檜 尾 岳(2727.7M)

H19年4月27日〜30日
参加        6名

いつものパターン駒ケ岳SAで仮眠しますが、夜半風の音、雨の音に目覚めます。
朝方ついに稲光、雷までご登場!不安いっぱい…、幸先悪い。

28日 駒ヶ根〜檜尾橋〜(檜尾根)〜赤沢の頭手前
取りあえずSAを出発し駒ヶ根Pに駐車して小雨の中重装備でバスに乗ります。乗客は極端に少ないです。GWの幕開けなのにこの天候では普通は二の足を踏むでしょう。
バスの運転手さんに「最近檜尾岳へ登った人いますか?」の問いに「ほとんどいませんね。去年???月頃かなぁ…?」 (@_@)
雨の中、大きなザック、雪山重装備の6人に寄せられる視線は物好き〜変わってる〜と言わんばかりです。
檜尾橋でバスを降り、雨と沢を流れる水の多さに少し躊躇しますが出発します。登山口の階段を上がると樹林帯の枯葉積もる中でニリンソウが冷たい雨に下を向いています。
しばらく登ると樹間から白い宝剣岳が見えます。千畳敷カール、濁沢大峰、白く長い池山尾根、そして空木岳。今期雪に縁がなかった私にはその白さがとても眩いです。


(空木岳)

登り斜面は結構急で久々の重いザックが肩に重いです。でも、でも、何てたって、雪の檜尾岳!
檜尾岳、檜尾岳と想い描きながら1歩1歩進めます。
雨が小さい霙になり雪になりました。どんより重い雲が気になりますが時々開けるアルプスの展望に心はずませながら直登をがんばり、滑り落ちそうなトラバースもがんばります。
その時ふいに下方からドドド、ドーンという音、  何?  雷?
それきりまた静寂が戻ってきました。でも朝の恐怖があるから「雷みたいだったけど…」「花火や、どこかで桜まつりでもしてるのやろ〜」とリーダー。「?????」
赤沢の頭の直前で空が光り今度は間違いなく雷です。それがどんどん近くなり光ると同時にゴロゴロドッカーーーン、ともう頭上にまできているのは明らか。ついに真っ白い光とけたたましい音に全員倒れてしまい、ガラガラドーーーンとひっきりなしの音に立ち上がることも出来ず笹原の中で転がり、這這の体で治まるのをまちます。
雷が小休止の間にと、テントが張れるところまで滑るように転がるようにして下り、手際よく2張のテントを張り、そのままテントになだれ込みます。その間もひっきりなしにピカピカ、ゴロゴロ、ドカンです。テントに入り音が遠のいて行く気配にやっと人心地つきます。
思い返しても顔が引きつりそうな恐怖体験でした。

落ち着いたところで早い早い夕食、LとSLで「何でこうなる〜?」過去何度かこれに近い経験があり「誰ェ〜???」とテントのメンバーの顔ぶれを見回したり…。
なす術もなく早い早い就寝、目がくさるんじゃない?
コースタイム
檜尾橋登山口 8:43→赤沢の頭手前 12:25
29日 赤沢の頭〜2650m地点(その近辺)
青天の霹靂のような昨日と打って変わって快晴です。アイゼンを整えて出発します。

昨日全員転がるように逃げ帰った笹原を苦笑して通過します。赤沢の頭まで小1時間の地点でした。
尚急登が続きますが、青空の下、垣間見る宝剣や空木の勇姿になぐさめられ、パワーを貰って高度を上げていきます。針葉樹から広葉樹に変わり明るくなり雪の白さが目に痛い…なぁ〜んて贅沢なことを言ってみます。

直登、トラバース、ナイフリッジと繰り返し森林限界を超えます。樹林地帯で熊の蹄にも出会いました。
前方には大きな檜尾岳が見えて来ます。

視界が開けると素晴らしい〜〜〜!南アルプス全望、八ヶ岳全望、富士山!
目から心から全ての悪がなくなり、限りなく無になり、心がゼロになる時間です。
(もともと悪はありません)

展望の稜線で今夜はこの辺りかと決めテント設営します。雪のブロックを積み、その間に小さい雪のブロックを入れて囲います。何も無かった稜線にたちまちで居住空間が出来上がります。

重いザックからサブザックに変えていざ、山頂へ!
いくらも行かないうちに切れ落ちた氷りついたナイフリッジに直面、両側にフィックスロープがありますがすごい斜度です。このフィックスロープはもう切れかけていたそうです。
大先輩のサミット会談で敗退を決断、リーダーの弁「短い尻尾を巻きます」
氷のナイフリッジに泣いた檜尾敗退でした。

(左  フィックスロープとナイフリッジ    右 ナイフリッジの斜面)

手を振って檜尾にお別れしても、もう充分満足の雪、山でした。ありがとう、また来るからね。
テントに帰り次の楽しみは展望の尾根上の宴会。

アルプスを肴にウイスキーの雪割りなんていかが?

展望とポカポカの暖かさで、雲上の宴会は続き、夕食時には持参のアルコールが無くなり、お酒ないの?と淋しそうな人も…。
そしてまた早い早い就寝、夜中月と星が素晴らしく美しいと言う感嘆の声に目覚め、テントを出ます。
煌々とアルプスを照らし出す月、キラキラの星達。
山が眠り、星が語り、月が全てを見守っています。
青空の下のアルプス、月夜のアルプス、深夜の宝石を持ち帰ります。
コースタイム
テント場 6:00→テント場(2650m地点) 10:25→敗退地点 11:48→テントに戻る 12:45 
30日 テント場〜檜尾橋
八ヶ岳から日が昇り、八ヶ岳から朝が来ます。

このテント場は最高に素晴らしい一夜をプレゼントしてくれました。
テント撤収して下ります。
山麓ではシロバナエンレイソウが咲き、ニリンソウが咲き、つくしも見つけ、桜が満開でした。
コースタイム
テント場 5:50→檜尾橋登山口 9:45

画像の一部は同行のpikeさん提供 ありがとうございました。