徒然ぶちまけ日記

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2006年05月18日(Thu)  TumbleWit1
「今回は凄いなあ」
とデューが感心したのも無理はない。
「たぁすけて〜〜」
 おばさん――サリサタ・ノンテュライトが縛られている。いや、縛られているのはいつものことだが、今回はその縛るロープの先が問題だった。
 馬に繋がれている。俗に言う、
「しちゅうひきずりまわしなんていやですぅ〜〜」
 と言うわけだった。

 時代の流れはまるで水面に垂らしたインクのよう、遠くに行くほど染まっていない。新大陸では、遠く西の未開の地を臨めば臨むほど、その様相を過去へと遡らせていく。
 その町は、今もまだ西部劇から抜け出せないガンマンの町だった。
 木製の柵で囲まれ、おそらく町の名前が書かれていたであろう字が磨り消えた木のアーチを見たとき、デューは呆れて大空を見上げた。だだっ広かった。
 アーチの上から延びた鉄パイプに、風見鶏が回っていたのを思い出す。
 あの瞬間に引き返さなかったことを今更公開する。
 おばさんが、表情を輝かせて走り入ったのを疲れにまかせて見送らなければこんなことにはならなかったろう。
 いや、どうせなっていたか。そう言う運命にあるらしいし。おばさんが。
 ロープを鞍に繋いだ馬に跨る“保安官”が、何事か呟いている。言葉まで古語のようで、デューは聞いているだけで頭が痛い。
 要約するとこうだった。
 異邦者ストレンジャー、サリサタ・ノンテュライトはこの町で盗みをはたらいた。
 盗んだ物は家畜であり、家畜泥棒はこの町では死罪である。
 よって、本来ならば縛り首なのだが(実際絞首台が町の中央にある)女だから大負けに負けて市中引きずり回しらしい。
 んなことされたら、どのみち死ぬと思うが。
 デューはため息をついて、どうしたものかなと考えていた。



2006年02月06日(Mon)  終わった。
 終わり〜。

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 馬を買った。
 景気よく二頭分、両方栗毛の馬である。
 少しおっかなびっくりで、手綱を握っているデュー。

 様々な師匠を持つデューは、もちろん馬術もしっかり習っていた。

 横では、おばさんが慣れた様子で手綱を取っている。パイプを吹かしながら、かなり危なっかしいのに、デューよりも安定した乗馬っぷりだった。
 心なしか馬も安心しているように見える。

 ちなみに、馬術はおばさんに教わった。
 意外なことに、馬に掛けてはおばさんが一番上手なのだ。
馬族の生まれだからとうぜんですぅ、とうそぶくけど、どこまで本当なのだか。
「何人いたと思う?」
街がおぼろげになった当たりで訊ねてみる。
 共犯者のことである。
「思いません」
 おばさんの解答は完結だった。つまりは0人。妥当な線だ。
 荒野を蹴る蹄の音が、響いて遠のく。
「デュー、貴方はどう思いますか」
「俺も、いないと思うけど」
「そうではなくて。あなたなら、」
「...俺はガキだよ。そんな打算なんて働かないよ、きっと」
 もちろん、警察に共犯者など居ないのだろう。
 最初にトイレを調べたとき、おばさんとデューは天板の上の屋根裏『すぐ傍』 で、黒い鞄三つを発見していた。中身はもちろん、盗まれたお金だった。
 そして、便器の方で焦げた数枚の紙切れ、借用書の束を見つけた。
 おばさんと、デューはそれを見てこう結論づけた。
 犯人はこの借用書の人間(達) であると。
 多分、返せない借金に目の前が暗くなって、腹いせと金目当てでこの強盗を思いついたのだろう。
 で、盗みに入って、途中まで上手くいったのはいいが、警察が集まる気配を感じて金をトイレに隠し、借用書だけを(犯人を特定できないよう束で) 焼いて逃げた。リーダーが時間稼ぎに残ったあたりに、良識を感じないでもない。
 あるいは、金はついでに盗めればいい程度に思っていて、本来の目的は借用書を焼くことだった、とも考えられる。が、まあおそらく前者だろう。
 何にせよ一番陳腐で、現実的な話で、謎らしい謎もないような気がした。
 が、おばさんは違った。

「なぜ、これが見つからないのでしょうね」
 天井を見上げ、おばさんは首を傾げた。
「こんなにわざとらしいところにありましたのに。警察の方が、何度も、何人も探した筈ですのに」
「それは...」
 考えられる可能性なんて、一つしかない。
 見つけた警察官が、黙っているのだ。
 おそらく、共犯とか、そんな理由じゃなくて。単純に、目の前に現れた大金に、欲目を出したのだ。
 打算――今これを見つけたことを黙って、後日こっそり回収すれば、この金は自分の物になる。間抜けな犯人に罪をなすりつけて、――そんな打算が、一瞬で警察官を狂わせたのだ。
 見付けた人間が見てないフリをしたから、金は消失したのだ。
「嫌な話だけど、それしかないと思うよ」
「許せませんねぇ」
 おばさんの口調が、子供じみてきた。
 人の悪い顔をしている、何か悪戯を思いついたかのような。
「やめようよ、見つけたって報告するだけでいいじゃん」
 デューは忠告した。こんな事に関わるべきじゃない。おばさんは当てずっぽうで、推理してればいいのだ。
「わかってますよ」
 おばさんは、デューの頭を撫でた。
「一度。一度だけ、猶予を与えましょう」

