プレ・ラブトライアングル

やっぱり好きな子には自分を一番大切だって想ってもらえてたら嬉しいなって思うのが普通じゃない?三角関係にいる、今の状況だったら、余計にさ。
 もちろん、アイツとは友達だし、すっげー大切だけどさ。
 でも、それでも、オトコノコには引けないときもあるってゆーじゃん?恋愛と友情。両方大切だけど。
 やっぱ、だからこそ、恋愛も進めたいわけ。友情ばかりに傾くと、ちょっとさ、このまま友情路線で行っちゃいそうだから。オレは、それはかなり不本意。
 可愛いくて、オバカなアイツと友達でい続けるのはそれでそれはいいけど、でもアイツの綺麗な唇とか、そういうの、俺だけのものにしたいって。強く思い始めてきたから。なんか、若さ溢れるって感じだね。
 ま、小さい頃から二人で守ってきた可愛いコは、守られ過ぎがたたってか、ボケボケ鈍感なコに育っちゃって。
 ここら辺で、少し、きっかけは作りたいよね、友情だけに向いてるベクトルを、少し、さ、恋愛って方向に。

 それから、可愛いあの子が、どう、思ってるのかとかさ。
 意地悪な質問だけど。
 でも、聞いてみたかったから、聞いてみた。






「なー、かずまぁ…」
「・・?何、ゆーと?」

 ころんっと、オレの部屋のベッドを占領して転がってる一馬に声を掛けた。
 ベッドの下に座ってもたれながら本を読んでいた英士がちらっとこちらへ視線を向けたから、ふふんっとちょっと唇を上げてにやっと笑ってみた。不審そうにオレを見るけれどそれを無視して、ちょこんっといつの間にかベッドの上に正座している一馬に視線を移した。
 猫みたいに綺麗な色の瞳に、自分だけが映っているのが、なんだかゾクゾクするくらいに嬉しくて。思わず、がばっと一馬の細い腰に抱きついてしまう。

「うぁ!!な…なんなんだよ、ゆーとぉ!!」

ぎゃっと、悲鳴をあげる一馬に、色気が足りない!と思いつつも、じゃれじゃれ攻撃だ。

「ばかじゅまスキだぞーー!!」
「わっけ、わかんねーよ!!!」

 ぎゃーーーっとじたばた暴れる一馬の唇に結人様特権のおふざけでチュー攻撃!と迫ったところで、後から、がしっと、服を掴まれる。

「何やってるの、結人。一馬が嫌がってるでしょ?」
「えーしぃ!!!」

 涙目になってる一馬が英士を可愛く呼ぶ。その声とかのトーンが、凄く甘えた感じで安心してるってのが溢れてて、ちょっと…いや、かなり面白くない。
 なんだよ、一馬のヤツー。オレにはそんな風に、安心しきった声でなんて呼ばねーじゃんかぁ。
 ずるずると英士の腕で一馬から引き離される。くそぉ!ムカツク。
 一馬の上から引きずり落とされ、そのままどしゃんっと床に落ちてしまった。ああ、床の硬さが一馬の体の柔らかさと正反対で、なんだかココロまで痛い。

「一馬、大丈夫?」
「…ん…だいじょぶ…」

 あ、心配してますって顔して一馬を安心させておいて。英士の手は、一馬の細い腰に回されてる。一馬は昔から、英士には完全に無防備だもんな。まぁ、オレサマにだって、一馬は無防備だけどな。イヤダっていいながら、一馬笑ってるしさ。そういう関係が、心地いいのは確かなんだけど。
 でも、オレは英士みたいに、ガマンできるタイプじゃないから。



「でさ、何?ゆーと?」
「…ん!?…うぉ!」

 突然、目の前に赤い唇が…じゃなくて、一馬の顔がアップに迫ってきて声がうわずってしまう。オレの反応に、反対に一馬の方がびっくりしたようで大きな猫目をぱちくりさせて、じっとオレを見てる。さっき暴れた名残なのか、少し頬が赤く染まってるのが強く目に留まる。
 もう一度さっきのパターンを繰り返しそうになった寸前に、感情のまったく籠もっていない冷静な声が降ってきて、一時中断。

