ポチくんのひとりごと    

21
「声」

1年前の話だ。

仲良し夫婦3組で、年に2回ぐらい食事をしている。
晩秋ということで、フグ鍋を食べることになった。
やはり、フグは旨い。日ごろあまり口にすることはない。
嬉しくて嬉しくて涙が出そうになった。

フグの水揚げ高の多いのは下関だが、消費量が多いのは関西だという。
特に関西人はフグが大好きだとか。フグ通も多い。
フグを食べて死んでも本望という人もいるとか?

だから「フグ調理人免許」なるものも大阪で発行された。
そういえば、フグ料理で有名な「づぼらや」が道頓堀と新世界にある。

3組の食いしん坊夫婦は、最後のフグ雑炊までしっかり平らげた。
お腹いっぱい食った食った。

それから3組は、スーパー銭湯へフグの汗を流しに行った。
いやいや、実に満腹、お風呂に入り、さっぱりして帰って来た。

翌朝、大変だ〜。
我輩の声が出ない。ああ、どうなったのかな? ああ、声が出ない。
フグの祟りかよ〜。大変だ〜。

家内は、大丈夫のようだ。むしろいつもよりテンションが高い。

その時に、ふと頭をよぎったことば。

 「まま食べるのも月日やで  ものいうのも月日やで」

ご飯を食べるのも神様のおかげ。もの言えるのも神様のおかげ。
フグが悪いわけじゃない。とっても美味だったもの。

3日間、声が出なくて困ったが、出るもの出ないと困るなぁとしみじみ
感じた3日間だった。

感謝、感謝。

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