 結局、その一度でも鞄発見の報は聞かれず、さらには元在った場所より更に見つかりにくい場所にまで移動されていたのだが。
 それでがっくりきたおばさんは、予定通り罠を張ることに決めた。通称不良警官ホイホイ作戦である。史上類を見ない大おとり作戦であったと、後の警察は恐怖するのがだそれはどうでもいい。
 デューはあの応接間で、頭取と信頼の置ける警察官、つまり警部にだけことの仔細を記したメモ書きを見せ、この作戦を決行した。
 あまりのとんでもない真相に激昂するかと思われた警部だったが、最後までメモを読んだあとの第一声はため息だった。「わかった、手続きとかは気にするな。人手も俺の信頼できる人間を用意する」と疲れたような声で言ったのを思い出す。あの時ほど彼に同情した瞬間はない。
 頭取はずっと口を開いたままだった。
 間抜け達は、共犯の容疑を掛けられた上で独居房に留置されている。今頃、警部によってこってり絞られていることだろう。と言うか懲戒免職だ。
 二頭の馬は、荒野を走る。街はまだまだ先だ。
「...で、いくら貰ったのさ」
 デューは不機嫌だった。
 不機嫌をぶつけるように、おばさんに尋ねる。
 おばさんは、馬の運ぶ風にあおられて、大変幸せそうだった。
「デューの乗ってる馬一等分ですよ」
 まあ、それなりに高価な値段だった。
 たった一日にも満たない依頼料としては、破格とも言える。
「...なら、別に必要なかったじゃないか。一頭だけでも十分だったんだろ」
「私達は構いませんけど、二人乗りだと馬が可哀想ではないですか、」
「そう? へたっぴが使い潰すよりはマシだと思うんだけど」
「私が教えたのに、使い潰すわけないでしょう」
 馬の背を撫でる。馬、上機嫌。
 デューを乗せてる馬も心なしか、羨ましそうだった。
 同じように、馬の背を撫でてやる。我慢しろと、呟いた。
「...ちゃっかり、契約取り付けるんだもんな。ほんと、あくどいよ」
「デュー。商売上手と言いなさい」
 あの事件のどさくさ。おばさんは当初「お願い」 であったはずの捜査を「仕事依頼」 にまで昇華していたのである。

「そうですね、私に仕事...依頼を持ちかけたのですからあなたは犯人ではない。私もトードリ氏を信じて仕事を受けた。だから疑わない。それはとても重要なことに思えます。
――どうでしょう?」
「そ、そうですよ、その通りです!」


 頭取をわざと疑う推理をして、慌てさせた上で名探偵が銀行の依頼で仕事をしていることを確認したのだ。
 まったく、あくどい。
 頭取も、後々しまったなあという顔をしていたが、それでも支払いを渋るようなことはなかった。合掌。

「探偵の依頼料なんて出なくてもいいとか言ってたのに...」
「それはそれ、ですよ」
 機嫌良くパイプを銜えていたが、火が消えたらしく懐を探りはじめる。
 新しいマッチ箱を取り出しかしゃかしゃと鳴らす。
「何? 嬉しそうに...」
「いえいえ、気が利いて結構。感謝しますよ」
 それはデューが銀行に向かう前に買ってきたマッチだった。
「別に向かう前でも構いませんでしたのに。朝一番に買いに出向いてくれるなんて...これも私の教育の成果でしょうか」
 鼻歌でも歌いそうだったが、それよりもタバコに火を付けることに熱を入れる。
 馬の上だというのに両手離しで器用に着火している。
 おばさんが、タバコに集中し始めたのでデューも無言で馬を駆る。
 手綱を捌き腹を蹴ると、馬は嫌がりながらもスピードを出した。
 とたんに、景色が加速して、おばさんと馬と街が遠ざかっていく。
 加速する風景の中、デューは目を瞑って考える。
「...俺もタバコ吸おうかな」
「やめておきなさい。背が縮みますよ」
 一瞬で、おばさんが併走していた。パイプを吹かして、片手だけで手綱を持っている。まるで悠然としている。馬をはやらせたという様子は全くない。
 願っただけで馬がそう動いてくれたかの様で、
「ま、いいけど」
 手綱を持つ手を緩めて、空を見上げた。


(消えた銀行強盗 完)

2006年02月05日(Sun)  空前の健康ブーム。
 よーし後一話。
 モーダルの続き書いたら何書こうな。

 仮面ライダーカブト、面白いですね〜。
 あの間の抜けた感じがいいし、バトルシーンのクロックアップがまたカッコイイ。
 周りがスローな空間の中で、ライダーと敵だけ超高速で動くという描写が、実に凝っている。今回のはヘタレが爆風で吹っ飛ばされて地面に落ちるまでにライダーと敵が激しい戦闘をして敵をやっつけるというアクションでした。スローで空中に浮かんでるヘタレが面白すぎです。 

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「そこまでです!」
 屋根裏に声が響く。
「だ、誰だ」
「俺だ」
 声とはまったく反対の方角の柱の上から、デューが振って来た。
 新品のネクタイ――ではなく、捕縛帯を男の片手に掛けて縛り、回し、反対の手に輪を掛けて、とてきぱきと縛り上げる。
 黒の鞄に手を掛けていた男は、自分が後ろ手に捕縛されるまでされるがままだった。
「ほい、いっちょあがり」
「な、何をする貴様! な、何の権限があってこんな」
「逮捕。あ〜、一応許可貰ってるぞ。捕縛帯使ってるし」
 暗い屋根裏で、指を差す。
 そこには、腕を組んで勝ち誇っているおばさんと、
「け、警部!」
 昨日の刑事がいた。いまさらだが階級は警部らしい。
 二人は、やはり柱の陰に、上にと隠れている。
場所的には応接室の上あたりか。
 刑事は、渋い顔でデューと男を見た。
「見事な手際だな、誰に習った?」
「レドのおっさ...いや、故郷に警察の知り合いがいてね」
「本場仕込みか」
 全ての捜査術は英国より生まれ、流布される。
 刑事の言にはそんな引け目が含まれていた。
「やれやれだ。こんな、坊やにあっさり縛られちまうなんてなぁ。
これだから若い奴らは...軟弱で、」
 シャッポを握りつぶす。
「軟弱な上に、性根まで腐ってやがる。ついに強盗なんて真似をするとはな」
「ご、誤解です警部!」
 男――私服だが、そいつは昨日刑事に報告をしていた警官が、声を張り上げる。
「これは、これはですね――むぐ」
 デューは、慌てて猿ぐつわを噛ませた。
「あ〜ごめん。下お客さんの場所だから騒がないでくれよ」
 引きずる。男は抵抗したが、デューの引っ張る力の方が圧倒的に強かった。
 デューは背が小さいので立って歩けたが、男は屈んでいないと歩けなかったからだ。男は、何度も天井に頭をぶつけながらおばさんと刑事の入るところまで連れてこられる。
 よく見れば、応接室への天板が外れている。
「天井ではお静かにですよ。共犯者さん」
 近寄った、愉快そうに男に近寄る。
「そして、バレたときはネズミのモノマネです。今度コツをお教えして差し上げましょうか?」
「いらないってさ」
「言い訳なら、後で何時間でも聞いてやる」
 刑事が、男の胸ぐらを掴み上げ、ドスのきいた声で呟いた。
 そして、応接室への穴へと蹴落とした。
 声も上げられずに、真っ逆さまに落ちる男。
そいつは、男の上に落ちたので怪我はない。
「もっとも、大半は出尽くしてると思うがな」
 落とした応接室では数人の男達が似たように縛られて、積み重なっていた。