「だからさ、結人さっき何か言いかけてたでしょ?」
「そーだ、ゆーと、何?」

 二人からの熱い視線と冷たい視線を一気に浴びて、さすがの結人様も引いてしまったが。そうそう、そうだった。さっきの質問。


 しーんっと、静まり返った状態で、こんな改まったところで聞くようなもんでもないんだけれど…と思いつつもまぁ、いいやと途中になっていたコトバを再び続けた。

「あのさ、もし…オレと英士がさぁ崖で落ちそうになってたとしてさ。どっちか1人しか助けられないとしたら、かじゅまくんならどーする?」



「…は?」
 



 突拍子もない質問に、一馬と英士はぽかんっとしてオレを見る。いつもなら、「かじゅまって呼ぶな!」っと反撃するのがほとんど条件反射のようになっているのに、今回はそのツッコミすら起こらない。
 おおよそ現実的ではない質問に完全に面食らってるみたいだ。
 そう、すっげー現実的じゃない。
 でも、凄く意地悪な質問で。
 英士はすぐにオレの意図を読みとったのかあからさまに表情を歪める。

「そんなの…ゆーともえーしも、オレ、助けるよ!」
「だーめ、答えになってない。オレが聞いてるのは、どっちか1人だってコト」

 予想通りの一馬の答えに、オレは大きく腕で×印を作ってその答えを却下する。一馬の表情がみるみる曇っていって、泣きそうになってるのが分かる。自分でもよく分かってる、そんな質問に答えられるような、一馬なんかじゃないって。
 オレは、膝立ちになって、一馬の細い手首をぎゅっと掴んだ。
 びくんっと、その腕が振るえたのに気付いたけれど、構わずにぐぃっと引き寄せた。ぎしっと軽くスプリングが鳴った。

「結人!何バカなこと、聞いてるの?一馬が困ってるデショ!?」
「英士は黙ってろよ、オレは一馬にきいてんだからさ」

 一馬を後から自分の胸元に抱き込もうとする英士に、オレはぴしっと切る。
その気迫に飲まれたのか、ぐっと詰まる英士にニヤッと笑みを浮かべて。

「…ていうか、一馬の答え、英士は聞きたくないの?」
「結人、いい加減にしなよ?」
「オレは、すっげー聞きたい、一馬の答えがさ」

 オレは英士のコトバを聞き流して、素直に自分のキモチを口に乗せた。オレは、お前みたいに「大人のフリ」なんてできないし、うまくないから。聞きたいから、ってキモチにウソはない。

「何子供みたいなコト言ってンだよ、結人」
「うるさい、英士には聞いてねーじゃんかよ!?」
「結人!!」

 ごちゃごちゃと構ってくる英士に声を荒げる。ひくっと一馬が小さく息を飲んだような気がしたけど、英士のコトバがいちいち勘に触ってイライラしてて。
 リロセイゼンとしていて、正論で。冷静で客観的で。一馬が本当に安心して甘えて一馬自身を出せる、たったひとりの、相手。敵わないなんて思ったことはないけれど。だけど。

「じゃあさ、英士は聞きたくないの?一馬の答え。聞きたくないなら、出ていけばいいだろう?何そんなにムキになんだよ?」
「……一馬が困るようなことは、聞かないよ、オレは」
「!!」

 バカじゃないのかって思った。
 お前、何歳だよって。
 だから、かっとなって。
 立とうとしたら。



「なんで!?なんでケンカになってんだよ!!」

 一馬の、びっくりしたような声が真ん中に入ってきた。そういや、一馬の腕を掴みっぱなしだったことに気付く。

「しらねーけど、なっちまってたんだ!」
「なんだよ、ソレ!」

 一馬が、オレの手から自分の腕を必死で離そうとして身をよじっているのを見て、思わず英士へのイライラを一馬にぶつけてしまう。

「一馬がちゃんと答えねぇからダロ?」
「オレは、ゆった!二人とも、助けるって!1人だけなんて、ヤダ!!!」

 首を左右に大きく振って、その拍子に一馬の瞳の奥から一粒だけ、涙が零れた。やめろよ、って思う自分がいるけれど。止まらない自分もいて。そして、止められなかった。

「だって、二人ともを選べないときが、いつかは来るかも知れねーだろう!?」
「結人…?」
「結人!!」

 さっきよりも一段とするどい声で、英士が俺の名前を呼んで。 
 その声が、頭の中に大きくこだまして。
 オレは一馬の腕をゆっくり放した。さっきまでの力がどこへいってしまったのか、一馬の細い腕は放物線を描くみたいに力無く落ちていく。その手を、英士が、ゆっくりと手中に収めた。
 キツク咎めるような英士の視線を、オレはちらりと見て、受け止めた。暗示したオレの言い方に英士の黒い瞳の色が、さらに深みを帯びたように見えた。
 オレと英士は親友で。オレと一馬も親友。一馬と英士も親友。
 俺達は、親友。
 親友なんて生涯に何人もできるモノじゃないって誰かが言ってたけど。でも、1人だけじゃないとダメなワケじゃない。


 だけど。恋人は?


