鳥海山(2236m)湯ノ台コース
湯ノ台口〜河原宿〜あざみ坂〜伏拝岳〜大物忌神社〜新山
H22年10月12日
「名山と呼ばれるには色々見地がある、
山容秀麗という資格では鳥海山は他に落ちない」
深田久弥さんの1節が強く心に響いた「大きな山」です。
蒼い夜明けです。
暖かい日差しはまだまだ届かず、張り詰めた冷気が漂い雲海はまだ山あいでまどろんでいます。
東北の秋は煌びやか、3年続けて東北の秋を訪ねています。酷暑の出口から深秋の真っ只中に飛びこんだ…、…、の心境です。
今回は鳥海山と月山です。
9月で山頂小屋、中腹の御浜小屋が共に閉まり、日帰り登山になるので山麓の鳥海山荘に宿泊し歩行時間の短い湯ノ台コースにします。
登山口は林道終点の駐車場から紅葉のトンネルをくぐります。登山口の標高は1200mくらいなのでしばらく紅葉のトンネルですがすぐに森林限界を越えます。(アルプスと違って東北ではこのあたりで森林限界です)
滝の小屋あたりは今年初めて目にする鮮やかな紅葉です。
美しく、長い裾野は煌びやかな秋色を日本海まで落とし、大きな庄内平野の向こうに日本海、その海岸線、水平線まで望める展望は素晴らしいの一言に尽きます。
墨絵のような朝です。
(滝の小屋上から)
ガスが上がって来ました。海に近い独立峰のため非常に気象の変化が激しいそうです。(海岸線からの距離は15km)
河原小屋あたりですっかり白いガスになりだだっ広い草原では方向を見失う危険があります。
テープとペンキマークを外さないように注意します。(コンパス必携)
心字雪渓は心の字形に雪が残る大雪渓と小雪渓がありますが今年はとても雪が少ないようでどんな風に心の字になるのか全く想像もつきません。
このあたりガスの時は非常に迷いやすい地形なのでペンキマークを見落とさないように、そして大雪渓は左側を小雪渓は右側を歩くのが正解だそうです。
夏にはどんなにお花が咲き競っていたのでしょう、もうすっかり綿毛もなくなり紅葉した葉っぱだけのチングルマや色を失ったハクサンイチゲ、マイズルソウの葉、ナナカマドの赤い実、頭を垂れているのはチョウカイアザミでしょうか、
夢のあとのような、今は寒々としています。
お花畑はありませんが広大な草原に岩と笹と草紅葉、点在する深い色の池塘が童話の1ページを見るようで、一段とメルヘンをかき立てます。
小雪渓を過ぎるとアザミ坂、このコース中では急登です。ガラ場あり、お花畑跡あり、ガスの中に外輪山の稜線が見えて来ます。時折強風が吹きつけて来ます。これも海に近い地形のせいでしょうか。
伏拝岳で象潟口コース(鉾立から)と合流しここから外輪山の稜線です。
直径3500mのU字形爆裂火口正面に岩の山頂(新山)が荒々しい様相で待ち構えています。見えていると言うよりこの表現の方がピッタリです。
稜線では猛烈な風に真っ直ぐ歩けない、息苦しい状態で気合が入りました。風が火口から吹き上げているので火口に落ちることはありませんがとにかく力が入りました。
それにものすごい風音です。
伏拝岳から左回りに行者岳を過ぎ百宅口コース(秋田県側コース)分岐を過ぎ七高山の手前に新山への分岐があります。
分岐から稜線を下りますがこの下りがまた足場が悪く、浮石多く、もし落石して「ラク!」と大声で叫んでもこの風音では聞こえないだろうと思うと余計に力が入り緊張しました。
山頂(新山)は1801年の噴火で出来た巨大溶岩ドームです。大物忌神社の横から巨岩に付けられたペンキマークを絶対に外さないよう忠実に辿ります。
大切通し岩では頭上に迫る巨大岩の間、巨大岩の下を大きく下り、もう一度上り返しがあり最後に大きな岩を一息に上ると狭い(数人ほどでいっぱいになりそう)山頂に出ます。この間ずっと四足歩行でした。
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(山頂への巨岩帯…大切り通し岩をくぐる)
狭い山頂です。当然360度の展望なのですが、ガスで殆ど展望なく強風、寒さで長居出来ません。
七高山は外輪山中の最高地点で(新山が出来るまでは最高峰だった)1等三角点があり、行く予定でしたがあまりの強風のため断念し下山します。
外輪の稜線を下ると風あたりも少なく山麓、特に滝の小屋あたりの紅葉に今日の疲れを充分に癒され爽やかな気分で下山します。
コースタイム
湯ノ台口P 6:18→河原宿小屋 7:47→伏拝岳 10:18→大物忌神社 11:18→山頂(新山) 11:50→伏拝岳 13:00→河原宿小屋 14:40→湯の台口 16:00
象潟口コース(10月14日)
鉾立山荘P〜賽の河原〜御浜小屋〜御田ヶ原〜鳥海湖〜賽の河原〜鉾立山荘P
このコースも登山口は素晴らしい紅葉です。登山口から鳥海山の勇姿が見え、もちろん日本海も見える絶景です。
七色の?(十色かも)紅葉に彩られた鳥海ブルーラインを走り鉾立山荘のある登山口から石畳の道が続きます。
今日は鳥海湖まで行きます。
展望台あり、湿原あり、広大なお花畑跡あり、大展望あり気分爽快です。
御浜小屋あたりのお花畑でかじかんでいるような1輪のハクサンイチゲに出合います。よく見るとチラホラと咲き残っているハクサンイチゲがありました。
秋色模様、宝石箱に入れておきたいような〜。
賽の河原
扇子森〜小田ヶ原は広大な湿性草原で黄金色の絨毯を敷き詰めたようです。穏やかで、開放感にあふれています。
ここから見る七高山、山頂の山塊。
御田ヶ原分岐で鳥海湖を巡るコース(万助道への道)をとります。万助小屋へと続く道が黄金色のなかにくっきり伸びています。
青い空を映す湖の畔、山頂を望む超絶景の中でゆっくり休憩します。噴火丘のひとつ鍋森、その向こうにうっすらと月山が見えます。
明日行きますね〜♪(*^^*)♪
(鳥海湖と山頂)
湖をゆ〜っくり一巡りして賽の河原に下り鉾立Pまで帰ります。
鉾立展望台から奈曽渓谷に写るブロッケン現象を見ました。
鳥海山と言えば山頂から運が良ければ日本海に写る影鳥海を見ることが出来るそうです。
この大きな鳥海山が日の出と共に日本海にそっくり影となって写る影鳥海、何と荘厳でロマンに充ちた現象でしょう。
でも今日はこのブロッケン現象で満足しましょう〜。
コースタイム
象潟口P(鉾立山荘) 8:08→賽の河原 9:40→御浜小屋 10:15→御田ヶ原 10:44→御田ヶ原分岐 11:00→鳥海湖 11:35→賽の河原 13:00→象潟口 14:05