(消えた銀行強盗)

2006年02月04日(Sat)  なんでも幸せだと思えることが幸せ。
日記のネタが尽きかけなので、出して欲しいキャラ・ネタとか書いてください。

頂天のレムーリア
アルファシステムデザインワークス
陰からマモル6

購入。
レムーリアいいですねえ。簡単に言うと、コンビ魔法の世界なんで戦うときは敵も味方もカップリングなんですね。即席のカップリングとかもあって、カップリングによって飛び出す魔法の型も違うので非常に面白いのですよ。
魔法使いは一人覗いて全員漢だけど(笑)

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「やめたほうがいいよ」
 デューは、おばさんに忠告した。

 その都市に居着いて、三日目に突入している。
 別に三日経てば出ていかねばならない、と言うルールがあるわけでもなく、デューとおばさんの旅はほぼ気まぐれなのだった。
 六年ぶりに帰ってきた馬鹿親父と、そんな親父にベタ惚れの母。
この旅の趣旨は、二人が夫婦水入らずでいちゃいちゃする為に、おじゃま虫のデューと居候のおばさんが遠出すると言う『逆新婚旅行』 である。
 母が店を開けてまで、六年越しのハネムーンを決行するのに躊躇っていたために、変わりにデュー達が出ていくことになったのだ。
 ので、特に滞在期間が決められているわけではない。
 むしろ、一年でも二年でもいた方が、あのバカップルにはありがたいことだろう。と、自分の親のことながら思うデュー。

「なにがでしょう」
 おばさんが首を傾げる。
 パイプは吸っていない。
 そこが開店前の銀行の...男子トイレの中だからだった。
「お金、いっぱい貰ったんだからさ。別にあくどいコトしなくてもいいじゃん。
 俺、金に五月蠅くないのが、おばさんの数少ない美点だと思ってるのに」
デューは、昨日から不満なのだ。
「デュー、聞きなさい、デュー」
 教え子に諭すように、おばさんは微笑む。
「お金という物は、いくら有り余ろうと、大事なときには決まって足りない物なのですよ。蓄えたときこそ、油断せずに稼ぎなさい、」
「母さんの言葉じゃないか」
「それに、金は天下の回り物です。だから、いつでもどこでも、どんどん回してあげなきゃいけないのですよ。それが業を界とするものの勤めなのですから」
「それも、マーティンのおっちゃんが言ってた事じゃないか」
 もう一度、おばさんは微笑んだ。
 なんだか満足気だった。
 気勢を削がれて、デューは率先して前に出る。
 目指したのは一番奥の便器...その上。
 天井の板を見上げる。そこの天板だけ板がズレるような構造になっている。
 凝視、じっと見る。天板の端に金色の糸のような物が見えた。
「あったよ、おばさん」
「果報ですね」
便器にブーツを掛けて手をばし、慎重に爪で挟む。
 金の髪の毛。おばさんのブロンドだ。
「...ちゃんと手入れしなよ。よれよれじゃん」
「それは昨日も聞きました」
 頬を膨らませるおばさん。


 トイレの便器の一番奥、その中に入り、黒革の靴を便器に乗せる。
 見上げ、天板を慎重に押しのけた。
 屋根裏は、それ程暗くはない。透き間がところどころにあって、そこから陽が差し込んでいるのだ。
 屋根裏に昇り、見当を付けて這い入る。
 音を立てないように、慎重に歩く。いつ客が来て気づくか解らない。
 それほど、遠くに隠したわけではない。
 果たして、それはすぐに見つかる。
 黒い鞄が三つ、柱に隠れるように置かれていた。

(消えた銀行強盗)

2006年02月03日(Fri)  恵方巻き。
巻きずし食べました。
恵方巻きは関西の風習なのですが、どうも最近はコンビニやスーパーや海苔業界の陰謀で全国展開をしているらしいです。
あなた方のお家でも恵方巻きの噂ぐらいは聞いたのでは無かろうか、と思う奈良県民。
この日、スーパーでは店員の大半をつぎ込んで巻き寿司を大量に生産します。
普段の総菜用キッチンでは人手が収まらないので、休憩室である食堂で机をずらっと並べて造ります。
長めの缶コーヒーが1,5本並んだ程度の太巻きがだいたい400〜500円前後で売られます。中身は干瓢、厚焼き、あとなんか草。
高い気がします。
手作り(つまり流通経路数が少ない) で原材料考えても、どう考えても足下見ています。まあ、そう言うもんなのでしょう。
ちなみに豆は食ってません。
豆の風習が廃れていってるような。
豆は売れても儲からんからなあ...

