……

 再び寂しくなって、第二陣の涙がぽろぽろっと零れそうになった瞬間。

 くしゃっ、と。

 温かさが、舞い降りる。
 大きな手と、優しい感触。

「和谷」

 優しくて、強い声。
 でも、泣いている顔を見られたくなくて顔を上げることが出来ない。そんな和谷にふっと口元に笑いを浮かべながら、伊角は捕らえていたその人差し指を軽く引き寄せた。

「あ…!」

 不意をつかれた形になった和谷の体が斜めに傾き、そのまま小さな躰を伊角は受け止める。

 さっきと同じ体勢。
 だけど、さっきよりもずっと、心拍数は大きくて、辺りも暗くなっていて。
 そして込められた伊角の腕の力もさっきとは格段に違っていて、痛いくらいだった。

 じゃりっと土の音。

 日が落ちて、少し肌寒くなった気温。
 少し強く吹いた風も冷たいけれど、でも、知らないウチに火照った体にはすごく新鮮でキモチイイ。

「可愛いよ、和谷は。」

 どきんっと心臓が音を立てて弾ける。伊角の胸にぎゅっと顔を埋めて、熱くて仕方ない頬を、寄せる。

「可愛いから、なんだってワガママを聞いてやるよ」

 怖いくらい、真剣な声。
 和谷の心に響いてきて反響してくる。
 こんなに、強い伊角の声は聴いたことがなくて。

「でもさ可愛いから、苛めたくもなるんだよね」

 細い和谷の腰に回されていた片腕がすっと背中を伝い、そしてうなじへとたどり着く。

「…!あ…やぁ」

 愛しいモノを撫でるように、白くてきれいな和谷のうなじに指を這わせる。それだけで、体中が熱くなってきて、和谷は小さく高い声をあげた。

「な、和谷。その可愛い顔、オレに見せてくれないか?」
「…い、すみさん・・やだ…」

 その言葉のままに従うのは絶対、イヤで、腕の中でぐいぐいっと大きく首を振る。

 車のクラクションが遠くで聞こえる。もしかしたら近いのかも知れない。でも、混乱した和谷の耳にはもう伊角の声以外、ちゃんと聞き取れなくなっている。

 悪戯に動く伊角の指は、器用に和谷の顎まで伸ばされると、くいっとそれを引き上げる。
 そうなると、もう和谷には抵抗することが出来なくなっていた。

 向けられたままに、和谷の顔が伊角の瞳に映し出される。

 赤い目と、紅い頬と唇。
 とても可愛くて、綺麗な和谷。

 それは、顔だけじゃなくて、伊角が知る和谷自身。
 可愛くて純粋。
 伊角はゆっくり顔を近づける。
 腕の中の少年の、紅い唇に自分のそれを静かに重ね合わせる。
 最初は、優しくそして、短く。

「ふぁ・・あ…ん」

 微かに漏れる、和谷の声に刺激されて、再び口づける。
 今度は、もっと深くて激しく。
 和谷の奥深くにまで入ってくるディープキスに、初めての感覚が幼い体を駆けめぐる。

「…ぁ」

 絡め取られた、舌。
 絡め取られた、心。

 体中から抜けていく、力。なのに、抱きしめられた伊角の腕から感じられる激しさは、消えない。
 長い、長い、繋がり。

「伊角サン…」

 唇が解放される。
 和谷の瞳が、ゆっくりと開かれていく。

「和谷」

 静かな響き。
 伊角の整った顔が思った以上に間近にあることに少しビックリしつつも、和谷はにっこりと笑いかけながら、問うた。


「…オレのこと、好き?」


 その言葉に、伊角の顔が柔らかく微笑む。
 唇が、動く。


「好きだよ」
 

 再び伊角からのキスを受ける。
 今度は、目を閉じなかった。
 伊角がキスしやすいように、自分から少し上を向く。
 柔らかくて、熱い感覚。

 和谷の瞳に映るのは、黒いカーテンの準備が始まった空。
 空の東の方には月がこんにちは。

 そしてここ。 
 児童公園。
 いつの間にこんな所に来ていたんだろう?
 こんな時間じゃ、人目もないし。
 やってくるのは、2人きりの世界を満喫したいバカップルだけ?