 恋人になれるのは、たった一人だけ。

 ていうか、オレら二人から告られてさ、両方蹴られるかもしれないじゃんって思って当然だけど、でも、そんなことはもっと考えられなかった。オレと、英士以外のモノに一馬が?
 絶対、あり得ないし。あり得させない、俺達が。



「あっ!一馬!」

 英士の声に、オレははっと思考を現実に戻した。そしたら、さっきと同様英士の腕の中でじたばた暴れている一馬がいて。多分突然の一馬の抵抗だったのかも知れない。英士もオレも、一馬の、振り払われてからの行動をバカみたいに見てるしかなかった。
 ベッドが軽く軋んだ音を立てて、そして、一馬の体が床に下り立つ。そしてぽかんっと口を開けて。立ち上がった一馬を見るオレと英士に、一馬は綺麗な瞳を不安げに揺らめかせて。

「えーしも、ゆーとも…オレのことキライなのか?」
「え…?」

 震えた唇を必死で隠すみたいにして。一馬はゆっくりと窓際の方に歩を進めていった。窓ガラスは大きく開けられていて、青い空のキャンバスに、白い柔らかな雲が描かれているみたいだった。

「かずま…?」

 透き通るような青い色が、一馬の黒い髪を侵していくようで、心臓がどくどくと音を立て始めた。
 窓の外を見て、俺達に背を向けていた一馬はゆっくりと振り返った。窓枠に軽く指をかけて。さっきまでの涙で潤んだ瞳が、光に反射して水晶みたいに透き通った煌めきを宿す。

「二人とも助けられないならさ」

 オレは、ゆっくり一馬の声に、彼の表情を視界に入れた。
 窓際に立って、すくりと立っている姿は凛としていて、とても綺麗。
 オレが自分のことを見つめていることに気付いたのか、アイツはふわっと、泡みたいに儚げで、でもとても綺麗に笑みを浮かべて。
 赤い唇が、コトバを繋いだ。



「オレも一緒に崖から落ちるヨ」



 そういって、一馬の華奢な躰がふわりと舞うように、体が浮いて。
 窓の外の、青い空に、一馬が…奪われていくみたいに見えた。何も考えられなくなって本能的に体の中で何かが叫んだ。
 その、温かい躰を、必死に自分の腕を伸ばして。蒼から、彼を奪い返そうと、その彼を強く強く引き寄せた。


「一馬ッ!!!」


 近くで英士の声が聞こえた。オレも何か叫んでいたと思ったのに、自分の声は耳には入ってこなかった。けれど。心の中のオレの声と、英士の声がぴったりと重なり合ったような気がした。
 オレの腕が、一馬の腰をぐっと内側に抱き締めたのと同時に、ガタンッッと大きな音が部屋中に広がった。
 床に、へたりと座り込むように崩れ落ちたカズマの躰を前から抱き締めていた。トクンッと、大きく一馬の鼓動が薄い布を通して伝わった。
 はぁっと吐く、一馬の吐息。
 それを感じて、徐々に恐怖が大きくなっていく。
 空に奪われそうになっていた、この存在。絶対に、手放したくなんかない。

「なんて危ないことするの、一馬!」
「そうだ、バカズマ!」

 甘やかしてばかりで、あまり一馬を怒鳴ったコトなんてない英士すら端から見ても怒っていると分かるくらいに表情を険しくしている。もちろん、オレだって、いつもの調子とは違う声で一馬にむかって叫んだ。
 前からオレに、後から英士に抱き締められて、床にちょこんっと座っていた一馬は、オレ達の声に驚いたのか、大きな瞳を不思議そうにくりんと動かしたあと、目のあったオレに、ゆっくりと笑顔を見せた。

「一馬…?」

 花がほころぶようなとしか言えないように、一馬は今までオレ達ですらあまりお目に掛けられないくらいに嬉しそうな微笑を見せてくれていた。
 英士がオレの様子のおかしいのに気付いて、一馬の瞳をのぞき込んで。オレと同じように一馬から視線をそらせられなくなっていた。
 その赤い唇がコトバを紡いだ。


「だって、こうしたら絶対に二人が来てくれるって信じてたから」
「え…?」


 オレと英士の声が重なる。一馬はアーモンド型の瞳を少し細めて、悪戯っぽく上からのぞき込んでいる英士に向かってもう一度ニッコリと笑う。


「それが、答えだよ、ゆーと」


 そう言って、一馬の瞳の中にオレの姿が映った。
 オレも英士も、一馬の言葉の意味がすぐに理解できなくて。カズマの躰に腕を巻き付けたままバカみたいに呆けていた。そんなオレ達を横目に、一馬はコトバを続けた。