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「では、金庫に触れる可能性のあった人物と、時間帯をチェック...と言いたいところですが止めておきましょう。守秘義務がめんどくさい」
 探偵にあるまじき発言をさらりと言って、おばさんは未だに口に銜えたままのパイプを手に置いた。
 いつの間にかパッケージを開けていたバニラ香料のタバコを火皿に乗せて、それから先ほど刑事に貸したマッチ箱を開いて...顔をしかめた。
 懐をまさぐる。
「もう無いよ、マッチ。さっきので最後」
 とたん、おばさんの顔が絶望に歪んだ。
 刑事が、ん、と言って火の着いた紙巻きタバコを差し出す。
 おばさんは表情を輝かせて、パイプを口に銜え、近寄った。刑事も紙巻きの火を勢いづけるためにタバコを銜え息を吸う。
 タバコとパイプ分の距離で火のやりとりをするおばさんと、おっさん。
 パイプに煙が上がったところで、おばさんは一息ついた。
 空になったマッチケースを机に置く。
「...そう、こう考えることも出来ます。
金庫の中にはもとからお金はなかった、と」
 ケースを開く。中は当然、空っぽだった。
「もともと中身が無くて、強盗が金庫を開けて、何も奪わずにそのまま逃げた。
するとどうでしょう、普通の人間には強盗がお金を持って消え失せたかのように見えてしまうのです」
「そんな、あ、あり得ません」
 しどろもどろで頭取が説明する。
 自分が疑われないように、けど金は見つかるようにと必死なのが、可哀想なぐらいによく解る。そんな、ごちゃごちゃに入り組んだ説明だった。
 要約するとこうである。
 彼は朝の初めに金庫の中を確認している。
 強盗を金庫へ案内したときにも、チラッと見ている。
 故に、金が事前に消えていたなんて可能性はない、と。
「その確認とやらは、一枚一枚きっちり確かめるのか?」
デューが訊ねる。
「その、たとえば二枚目からは新聞紙だったみたいな感じだったらバレるのかってことだけど...」
「...それなら、いや、でも少なくとも朝の確認では気づくはずです」
 熟考して応える頭取の説明に、刑事が頭を掻いておばさんに訊ねる。
「なら、朝から犯行前までに金庫から盗み出されたと言うことか?」
「んなことが出来るなら、強盗なんてする意味無いよ」 と、デュー。
「...だな」
 あるとすれば、それは共犯が疑われないためであるが。
 それなら、
「そうですねぇ。あるいは、銀行ぐるみで汚職に手を染め――たとえば使い込みで今回盗まれた額程度の隠し負債が在ったとするなら、共犯どころか銀行員が率先して銀行強盗を演出しようとしたと言うことも考えられますね。もとから無い金を盗まれたように見せかけるのだから、消失トリックとしては完璧です...が」
 ちらり、と、おばさんは横目を向けると、頭取が泣きそうな顔をしていたのでジト汗を流して、付け足す、
「まあ、その可能性は薄いとして。朝の確認をも誤魔化す方法もあります。
偽装する物が、新聞紙でなければいいのです。つまぁり」
 つまり、偽札。
 つまりおばさんの推理では、銀行強盗一味は、あらかじめ金庫の金を偽札とすり替え、そして強盗に入り、偽札を焼き払って逃亡した。
 刑事が首を捻る。
「いかんせん、する意味があるのかがわからんな」
「利点としては、主要な犯行時刻を大幅にずらすことで成功率を上げる点でしょうか。偽札をわざわざ強盗に入ってまで焼く理由は...あえて言えば、銀行側に共犯者が居ることを隠すこと、でしょうか。本来の犯行方法を悟らせないという目的もあるかも知れませんが...弱いですね」
 しかし、その理由だと、やはり銀行側が首謀者に近い立場だというコトを示唆している。
 どちらにせよ「弱い」。
 もっとも、そんなことはおばさんとて解っている。
 いわば、これはデモンストレーションなのだ。
「さて、そろそろ結果が来てもいい頃合いだと思うのですが...」
 そう呟いて、おばさんはパイプに意識を傾ける。
 沈黙は数秒だった。
 ノックが聞こえた。「どうぞ、」 と何故かおばさんが応えると警官が一人、入ってきた。これと言った特徴はないが、乱暴そうな顔に無理矢理(何が無理矢理かはよく解らないが) 眼鏡を掛けている。
 刑事と二三、会話を交わす。
 しばらくして刑事がため息をついた。
「みつからんそうだ...」
「...そうですか」
おばさんは、はじめて――目に見えて落胆した。
「仕方ありませんね、デュー」
「わかった」
 おばさんの瞳が、ディアストーカーの奥で決意にきらめいた。
 仕方がない。まさしくそうであった。
――これ以上の時間稼ぎは何の意味もない。
 警官が退室したのを確認して、デューは、ポケットから二つめの物証を取り出す。紙だった。
 それは、金庫に散乱していた金に紛れて発見された借用書。
「二人とも、これをじっくり見てくれ」
 訝しげにそれを覗く頭取と、刑事。
呼吸が同時に止まり、同時に目を見開く。
 結末は近い。

(消えた銀行強盗)

