門下生の作例 講師: 林楷人

2003年から軽井沢のアトリエで、日本画教室を主宰しております。


アトリエにお通いの方の作品を、下に掲載しております。どうぞご覧ください。

what I've learned
and what to hand down
木村順子 画
  
山桜 岩彩M 10号(33.3×53.0)
アートコントラーダ
art contrada di Karuizawa

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制作を始めるにあたって、望まれる絵の雰囲気を伺ったところ、
「風の中を花吹雪が舞い散る様を描きたい」とのお返事でした。
画面の中に風を描き込みたいときは、大凡の目安として、
刷毛塗りの際の刷毛の動きを、
縦方向にするように指導しております。
作例のような空気の動きを表現することができます

2008年楷の会絵画展では、
俳人の村田多美子さんの御厚意により、
女史の御句と共に上記の作を展示致しました。

鐘撞いて一山の花散らしけり

(平成十九年 俳句雑誌 般若 九月号より 六月号鑑賞 p.34から引用)

村田多美子さん、ありがとうございました。



渡辺みちる 彩色
夏の川
−宇山多美の意匠に加えて−
 岩彩(54.7×38.8p)

渡辺みちるさんがアトリエに通い始めたとき、
持参したスケッチブックの中に、
様式化を大胆に押し進め、
物の流れを表現した小さなメモのような
断片があるのに着目しました。

渡辺さんは、集中的な美術教育を
受けた経験を持ちません。
であるとすれば、
断片が垣間見せる感性は、
生来の特長を示すものかもしれず、
これを初学の段階から
強力に引き伸ばすことが
できるのではないかと考えました。

そこで、
先ずは様式化を徹底させた優れた絵画を模写し、
描画体験をさせることにしました。

そもそも渡辺さんが描いた断片は、
宇山多美女史が1991年に黒インクで
描いた傑作「流れ」を想起させるものでした。

宇山女史とは、面識がありませんでしたが、
連絡を取り、意匠を模写し賦彩することの
お許しを女史から頂きました。
突然の連絡にも関わらず、模写することを快諾
下さった宇山多美先生、ありがとうございました。

Tami UYAMA Home Page
http://www.geocities.jp/mitamayau0703/


鮮やかな色彩を醸し出す
岩絵具(いわえのぐ)を使いこなすには、
多くの経験と慣れが必要です。
画面に定着させるための膠液も
微妙な濃度の加減が求められます。
渡辺さんには、
秀逸な意匠の模写と同時に、
岩絵具を使いこなすための経験を
積んでもらうことを目論みました。



松本和夫・林楷人 画
夏日 水彩(28.4×20.6)

松本さんがアトリエに通い始めた頃、
持参されたスケッチブックを拝見し、
色の配置のみで描かれた花と花瓶のスケッチに
着目しました。

細部の描写や陰影表現を省き
混色や色を重ねる方法も使わず
平面的に置換しながらも、
画面構成がゆるぎなく、
色の調和が保たれていることに
驚かされたのです。

松本さんご自身は、
混色や色を重ねる基礎的な技術を
学ぶことを希望されておられるので、
指導者の立場として、そのご意向に対し、
素直にお応えしようと
心がけております。

しかし先のスケッチで、
背景に手がつけられていない状態を
そのままにしておくには忍びなく、
松本さんのお許しを頂いて、
林楷人が背景を描き加えました。

絵画手法がどのようなものであっても、
より美しいものを遺そうとする気概は、
常に胸に抱いておきたいものです。


中西三都子 画
清和 F6号(41.0×31.8)

アイリスの花が持つ鮮やかな青紫色を見ると、
そのままの瑞々しさをもって、
絵にしてみたいと思うものです。
その気持ちにつられて、ついつい初期の段階から
発色の良い岩絵具に頼り、
それを塗りたくなるところです。
しかし、
発色の良さにとどまらず、一層の深みを出すために、
黄色・赤・青の三原色を、
まんべんなく下塗りで使うように指導しております。
下塗りに使う絵の具には、
粒子が細かいピグメント
を選ぶようにして、
あまりボリューム感が出ないように、
気をつけます。



浅野利江 画
節黒仙翁 F6号(41.0×31.8)

葉や茎の隙間から、遠景が透けて見える構図で
あったため、
着彩作業の初期段階から、背景の色遣いに
神経を使いました。
うっかり色の選択を間違えると、背景が重くなってしまい、
細く伸びる植物との均衡が崩れかねません。

旧来の日本画の表現を踏襲し、
すべての花を、大凡正面に向けました。

中西三都子 画
芍薬 F8号(45.5×38.0)

雰囲気を出すために、「砂子」と呼ばれる
手法を多用しました。
「砂子」とは、箔を砕いて粉々にしたものを蒔く技法です。
尚、現在では、金箔・銀箔にとどまらず、
「親和箔」と呼ばれ、紅・緑・金茶・乳白色など
様々な色の箔を手に入れることができます。
この親和箔は、銀に加工を施したもので
腐食に強く、発色も長年安定しています。




小林以津美 画
鉄線花 サム(22.7×15.8)

葉を緑色に仕上げていく過程でも、
緑色の絵の具を使わない方法を試みました。
黄色・黄土色を下塗りとして、
その上に、群青色や藍色を重ねて塗ることで、
緑色になります。
しかも、
直に緑色の絵の具を溶いて塗るのとは異なり、
この場合、黄草色にも似て、
画面全体によく馴染む色となります。

また皿上で混色し、緑色を作るときも、
下塗りで使った黄色や青色を用いることで、
画面全体の色調に調和を持たせるように
工夫します。


2008年楷の会絵画展では、
俳人の安田とし子さんの御厚意により、
女史の御句と共に上記の作を展示致しました。

町の名のここよりかはる鉄線花

(平成十六年 百瀬美津 「詠め」 −秀句鑑賞− p.244より引用)

安田とし子さん、ありがとうございました。



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