| 垂直にそそり立つ造形物は幾何的な均衡を印象付けますが、
この垂直に立つものが揺らいで見えるように、
声音を加えることにしました。
神秘的な声音により、空間はよじれて見えます。
神秘性を確かなものとするために、
調が不明瞭であることと、
歌詞が説明的に聴こえないようにすることを、
作曲者に依頼しました。
作曲はソプラノ歌手の尾川雅美にお願いしました。
私の意図が曲に反映されるように、何度も書きかえてもらって、
仕上げてもらいました。
歌詞は紀元前6〜5世紀の哲学者ヘラクレイトスが遺した言葉としました。
日本語訳は哲学者の内山勝利氏のものを選びました。
ヘラクレイトスの断片B8
「対峙するものが和合するものであり、
さまざまに異なったものどもから、
最も美しい調和が生ずる」
を歌詞としました。
歌詞の内容は明瞭な哲学を示しますが、
歌手が歌う歌が説明的にならないように腐心しました。
哲学の内容を読み取ろうとするならば、
哲学者が遺した文言を直接読むことが本来的であると考えます。
音楽という感覚的な領域では、
このような明瞭な哲学に到達するまでの
哲学者の苦悩・迷い・目眩・酩酊を表現した方が
むしろ空間をよじる力が発揮できると考えます。
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