2006年02月02日(Thu)  では続き
「マジックでもトリックでも、まず疑うべきはサクラ――つまり被害者側に共犯者のがいる可能性です」
 一呼吸。全員を睥睨する。
 扉まで歩きバンと強く一回叩いた。扉の向こうに立っていた警官が、びっくりして音を立てた。
「...今回の事件で疑うべき共犯者のパターンは3つ。
 まず客の中、は既にその通り」
 窓ガラスをバンと叩く。また、似たような音がする。
「二つめ...銀行員の中。 
 そう、この事件は銀行員の中に共犯者がいると仮定した場合、およそ大抵の謎が意味を成さなくなる。
 とくに、あなた――トードリ氏が共犯である場合、もはや前提条件さえも無意味でしょうね!」
「ま、待ってください」
 たまらず、頭取氏が声を張り上げる。
「待ちません。今回の事件、犯人はある奇妙な行動を行っています。
それは何か?
...簡単です。
 犯人は金を消失させるという、大胆克つ計画的な奇術を行っていながら、必要以上の金を盗んでいないと言うことです」
 自然と三人の目は、ソファ脇のバッグに寄せられる。
 100ドル札がところどころ顔を出した、おんぼろのバッグ。
「金庫内には、お金が散逸していました。それはもうめちゃめちゃです。
 いかにも詰め込めるだけ詰め込みました、と言いたげでした。
しかし、散逸量が明らかに多すぎです。奪った額が明らかに少なすぎでしょう。
 これだけの計画を立てておきながら、何故そんなみみっちい額で満足できるのでしょう」
 無茶苦茶な理屈だ。が、反面確かにその通りだと思わせる説得力がある。
 おばさんの推理には、迫力がある。
母に言わせると、昔からおばさんの推理は、根拠はないが迫力だけはあった、らしい。今は、少しだけ根拠を付けることを覚えているので、迫力に真実味が増している。
 おばさんは、胸を張りながら頭取に指を突付けた。結果かなり無理のある姿勢になる。
 まあ、それはともかく、だ。
 今度はおばさん、ブーツでリノリウムを鳴らして外の壁の方へと近づく。
「鞄三つ分です。一つでも二つでも四つでもなく、三つなのですよ。犯人が強奪する額は、この金額でないといけなかった。
では何故そうじゃないと駄目だったのか」
 バン――壁を叩く。外で金を捜索していた警官が、また驚いて音を立てた。
「壁に耳あり、ですねぇ」
「まったく、最近の若い奴らは」
 刑事が沈痛な面持ちで、顔をしかめる。
 この時代、警察の腐敗は目も当てられないぐらいに進んでいる。
 中には、何のために警察に入ったのだか疑いたくなるくらいの人間も、確かにいた。聞き耳を立てている警官がそんな奴らばっかりだとは言わないが、いかんせん警察官としては不適切だ。
「デスクワークと処世術ばかり上手くなり追って、肝心の正義すら持ち合わせていないヤツがごろごろいやがる。
...機会があれば、すぐにでも免職にしてやるのだが」
 どうやら刑事は、そんな時代を憂える、数少ない人種の方なようだが。
「...考えられるのは、その量がお金を消失させるトリックに関わっている場合です。犯人がお金を消失させることが可能な最大限度額が鞄三つ分だった」
 まくし立てる。
 反論は許されない。言いたいことは山ほどあるのに誰も反論が出来ない。
 いや、そうではない。
 あえて言えば――そう、続きを聞きたい。
 おばさんの台詞には、仕草には、視線には、立ち振る舞いや間の取り方には、皆をしてそう思わせるだけの迫力...魅力がある。言い方を変えれば演技力だ。
「しかし――そう、私は鞄は焼かれたと仮定しています。
 すると、お解りでしょうか...ここで問題が発生します。
果たして、消失した中身、お金は本当に鞄三つ分だったのか、
――ではありません。
何故、どうせ焼くと解っているのに鞄を三つも用意したか、
――でもありません」
 一言、一文字呟けば、誰もが思い知る。
彼女こそが、この推理劇の主人公だということを。
 一挙手、一投足もいらない。微動だにしないだけで理解する。
自分たちは、ただの登場人物でしかないということを。
「大きな問題なのは、盗んだ額が少額な事由に鞄の量は無関係であると言うことです。よって、その理由は別の場所にある、そう考えられます。
さて――」
 だからと言って、消失トリックに札束の量が関係していないという理由にはならないのだが、取りあえずの断定にみんなして呑まれる。言葉の勢いに流される。
 おばさんはずるいと、毎度思うデュー。
 みんなそんなおばさんの勇士に見惚れてしまうのだ...自分は違うけど。
 もう一度自分は違うと、腹の裡で呟いた。自分はそんなことでは惚れない。
「さて、戻りましょう。さて、...さて」
「銀行、共犯、」
「ああと、そうでした。銀行員が共犯であると」
「ま、待ってください!」
 頭取も戻ってきた。今度はおばさんの喋る前に言葉を続けた。
「わ、我々を疑っておられるのですか?」
「この場合あなたが一番怪しいのですよねえ。怪しさ度は、金庫に関わる権限の二乗に比例することでしょう」
 もっともらしく頷くおばさん。
 デューは、二乗はいらないと思った。
「そ、そんな。何故私が...そうですよ、何故貴女に依頼した私が共犯だというのです!」
「そうですね、私に仕事...依頼を持ちかけたのですからあなたは犯人ではない。私もトードリ氏を信じて仕事を受けた。だから疑わない。それはとても重要なことに思えます。
――どうでしょう?」
「そ、そうですよ、その通りです!」
 ...あ〜あ。
 デューは、頭を抱えたが、頭取氏は逆に表情を輝かせた。
「よいでしょう。そこは信頼しましょう。
しかし、疑わないのは、貴方だけです。他の銀行員については、探偵の義務として疑わせていただきます」
「は、はい。それで結構です」
 結構じゃないような気もするが、まあ自分が矢面に立たされればそんなものかも知れない。
 デューは、また一つどうでもいいことを悟った。

(消えた銀行強盗)

2006年01月31日(Tue)  夢を信じるなり
助手兼掃除番のちょんまげロボットっていってるんだけど、子供の頃は毎回なんて言ってるのかわかりませんでした。
なんのはなしだ。

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 実のところ、事件はこの時点で解決してしまったのである。
 というのも、おばさんが犯人の顔を覚えていた...いや、正確には犯人以外の顔を覚えていたからだった。
「待ち時間暇に飽かして、こうして覗いていたのですけど。あの方だけ、見た覚えがないのですよねぇ」
 つまり、そいつが人質に紛れ込んだ、犯人というわけだ。
「信じる信じないは、あなた方のお勝手ですが。私は責任を持ちましょう」
 刑事が、おばさんを見て、次にデューを見た。そろそろこの刑事も二人の関係を理解してきたようだ。
 デューは肩をすくめて、
「...おばさんの記憶力は信じるに足りるよ。
 出たトランプの数ぐらいなら、四デッキ分マーク付きで覚えられる。
だからまあ、少なくとも、その人が犯人であることだけは間違いない」
 問題なのは、
「――問題は、最後まで残るというある意味一番危険な役を誰が担ったかって事だよ。
 使い捨てか、逆にグループで最も信頼されている人間か...」

