常 念 岳(2857m)
H22年4月30日〜5月3日(参加 4名)

長い雪渓の最後の1歩を踏みしめて頂きに上がるとそこは天上界、幕が切って落とされた白い峰々が林立する天上界。
朝日に輝くアルプスの山々、1点の曇りもない紺碧の空、光を映す雪、幻想の雪紋、フゥ〜っと軽い目まいを感じ次の瞬間我に返る。
これは紛れもない、本当に、本当に私の時間だろうか…?
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1日
昨夜20時近鉄平端駅を車で出発し駒ヶ根SAで仮眠します。夜空は晴天を確約するお月さま、祈る気持ちで短い眠りにつきます。
豊科ICを下り豊科駅近くのNタクシーさんの無料Pに車を置き、タクシーで常念岳一の沢登山口へ向かいます。パレットからあふれたような青い空に前常念が真白に光って魅了します。「早くいらっしゃい!」 飛んでいけるものならすぐに飛んで行きたいです。
登山口(標高1260m)から小1時間も歩かないうちに雪道になり、スパッツとサングラスを慌てて装着します。怖いほどの日差しに何年か前のGW、立山で全員メガネザルになった苦い経験を思い出しました。
聞くところによると昨日吹雪いて4〜50cmの積雪があり、常念から先のトレースがないとのことで少し不安がよぎりますが、今日はたくさんの人が上がっているのでとにかく常念までは大丈夫でしょう。ところどころ先客が雪を踏み抜いた大穴があり、それは殆ど足が全部埋まってしまう深さです。脱出が大変だったでしょう。
大滝ベンチを過ぎ(ベンチは雪の中)数回沢を横切り、緩やかな林の道から横通岳を右手に見る頃いよいよ本格的な上りが始まりアイゼンを付けます。
雪と空、白とブルー、この上なく美しいコントラストの中、1歩1歩慎重に雪を踏みしめて行きます。
胸突き八丁の最後の急登はかなりキビシイものがありますが、前常念がグッと近く迫り、雪はあくまでも白く、空はあくまでも青く、目指す常念も輝いています。
あの白く光る稜線まで…、あの紺碧の空まで…、あの夕陽まで…、と言いながら数歩歩いては大きく息をつき、だんだん周りを見渡す余裕もなくなりただ足元を見つめるばかりです。
ほら!上を見てごらんなさい!あんなに美しい雪が、あんなに美しい夕陽が、あんなに美しい常念岳が!
待っています。
下から不気味に見えていた雪庇も夕陽に照らされてこんなに美しい!動に変わらなければ雪庇も今は美しく静なる雪です。
常念乗越(標高2460m)に着くと先ず目に飛び込んでくる白い槍ヶ岳、ガチガチの穂高連峰、思わず歓声と飛び上がりたいほどの感動です。
苦しかった雪渓の上りもどこかに行ってしまって、この瞬間ただ手放しでうれしさだけがこみ上げて来ます。

ゆっくり、穏やかに、煌きを残して夕陽が白いアルプスに落ちて行きます。言葉もなく見つめるばかり…。
さぁ、カンパイ!最高のbeer!おつまみはオイルサーデン!
今夜はシェフ山の家さんの新メニュー「ミネストローネ」フレッシュ野菜も入って甘酸っぱいトマト味が疲労した体にモリモリ元気をくれました。
2日
昨夜はかなり寒くて風が強くテントがパタパタしていました。今まで雪のテントでもシュラフとカバーで寒いと思ったことがなかったのに昨夜は初めて寒いと感じました。テントの中のザックに入っていたお茶がシャーベット状に凍っていましたからかなり気温は下がったのでしょう。もちろん靴もテントの中、昨夏テントの中でカメラが水没した経験上カメラはシュラフの中です。
朝の常念岳は一段と輝き神々しいばかりです。真白の雪を踏んであの頂へ行くと思うだけでもう心が躍っています。
アルプスの真っ只中へ go!go!
そこは天上の世界、雪と空と光が絶妙のバランスで魅せる天上の世界です。
雪は厳しい条件下で様々な表情を見せます。それをカメラに収めたくてザックをかついだまま、ついかがんだり、座ったりしてしまい立ち上がるのに一苦労です。
朝日の中のシルエット!

前常念と鹿島槍を背負っているpikeさんと軟弱さん。

常念へ最後の上りを行くリーダー山の家さん。

そして山頂(標高2857m)
ザックもピッケルも放り出して360度の大パノラマに感無量です。

乗鞍、御岳、槍、穂高、表銀座の山々、後立山、ぐるっ〜と何度も何度も見回して、それでもまだまだ見渡して、出来るならこのパノラマの中でこのまま時が凍結すれば良い!!!

蝶ヶ岳から徳沢へ下る予定でしたが、トレースがないのと常念からの下りは雪と岩で足場も非常に悪そうなのでLとSLでコース検分中、私は恐れ多くもアルプスの真っ只中で夢心地、陶酔境を独りさまよっておりました。
蝶ヶ岳への縦走は諦めて、では前常念岳から三股に下ろうとそのルートを見に行ったLが「とんでもない、蝶より危険なテカテカのナイフリッジ」と言う事で来たルートをそのまま引返すことになりました。
あんなに苦しかった雪渓も下りは半分滑って、たわいなく雪と遊びながら下ります。
冷たい沢水で顔を洗うともう白い峰々ははるかに遠く、一つまばたきをして夢うつつの雪と氷の世界から日常の現実に戻るのです。
コースタイム
1日 ヒエ平登山口 8:45→常念乗越 14:40
2日 常念乗越 5:50→常念岳 7:45〜9:40→常念乗越 10:30〜11:40→大滝ベンチ 14:08→ヒエ平 15:17
画像の一部は軟弱さま pikeさま 提供