「オレが死ぬって言ったら、今みたいにお前ら必死で止めてくれたじゃん。だからさ。オレを止めるために、崖からだって這い上がってくるだろ??そしたら、二人とも、助けられるだろ?」

 英士が微かに身じろぎして、一馬の髪がふわりと揺れた。
 少し照れたように小さな声でそう告げた声は、けれどきっとオレ達だから分かるくらいの震えも感じられた。
 きっと怖かったんだなって感じた。飛び降りることに対して?そうじゃないって分かる。もっと、もっと…

「だからって一馬、こんな危ないこと…」

 英士が一馬の背中からうなじにかけて回した腕に力を込めたのが伝わる。一馬は英士の腕の中に背中を預けて、その腕に頬を寄せた。オレは、ゆっくりと一馬のその反対側の頬に自分の指先を添えていく。
 温かい一馬の体温が、オレの冷め切った指先からぬくもりを伝えてくる。その、指に、一馬の指がぎこちなく絡められた。
 そして、一馬の視線とオレの視線も、自然に交わる。



「オレ、お前らのためなら死ねるよ?」



 ―オレが、命かけたら二人とも助けられるなら、それでいいよ



 小さな声だったのに、オレの耳の中では何度も反響するくらいに、響いてきた。泣きたくなるくらい綺麗な響きだった。きっと、英士にも同じように聞こえてる。
 ゆっくりと閉じられて、瞼の下に隠される瞬間の一馬の瞳は透き通っていて、本当に自分を映しているの?と問いつめたくなる。強い不安と後悔と。嬉しさと。ごちゃまぜになって、何も言えなかった。
 バカで要領悪くて。すぐにへこんで、弱くて。
 いつも周囲に毛を逆立てて牽制してるけど、本当は泣き虫で。
 ココロは水晶みたいに綺麗なクセに、ガラスみたいにすぐに、傷ついてしまう。
 オレと英士がいなきゃ、何もできないクセに。

 でも、そんな一馬のコトバだから。
 信じられないくらいに、強く響いた。

「一馬…」

 オレの口から発せられたのに、自分の声じゃないみたいだった。



「けど、オレ、お前らのこと信じてるから」
―崖から飛び降りたって、怖くない。
 お前らが、いてくれるから…


ぎゅっと、一馬の指先がオレのソレを強く握りしめた。必死で、離さないでと。
顔を下げたままの一馬の表情はオレからは見えなかったけれど、英士の腕に一粒の滴が落ちて光ってたから。多分、泣いてるんだと、分かった。
 英士とオレの手を自分の胸の中に引き寄せるみたいにして、一馬はオレ達に縋り付いてた。

 英士が、一馬、と呼んだ。
 ひくっと、一馬の嗚咽が静かに聞こえてきた。

「怖かったの?一馬」
「こわくなんか…ないっ」

 しっかりと英士にしがみついて言ったって、真実味が足りないよ?

「泣いてンじゃん、一馬」
「泣いてなんか、ないっ」

 オレの手に涙いくつも落として言ったって、やっぱり真実味なんて全くないよ。

「泣いてるじゃない、一馬」
「泣いてない!」
「泣いてる」
「やっぱ、怖かったんだろ?かじゅまくん?」
「違う!ゆーとが、変なこと聞くから!!だからっ!」

 おや、そこに行くの?かじゅまくん??
 オレは、かなり痛い視線を一馬の背中の後から感じた。


「…だから、泣いたの?」


 一馬に尋ねる声は果てしなく甘くて、優しいけれど。
 英士の目は完全に据わってるから、オレは溜息をつくしかなかった。


「結人!一馬を泣かせちゃったんだから、謝りなよ」

 なんだか腑に落ちないところがあるけれど、今回は素直に言うことを聞いといてやる。

「ゆーと…?」

  じっと見つめてくる目に光る涙が、一馬の本当のココロをよく映してる。なんだかんだいって、オレもかなり一馬に弱くて、甘くて、メロメロなんだよな。結人サマともあろうものが、余裕なくしてジタバタしてしまったくらいに、めろっめろなんだ、オレ、コイツにさ。
 ぽーっと子犬みたいにオレのこと見てる一馬に、少し悪戯心がむくむくと浮かんでくる。
 ぐぃっと力任せに一馬の肩を引き寄せて、英士の腕が一馬から一瞬離れたスキにオレは強引にその華奢な躰を腕に受け止めた。