 結果的に、それは後者によって行われていた。
 この日の後、刑事は初動捜査において彼の身辺を調査することに重点を置いたため、パンの欠片のように僅かな手がかりをも見逃さず、銀行強盗グループの全貌を掴み、逮捕へと至った。
 もっとも、それはサリサタとデューがその街を旅立って数週間後のことだが。

 おばさんは、パイプを取り出して銜えた。
 目を細め何も知らない市民と、何も知らないフリをした犯人を見つめる。
「哀しい事件でした」
「いや、動機とか全然知らないから、俺ら」
「それで、お金は! 奪われたお金はどこなのです!」
 頭取が声を荒らげた。
 まあ、気持ちは解らなくもない。犯人がわかっても、金が返ってこなければ意味がない。今回の件で、この人に責任が及ぶとは思えないけど、それでも心中穏やかではないのだろう。
「おおっと。そうでした」
 手を叩くおばさん。
「では、共犯者はデューと言うことでどうでしょう」
「おばさん...さてはもう飽きてきたんだろ」
「何を言います。デュー、聞きなさい、デュー。叙述トリックはまず一人称を疑うことからはじまるのよ」
「どこの基本だよどこの。危険な台詞を吐くなよな」

(消えた銀行強盗)

2006年01月30日(Mon)  The Bank Robber them Vanished.
 一週間分で終わるはずだったのに、続いていますなあ。
 モーダルはいつになるのやら。

 犯人当ては、まあ期待しないでください。
 たとえば前回の犯人の動機は、「足を洗ってやり直すならともかく、罪をわざわざ精算してやり直すなんて今更無理」 と言うくだらない動機です。
 精算、つまり警察に自首できない状況を造るためにマフィアに重罪をなすりつけられたと言う状況を工作したわけですね。

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「それで」 と、頭取。「何か解りましたでしょうか」
「あ!」
 と、おばさんが声を上げた。
 ことのほか大声で、声は応接室中に響いた。
「デュー、あれを出しなさい」
「枕だったらホテルに」
「違います、先ほどのトイレの」
「ああ、」あれか。
 ポケットからハンカチを取り出して、手のひらに乗せた。
ゆっくり開く。
 そこには、焼き焦げた何かの残骸。全てが炭化しているので、元が何かを判別するのは難しい。
「これ、燃えカスがトイレの便器に少し残ってた。多分新しい。時間から考えて犯人のものとしか考えられないんだけど」
 慎重に、のぞき込む刑事と頭取。
「! まさか...そんな」
「馬鹿言うなよ。じゃあ、持って帰れないからって燃やしたって言うのか」
「かもしれないけど」
 二人して、金を燃やしたと思ったようだが、
「よく見て、二種類在るけど。片方は紙で、片方は厚みがある」
 息を飲む音を待って、デューは続けた。
「もう片方は、バッグじゃないかと思うんだ」
「え、」 頭取が頭をさらに近づけた。「いや、でもそれは」
「推測だけど...皮じゃなかったんじゃないかな。見せかけの燃えやすい材質だったって事はあり得ると思う」
 まあ、鞄を燃やす意図なんて知らないが。
「重要な手がかりだが...なんのために」
「なんのために、だよ。本当に」
 内窓から、カウンターと客席を見やる。
 応接室には内窓があるのだが、そこには解放された客達が一括りに集められていた。
 ちなみに、さっきのおばさんの大声には気づいた様子はない。
「...最悪、あそこにいるはずの犯人を特定するだけでも、真相には迫れると思うけど」 と、ふとあるかんがえが思いつく。
「犯人ってどんな銃使ってたんだ? 口径は?」
 これには刑事が答えた。
「特定は出来ていないが、普通の量販リボルバーだ」
「持って帰ったんだ」 へえ、と頷く。「何発撃ったとかは」
「不明だ。警備員に向けてかなり撃たれている」
 デューは、ソファから立ち上がってテーブルの前に立った。
 右手を挙げる。聖書に手を当てて宣誓するかのようなポーズだ。ガラではないと思いながら、その手をテーブルに叩きつけた。
ばあん――
 と、凄い音。ひゃあ、と可愛い悲鳴がしたが三人ともその声にツッコミを入れるのは堪えた。
「...それが?」 と、刑事。
「いい音が鳴ったけど」 内窓を見る。「外にはあんまり聞こえなかったみたいだ」
 待合い席の一般客は誰一人反応していない。警官は少し反応してか、こちらの様子を伺っている。
 まあ、音ぐらいは聞こえただろうが、異常な音には聞こえなかったのだろう。
「強盗が来て、銃声がして、通報されて...一部が逃げて、残りが金を集めた頃に警察が来て、残りが逃げて、金も消えた。このスケジュールだと、金の消えるタイミングが無い。ありそうなんだけど、思ったよりがちがちで無い。
――野次馬の目撃なんてあやふやなモノまで持ち出してまで、金のアリバイは固められている」
「だが、何のためにそんなややっこしいことを」
「まあ、逃げるためなんだろうけど、」 確かにややっこしい。
 が、そのややこしい部分に、トリックなり複雑な事情なりがあるような気もする。
「...例えば。銃声だ」
 説明を余所に、おばさんがタバコの箱を取り出す。バニラのヤツだ。
 吸うつもりはないのか、ラベルを読んでいる。
「銃声は、物によっては大して響かない。銀行の中で銃声がしたとしても、実際は早々気づかれるものじゃない...かもしれない」
 にしても、なんだかんだでよく聞いてくれるな。この人達。
 普通、自分みたいなガキの話をまともに聞くなんてあり得ないんだけど。
「例えば。中の人間が聞いた銃声と、外の野次馬が聞いた銃声が別の時間に鳴った銃声だったとしたら...」
 そもそも、銀行の外は、真昼のビル街だ。
上手くやれば銃声なんて気にもとまらないだろう。
「――だから、外に音を漏らさないように銃を撃ち、しばらくしてから外にも聞こえるように銃を撃った...いや、それより強盗自身が通報する方が確実かな。
 まぁ、ともかくだよ。実際の通報は強盗が押し入ったすぐではなく、そのしばらく後だった。それなら、」
「――それなら強盗が押し入り、野次馬が集まるまでの時間が大幅に伸びる。そのタイミングで逃げたとしたら...誰も強盗には気づかない」
 閃いた風に、刑事が後を続けた。
 ペンを取り出して、手近のメモ紙に手帳の情報を書き写し検証をはじめていく。
「けど、私は警察の方が来たときに、バッグに入ったお金を見ていますよ」
 頭取氏が、立ち上がって反論した。
 おばさんも立ち上がった。が、それはどうでもいい。
 デューはさらに自説を推した。
「だけど鞄の中は見ていない。中が新聞紙の束だったとしても気づかない。
バッグはカムフラージュ。警察が来た瞬間に金があったことを錯覚させるための小道具なんだよ。実際のその時には、金は仲間の手で持ち逃げされていた。
 あとは...そう鞄と中の詰め物をトイレで焼けば、最後まで残った犯人も証拠や遺留品を残さずに人質に紛れ込める」
「じゃあ! それが真相なのですか!!」
 頭取氏が、唾を飛ばして、デューの肩を掴んだ。
 おばさんは、内窓を眺めて目を懲らしている。
 それを見てデューは、頭を振った。
「いや、たとえばだって。前提にいろいろ無理があるし、」
 なにより、おばさんがまったく興味を示さない。
 おばさんは、未だ説明も不十分に拘置されて不満げな、客の様子を覗いていた。
「おばさん...何か見えた?」
ガラスに映ったおばさんの顔がにやり、と笑う。
「犯人」
(消えた銀行強盗)