 (ってことは、オレと伊角サンも…バカップル!?)
 なんて、ちょっとかぁぁっと赤面してしまう。

 好きだ、なんてあんなマジメに言われたのが実は尾を引いてるのか?

 恥ずかしいっと心の中でじたばたしている和谷の声に再び、バカップルの片割れ、伊角の声が入ってくる。

「和谷・・?」
「…あ、ご、ごめん。伊角サン!」

 心配そうな表情でこちらを見る伊角に、ドキドキしてしまう。
 キスから解放されたものの、伊角の広い胸に抱かれていることは事実で。


「和谷」


 伊角は、少しキツイトーンで腕の中で百面相している少年を呼ぶ。その百面相は、伊角からは角度的にみえないのではあるが。
 呼ばれた声のトーンにちょっと驚いたのか、反射的に顔を向けてくる和谷を、伊角は見つめる。

 強い光で、前を見続ける瞳は今は潤んでいて、頼りなげで。でもその瞳の奥にあるのは、きっと汚すことの出来ない透明な輝き。きゅっと少しつり上がった目尻に気の強うそうな意志が見え隠れする。

 小さくて紅い唇。柔らかそうな頬と髪。
 可愛くて、汚れない少年。
 だから。


 (不安にもなる)


 甘えたように、ワガママを言う和谷。
 伊角サンが、好き…と楽しそうに、少し恥ずかしそうに言ってくれる和谷。
 だけど。

「伊角サン?」

 今度は、伊角がぼぉっとしてしまって。和谷はその名を呼ぶ。
 そして、伊角の瞳に、焦点が戻る。

「どしたの?」

 自分を見つめたまま動かなくなってしまった伊角が心配になって、和谷は自分の指をそっと伊角の頬に寄せた。
 それと同時に、再び伊角の唇が動く。

「和谷は、オレのこと好きか?」
 
 その問にきょとんとしてしまう、和谷。
 頭の中に、カラスが飛んでるみたいだと、思う。
 でも、問う伊角の声がせっぱ詰まってる感じだったから、和谷はちょっと恥ずかしかったけど精一杯答える。


「好きにきまってんじゃん」


 そして伊角からの答え。


「じゃあさ、和谷は一体オレのどこを好きになった?」


 その問にぴくっとなった和谷に、伊角は気付かない。
 いつの間にか解かれた伊角の腕から、呆然と見つめる和谷の瞳の変化にも気づけなかった。

「どこが気に入ったんだ?お前、もてるだろ?可愛いし。オレなんかよりずっとカッコイイヤツ……」


ぱちん!


