雑学・薄学・豆知識

ストレスにはカルシウム?

 
    @栄養不足で情緒不安定に!

     中国では、豚は人間が食べるのにもっとも適した動物とされ、ラード、内臓、骨、皮、耳、鼻、ひづめ、
     血液まで、残すところなく食されています。

     中国のトンチに、「豚で利用できないものが一つだけある。それは何か?」というものがあります。

     答えは"鳴き声"。それほど豚は利用価値が高い動物だということです。

     それでは、我が国ではこうした、頭からしっぽまで食べる食べ方を知らなかったのかというと、そうで
     はありません。

     わが肉は 御鱒料 わが肝も 御鱒料 吾がみげ(胃)は 御塩の料.....
     (私の肉や肝は人間のなますの材料、私の胃は醤の材料.....)

     この歌は、鹿の身になってうたった歌の一節で、このように鹿の肉や肝はなますにして食べ、胃袋な
     どの臓もつは調味料の材料として、あますところなく食べていました。

     鹿だけでなく、イノシシも盛んに食べられていました。古事記や日本書紀の中には、食用イノシシを飼
     う役職があったことが記されていることからも、肉食の歴史がわかります。

     この飛鳥時代の万葉集の歌には、赤裸々で奔放なセックスの喜びをうたったものも多く、最近、古代
     の新羅語、高句麗の言葉で読み直してみて、驚くほど直接的な表現がとられているという見方があり
     ますが、これは、血の気の多い肉食が作り出す人間性のためかもしれませんね。

     この場合、血の気が多いとは貧血ではないという意味です。

     万葉歌人に比べると、肉を食べなくなった平安朝の女たちは貧血気味で、脚気で情緒不安定である
     ことがわかります。あの平安美人の、目が細くて下ぶくれした顔は、脚気むくみに違いないと考えられ
     ます。

     大体、ありもしない「もののけ」や「生霊」などオドロオドロしく、まがまがしいものがやたら登場する源
     氏物語は、こうした背景から生まれたものと思われます。

     栄養不足、タンパク質不足の平安時代の女性たちは、当然、ビタミンB群も不足していたことでしょう。
     しかも高貴な女達は外出せず、ただただ、男の訪れを待つだけ。これではイライラするな、落ち着けと
     言ったって、無理なものでしょう。

     こうしたストレスが加わると、体内のビタミンはどんどん排泄されて尿中に出てしまいます。その結果、
     ビタミンB1不足に陥り、神経の働きが不安定になって、正常な思考力が失われ、正しい判断や決断
     ができなくなるのです。

     おそらくこんな時に、平安の女たちは、いもしないものすら見えてしまったのだと思うのです。

    Aストレス不眠にカルシュウム!

     今のようなストレス時代になると、カルシウムはマグネシウムとともに、抗ストレス栄養素として重要
     な意味を持ってきます。とくに、心臓と血管を丈夫にするためには、カルシウムとマグネシウムの働き
     が大きいのです。

     神経の興奮を抑制する働きとして、カルシウムの働きは無視できない一面があり、カルシウムはそう
     した意味で精神安定剤のような役割をももっているので、現代のようなストレス時代にあっては、カル
     シウム不足は致命的です。

     カルシウムは、わが国のような酸性土壌の国では不足しやすいと、昔から指摘されています。

     小魚、干物、豆、海藻類を充分食べている限りは不足しませんが、ビジネスマンのように外食が多くな
     ると、とたんに不足がちとなります。

     体内に存在しているリンとカルシウムは、一対二に保たれなければならないし、血液中ではそれが一
     対一になります。

     それなのに、インスタント食品や清涼飲料水、コーヒー等を多くとると、カルシウムの吸収はうまくいか
     ず、リンが過剰になるために、カルシウムも体の外に排泄されやすくなります。その上に睡眠不足や
     ストレスが加わったときには、尿中にカルシウムも出てしまうので、多忙なビジネスマンは要注意です。

     また、チョコレートに含まれる蓚酸や、添加物として加工品に含まれているフィチン酸なども、カルシウ
     ムの吸収を妨げるので、これらが含まれている食品も避けたいものです。

     カルシウムが不足するとまた、不眠症にもなりやすいので、いずれにしても充分にとる必要があります。

     マグネシウムにも触れると、カルシウムとビタミンCの代謝に必要なだけではなく、他のビタミン類の代
     謝にも大きく関わっています。神経、筋肉、各臓器の中では、カルシウムやナトリウムとともに、神経の
     弛緩と収縮のバランスを支配しています。

     マグネシウムは、カルシウムと同じく、神経の興奮を抑える働きがあるので、これも不足すればイライラ
     したり、神経過敏になったりします。

     ストレスに対しては、ビタミンCと同じように重要な役割を果たしているとともに、エネルギー代謝におい
     てはちょうど、ビタミンB群と同じような働きをします。

     マグネシウムが不足すると、心臓発作、組織や血管へのカルシウムの沈着から、動脈硬化が起こりや
     すくなります。

     アルコールを多く飲む人は、アルコールの代謝の際にマグネシウムの消費が多くなるので、より多くの
     マグネシウムをとる必要があります。


    B奈良時代にチーズ!

     クレオパトラは牛乳が大好きで、牛乳を飲むだけではもの足りず、毎日牛乳風呂に入り、肌をみがいた
     というのも有名な話です。

     日本では正倉院の宝物の中に、植物模様のグリーン色をしたカットグラスの中にチーズを入れ、大仏に
     供えたとされています。天平、奈良時代の貴族達は、中国からの帰化人の影響で、それこそ毎日のよ
     うにチーズやバター、コンデンスミルクなどを食べていたらしいのです。

     天平美人の下ぶくれした、それでいてのびやかな自然を感じさせる美しさは、たっぷりとしたタンパク質、
     カルシウムなどを含んだ、バランス食をとっていたせいかもしれません。

     牛乳が初めて日本に伝えられたのは飛鳥時代ですが、奈良時代になると、牛牧と呼ばれる官有牧場
     も各地につくられ、乳牛の飼育がさかんに行われていました。

     その頃つくられていたのは、酪・醍醐といったものです。

     酪とは、牛乳を煮詰めた練乳、コンデンスミルクのようなもので、醍醐はバターとヨーグルトの中間のよ
     うなものということが言えるでしょう。そもそも仏教で醍醐といえば、仏の最高の教えをたとえる言葉です。

     昔は乳製品には乳味、酪味、醍醐味などがあるといわれ、醍醐味はその中で最高の味という意味でした。

     牛乳は完全栄養食品と言われるほど、いろいろな栄養素を含んでいます。とくにカルシウムは100g中、
     100mgと多く、しかもたいへん吸収率がよいので、有効なカルシウム供給源でです。

     カルシウムは欠乏すると骨が弱まるばかりか、精神的ストレスを起こす要因ともなるので、成長期の
     子供から、ホルモンのバランスを崩しやすい中年すぎの女性、そして骨の老化の起こり始めたお年寄り
     などは意識的に、毎日牛乳を飲みたいものですね。