「あ…」


 声があがった瞬間、オレはぺろっと、一馬の涙を舌で舐めた。


「や…」


 可愛く声をあげるカズマに、小さく耳元で「ごめんな」と謝り、後ろ手ブリザードを吹き荒らせている英士に、べぇぇっっと宣戦布告をしてやった。

 一馬は、俯いてしまって表情は見えなかったけど、きっとコイツの好きなリンゴみたいに可愛く真っ赤になってるんだろうなって思って、にやにやしてしまうのを抑えられなかった。

 不意に下から電子音が聞こえてくる。

「あ、電話だ!誰も今いねーから、取ってくる!」
 オレはそう言って腕の中で独占していた一馬の躰を、離す。なんだか、あったかい一馬の躰を


離すと二度くらい体温が下がったような気がする。うわ、もう、ダメダメじゃん、オレ。
 英士がすぐさまぎゅっと一馬を引き寄せようとしていたから、むむっと思って。この強力ボランチ結人様からそうそう簡単に英士にだって、一馬は渡してやんない。
 立ち上がったトキに、一馬の耳元で静かに、囁いてやる。



「スキダヨ」



 びっくりしたような瞳で見上げた一馬は、やっぱりほっぺを綺麗に赤い色に染めていて。
 でもちょっとしたらとても嬉しそうに、ニッコリと一馬は笑った。



「オレも、スキ」



 ちょこんっと首を傾げながら、無邪気にそういう一馬に満足して立ち上がった。一馬の後ろに座ってる、目下親友でライバルで大切なアイツにも一応、挨拶としてあっかんべーをしておいてやる。


「えーしも、ゆーとも、な♪」


「一馬♪」
「かずま!?」


 がくぅっとすっころびそうになる。
 そういうイミじゃなーいっと叫びたかったけれど、幸せそうにオレと英士に甘えてる一馬を見てたら、なんかもう、今はそれでいーやって思えてしまった。


「アリガト、一馬」

 ちゅっと、もう一度だけ一馬の頬に軽く唇を寄せて、ばたばたと階段を駆け下りていった。きっと、負けずに英士もやってるんだろうなーと思うとやっぱりムッとするけど。ま、英士だから、許してやる。
 他のヤツだったら絶対、ゆるさねぇけど。


 一馬はホント、大変。箱入り娘状態に育てちゃったのは自分たちのせいだって分かってる。
 独り占めしたいけど、今はまだまだムリ。
 大好きなあのコは、本当に大切な存在。
 そんなあのコが、言ってくれた。
『二人のためなら、オレの命、アゲルヨ?』って。
 まだまだダメ。そんな大事な存在のアノコの命を懸けてもらえるほど、自分はまだ大きくない。キモチは大きくなっていっても、体と心はまだまだ。
 でもオレ達はまだ14才だから、全然先は長いでしょ?
 独り占めしたいけど、でも今は…英士とオレで一馬のココロを独占している方がキモチイイ。
 でも、そんな状態に甘んじてるのは、今だけダヨ?
 絶対ぜっったいに、言わせてやる、一馬にさ。
「ゆーとが、いなきゃ、やだ」ってさ。二人、じゃなくて、ゆーと♪
 だから、そう言ってもらえるオレに成長していかないとイケナイ。


「えーし、やだぁぁぁぁ!!!」
 ぎゃーーーっっと一馬の可愛い泣き声が聞こえてくる。英士のヤツ、切れたらしい。オレはさっさと電話を切って、慌てて階段を走り上がる。

「エロえーし!!!抜け駆けすんなぁぁぁ!!!ばかずまも、抵抗しろぉ!」
「誰がバカズマだよ!?」
「誰がエロだって・・?」

 やっぱりまだまだ、今みたいな3人が楽しいみたいだ。
  

 
END
COMMENT:勢いのまま、書いてしまいました、かずま愛され話・・・ていうか、おかしい!!おかしいーーー!!郭真小説を書きたかったのに、これじゃぁ、むしろ若真じゃないか・・・。なんてこったい・・・郭真のラブラブをめざしていたんですが、全然違います。つか、偽物がいっぱい過ぎですぅぅ。もっと、変態郭を!!精進せねば★
 でも、U14の3人はこういうのが、いいですね★エロもいいですが、やっぱりかじゅまが愛されてるのがいいなぁ♪若菜に郭に、潤に(笑)かじゅま総受け★密に、藤代にも♪うぉぉ、藤真かきてーーー!!(笑)では、股!(死)つか、コレ、初笛!話・・・(笑)1人真田かじゅま祭に捧げておきますぅ♪