 公園に響く、高い音。
 そして頬に走る、冷たい痛み。

「…何す…!…和、谷?」

 突然の平手に、キツク言おうとした伊角は自分を真っ正面から睨み付けている小さな少年の雰囲気に圧倒されて声が出なくなる。

「バカ…伊角サン、バカじゃねーの?」

 きゅっと握りしめられた和谷の拳が微妙に震えていた。表情は今にも泣き出しそう。

「…和谷。」
「じゃあさ、伊角サンはオレになんて答えてもらいたいの?その通りに言ってあげる!」

 きっと睨み付ける、茶色い瞳。

 その和谷の問に対して、何かを言おうと口開くが、言葉が出てこなくて黙り込むしかなかった。
 
 声の響きと、静寂。
 なんだか空間が切り裂かれたよう。


「ねえ、オレ、伊角サンのこと、好きだよ?
 どうして?信じてくれないの?」


 冷たくなった伊角の手を、暖かい自分の頬に引き寄せる。


「こんなに、あったかいでしょ?ドキドキしてるから。伊角サンが好きだから」


 かつんっと、小さな小石が転がる。2人のどちらかのつま先に当たったのだろうか。

「和谷…」

「どこが好きなんて、答えたくないし、答えられない」

 今日だけで、なんどこの胸に頬を寄せたかな、なんて考えつつ、和谷は目を閉じて、そして自分の腕を伊角の首に回した。


「好きだから、好き。それじゃ、ダメ?」


 パーツで好きなワケじゃない。
 好きだなって思う気持ちは、理由なんてないし。
 どうして好きなの?って言われても。分かるわけない。
 好きだから、好きとしか、答えられないじゃん。
 純粋な、たった一つの想いだから。
 大切に出来る。

 こういうところが好きで、こういう場面でこんな感じに好きになっていって…なんてコトバや文章で説明してどうなるの?

 わけわからなくなるのがオチだし、脚色されて事実じゃなくなってしまうかも知れないし。

 そんな複雑な考え、いらないと思う。

ぎゅっと抱きついてくる和谷を、伊角は優しく抱きしめる。
和谷の、優しい気持ちと真摯なまでの、自分への恋心。
何を不安になっていたんだろうと。
和谷が自分に向けてくれていた心は全部真実だった。
 自分への可愛いワガママは、すべて好きという気持ち。



「ごめんな、和谷」
 髪を撫でながら、伊角はそう和谷に伝える。その言葉の真摯さに、和谷はゆっくり伊角に顔を向ける。

「…伊角サン、オレを何度も泣かせたバツ!
 キスして?それで許してあげる」

 びっくりした伊角をしり目に、いたずらっ子の様な瞳で伊角をのぞき込むと、和谷は目を静かに閉じた。
 和谷の長い睫毛が少し震えている。緊張しているのだろうか?
やっぱり初めて自分から誘ったからかな…と思い伊角はふわっと笑う。


「ああ、何でもワガママ聞いてあげるよ。和谷が、イヤだって言うまでな」


 優しく穏やかに。
 静かに気持ちを込めて。


「イヤに、なるわけないじゃん。…オレのワガママは、ちょー特製なんだから」


 くすっと笑い合う。
 かさなった2人の気持ち。
それを夜の帳を彩取った星の光と月の滴が、ゆっくり舞い降りるようだった。



       ×××××××××××××××××××××××××××



「ねー、どころでさ、どーして最初、オレのワガママ聞いてくれなかったのさ」

 公園で過ごして心はほっとほっとな2人だが、さすがに寒くなってしまった。伊角の手には缶コーヒーとホットイチゴミルク。もちろん、伊角のおごり。

 姫ご所望のホットイチゴミルクを渡す。で、姫―和谷は嬉しそうにお礼の笑顔を振りまく。
 それだけで伊角の表情はへにょへにょになっているんだから、まさに姫と従者だ・・

「どうでもいいだろ、もう」
 あまり言いたくないのか、伊角は缶コーヒーのプルトップを開け、ごくごくと飲み始める。

 そして、下からじーっと自分を見上げる和谷の視線に絶えられず、はあっと大きく溜息をついた。

 どうしても、この上目遣いには自分は弱いようだった。

 ふぅふぅしながら、カップを両手に持ってミルクを飲む和谷の可愛さにノックアウトされつつも、少しトーンを落として話し始める。


「…一度くらいさ、オレがリードしたい。年上だし」


 その答えに脳天気にミルクを飲んでいた和谷の頭の上にクエスチョンマークが飛び交う。首を傾げるかないというのは、まさにこのこと。
 不思議そうに見上げてくる和谷に苦笑しながら、飲みきってしまった缶コーヒーをくしゃっと潰す。