2006年01月29日(Sun)  鼻歌。
 HIROおもしれ〜〜。
 飛びまくりですよ。飛びまくり。
 観念の中の戦いとかもう格好良すぎ。
 十歩の距離ならばいかなる相手をも一撃に葬り去れる暗殺剣、その名も「十歩必殺剣」 とかも最高ですよ。そのネーミング! 安直さが逆にリーチ掛かっていて良いですよ。
 妄想、あるいは仮説を二転三転させて映像で見せていくなんて構成はもうに時間ドラマではあり得ませんね。なんて思ったいないと思ってしまうのは何故だろう(笑)

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「犯人は、この中にいました!」
「だからそれ当たり前なんじゃないかなぁ」
 テンガロンハットをくるくる回すデュー。
 一通り見回って、今はまた応接室である。
 見た感じの所感を報告したら、帰る算段であった。
 おそらく犯人は、一般客に紛れて逃げた。警察が来る前に逃げた者と、警察が来てから人質解放に紛れた者。そして金庫の金も、何らかの方法を用いて輸送した。
 が、その輸送の仕方、ひいては金の所在が解らない。
 だから、一般客に紛れた犯人も証拠がないので逮捕できない。
 そういうことである。
 警察も馬鹿ではない、銀行及びその周りをくまなく探したのだ。
 応接間で走り回っていたのはその為で、あの調子なら天井裏からトイレのタンクまで調べたはずだった。それでも見つからないのだという。
 金は間違いなく持ち出されている、そういう結論が成り立ってしまう。
 おかしな事件だ。分刻みで金を持ち逃げするタイミングがない。
 一見、偶然の組み合わせがこの不可能犯罪を構成している様に見えるが、まるでそれこそが犯人が描いた構図のようにも思えてしまう。
 そういう構図だった。
 こんな手の込んだな事するぐらいなら、迅速に事を進めて警察が来る前にとっとと逃げ出す、なんて方がよっぽど安全な気がするが、まあ思いついた完全犯罪はやってみたくなるのが人情という見方もあるだろう。とくに問題にされていない。
 まともな神経じゃ起らないからこそ、この手の事件はやっかいなのだ。
 そういう論調だった。
「あとはアリバイですね。真相まであと少しってところかしら」
 もっともらしくサリーおばさんが頷いた。芝居スタートである。
「...まあ、ようするに、焦点はお金の脱出するタイミングなんだよね」 
 犯人はどうでもいいという口ぶりで、デュー。
 まあ、特に依頼を受けたわけでもない。知恵を貸すだけ。
解決しようがしまいが関係ない。
「...ええと、金を最後に確認したのは誰?」
 とは言え、細々とした事情聴取はデューの仕事であった。
「、おそらく私です」 不思議そうな顔で頭取氏。
「それは金庫に案内したとき?」
「いえ、応接間に詰め込まれる前に黒いバッグをカウンターに三つ置いたのを見たのでそれが最後かと」
「そこらへんを、もう少し詳しく」
「はい、」
 頭取さんは、深く頷いて斜め上を見上げた。
「銃を突付けられた私は金庫室へ案内しました。臆病とそしられるかも知れませんが、社の方針として強盗には逆らわないよう言いつかっておりますので...
 金庫の鍵は、私と他数名のみが開けることが出来ます。型は古いので、その筋の専門知識さえあれば開くことは可能です。鍵だけでも新しくするべきだと、よく議題に出ていたのですが...話が逸れましたね。
金庫の鍵を開けると、強盗達が二人入っていきました。私の横には一人だけ残り、その一人がカウンターへと私を誘導しました。
 そこでしばらく待っていると、黒いバック三つに金を詰めた強盗が一人、奥から現れました。私は、声すら上げる勇気もなく、ただそれを見るだけでした...」
「いや、そーゆうのはいいから」
 どのみち、声を上げたら撃たれて終わりだ。
「で、銃声を聞きつけて通報された警察が来たのは、それからすぐ?」
「...同時ですね。そこからは、わかりません。男が二人になった時点で私も目隠しをされて応接室にたたき込まれ、変わりにお客様が引っ張り出されていました」
「じゃあ、それ以外でちゃんと確認したのは?」
「金庫に案内したときでしょうか」
「それはちらっと中を見ただけだろ? それは数に入れないで。ちゃんと額を確認したのは?」
 続けて聞いていると、刑事がしびれを切らした。
「おい、それが事件と何の関係が」
「大丈夫、お金のアリバイだから!」
 何が大丈夫なのかはデューも知らないが、力(だけ) 強く頷きかける。それで刑事は黙り込み、頭取の口が開いた。
「今日の朝に一定の額を仕事場の小金庫に移動させますからその時――いえ、ちゃんとと言うことになると昨日の暮れですね。毎日、私が最後確認をしてから帰ります」
 それが何の役に立つのだという顔。
 デューも真面目にそう思うが、なにしろ、おばさん――名探偵の勘がその質問を促しているのだから。あとあと役に立つのだろう。
 おばさんの勘だけは馬鹿にしてはいけない。デューは散々それを自分に言い聞かせている。彼女の探偵としての勘は悉く外れない。少なくとも、デューはそれが外れたのを見たことがない。
 六年前にあの馬鹿父親が失踪したときも、それを探し出したのは彼女の勘だった。デューではなく、だ。
 彼女の疑問はいつもピンポイントで真相に迫っている。
 だから、それを追えば必ず真相に近づける。
 惜しむらくは、おばさんがそれに近づいているという自覚が全くないことで、誰かがそれを自覚して導かなければならないということだ。
 デューの役目はまさしくそれだった。探偵が見抜いた「事件解決に必要十分なピース」 を組み立てる役割。
「ええと、他に思ったこと無い? おばさん」
「犯人はおかもちではないでしょうか。おそばを渡すフリをして桶にお金を積み込んで、堂々と正面から逃げおおせた...と言うのはどうでしょうね」
「どうでしょうね...って言われても困るんだけど」
 が、その役割は自分で推理するよりも難しいのでは無かろうかと、最近思うデュー。