「ちょっとはさ、オレもカッコつけたかったってトコかな」


 そういうと、伊角はくるっと180度回転して潰れた缶をぽいっとゴミ箱に投げ入れる。見事に入り、カシャンっという金属音が響く。

「伊角サン?」

 なかなかこっちを向かない伊角に不安げな声をかける和谷の呼び声が聞こえるが、今振り向くのはちょっと、勘弁したい。かなり恥ずかしいことを言っているのが、分かるから。

 結局、好きな子のまえで、ちょっとカッコつけてみたかっただけってことなんだし。

 少ししてから、ぽんっと柵から降りる音がすると、ぽすんっと何かが投げ入れられた音が続く。多分、和谷がゴミを捨てたのだろう。

「伊角サン」

 ふいに腰の辺りに柔らかいモノがぶつかってくる。
 後ろから、きゅっと小さな躰が抱きついてきたようだ。

「わ・・和谷」

 振り向こうとした伊角を、ダメっと和谷は小さく制止する。
そして、頬を伊角の背中に埋めて、小さく呟く。

「バカだ、伊角サン」
「…?」


「伊角サンは、すっごくカッコイイよ? 
 オレのこと、いつも引っ張ってくれてる…」


 後ろを振り向くのはダメダと、和谷に言われたけど、このワガママはきいてやらない。

 くいっと回された和谷の腕を自分の前に引き寄せる。
 不意に合う視線。

 にっこりと笑いながら、和谷は言葉を紡ぐ。


「オレ、ちょー特製ワガママだもん、
 こんなの受け止められるくらい広くて大きい人、伊角サンだけだよ」


 天使のようにふわふわとした笑顔で和谷は大切な恋人に、笑いかける。甘い、イチゴの薫りを添えて。
 その天使に心奪われそうになって、伊角の顔は崩壊寸前になる。
 でも、天使ちゃんの告白はまだ終わらない。

「おれね、ワガママだからみんなにワガママいうんだよ?学校の友達とか、センパイとか」
 その言葉に、花が咲いていた伊角の思考が不自然に止まる。
「…え?」
「愛しの和谷にこうまでたのまれちゃ、断れないって☆」

 どんどん固まっていく伊角に気付かない様子で、話を続ける。
 そして、固まったかと思うと、がばっと伊角は和谷の肩に手を置いてまさに、ツバを飛ばす勢いで詰めよった。

「わ、和谷!!お前…」

 せっぱつまった表情の恋人に、和谷は無邪気な笑顔を見せると。
 人差し指をぴっと立てる。

「でもね、こんなワガママは、伊角サンだけにしか言わないよ」


 そういって甘い香りのする和谷の唇が、伊角の耳元に寄せられる。


「―」


 ぽんっと赤くなる2人。
 伊角はふいに和谷を抱きしめようとして、でも、するっとその手から和谷は逃れる。

 ぱたぱたっとかけていく軽やかな足音が公園に響き渡る。楽しそうな2人の足音。互いに呼び合う声。
 空で奏でる、光の演奏に添えるような、軽やかな楽しげな、響きだった。
 


『伊角サン、オレの傍にずっといてね。
 そしたら、お礼に、オレのハジメテ、あげるよ☆』



 こんなワガママ、一番大好きな人にしか、言えないから。
 ね。叶えてね。




―ねえ伊角サン、オレのこと好き?
 『好きだよ』
 ―どこがすき?
 『……』
―ねえ、どこ?
 『理由なんてないよ。』
―どーいうこと?
『好きだから、好きなんだよ』
―……
『これでいいかい?』
―うん!合格!



                                  〈HAPPY END?〉
COMMENT

 なんだか訳の分からない文章になってしまいました・・・初のイスワヤ。どうでしたか?一応キリ番ゲットしてくれた早ちゃんへのリク小説です☆
 こんなんですみません・・・伊角サンが別人だ・・・なんだ、こりゃ?
 モチーフはワガママいっぱいの和谷クンと、それを優しく笑って叶えちゃう和谷っちにベタボレ伊角サン☆ってかんじかな♪(つまり、つよたんと原ちゃん/笑←アタシと早ちゃんにしかわかんねー)
 一応シーンは、棋院にいる頃ね。ヒカルがいなかった辺り(笑)和谷クンが中1、伊角サン高1くらい。ああ、ラブラブ・・・