(消えた銀行強盗)

2006年01月28日(Sat)  濡れたアスファルトを走った。
あ〜テルミンひいてみたい。
大八車で容赦なく(違)

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 トイレの窓は嵌め殺しで出来ていた。
 つまり、ここから逃げた、あるいは金だけ逃がしたというわけではない。
 まあ、そもそもトイレはおろか、裏口からも犯人が出た形跡はないらしいが。
 金を詰め込んだ時点で勇気ある野次馬が大量にいたのだ。
 ネズミはともかく、人の見つからずに這い出るスペースは、無かった。
 トイレは洗い流し式で下水道に流れるようになっている。掃除も行き届いているので、すこぶる快適な部類。デュー的には☆三つ評価を上げてもいい。
 おばさんは洗面台でタバコの火を落として、手を洗っていた。
 まあ、トイレでタバコを吸うのもアレなのだろう。
 手を拭くために、火のついていないパイプを銜える。
 と、
「ん、デュー、ちょとデュー」
「聞いてるよ。何?」
「なんだか、焦げ臭くないですか?」
「え、」 匂いを嗅ぐ。「本当だ焦げ臭い」
 無意識に鼻呼吸をやめていたので気づかなかった。
「ふぅむ」 すんすんと、鼻を鳴らして踏み込んでくるおばさん。
「ちょ、おばさんココ男子トイレ...」
 お構いなしである。この人は、一度探求活動に入ると、周囲がまったく見えなくなるのだ。
 焦臭い匂いを突き止めることに没頭したおばさんを追いかける。
 案の定、陶製の便器に顔を近づけて手を伸ばそうとしていたので、
「あ〜自分がやるから」
 一心不乱になって、止めた。と言うか、押しのけて便器に向き合う。
ネクタイが間違っても落ちないよう、肩に掛けた。 
「健気ですねえ」
 目を細めて、微笑む。
「嬉しくないよ」
 気をよくしたおばさんは、鼻を鳴らしてパイプを銜えた。
「そのネクタイ似合っていますよ」

(消えた銀行強盗)

2006年01月27日(Fri)  金曜日。
 金曜日って一番何もない気がしますね。
 図書カードを多分買いました。高島屋です。
 デパートなら売ってるだろうと踏んだんですが、
でも、図書カードって本屋で売ってるんですよね。
 何故か気づかなかった金曜の夜。

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 リノリウムの床を新品のウェスタンブーツで歩く。トウとタンが少し緩いがまあ既製品なので大目に見ようと考える。
「タバコはありましたか?」
「あったよ、ちゃんとバニラの入ってるヤツ」
 口笛を吹いて、デューが差し出した箱を受け取るおばさん。
 なんでも、こちらのタバコは故郷に比べて香料がふんだんに入っているらしく、おばさんはそれが存外お気に入りなのだ。
 訊けば、新大陸のタバコは甘くて美味しいらしい。
 煙が甘かったり美味しいとか言う感覚がデューには皆目見当が付かないが、
「今度はちゃんと自分で買ってくれよな」
州法で未成年の喫煙が禁止されているらしく、要らぬ疑いを掛けられたのを思い出す。
「うぃ」
 と、頷いたおばさんの足が止まる。
 金庫室前だった。
 開きっぱなしの鉄格子と、開きっぱなしの金庫。
 チョークで床に進入禁止KEEP OUTと書かれている。一通り検証はすんでいるみたいだった。
 おばさんは文字に構わず、鼻歌混じりで金庫の中へと入っていく。
 金庫は左右二枚の扉が正面に向いて開くようになっていた。
 デューも続いて入る。
 中は二人が二人ギリギリ入るかという空間だった。入り口以外の三方が棚になっていて、そこに金が無造作に――という言い方はおかしいが、置かれている...今は違うが。
 床は同じくリノリウムだった。
「床に穴とか、はありませんねぇ」
「あったら強盗なんてしないって」
「けどほら、カムフラージュとかあるでしょう?」
「何をカムフるって言うのさ」
 中ではドル紙幣が、これでもかと言うぐらいにバラバラになっていた。
 にしても、乱れすぎだ。
 よほど詰めるのに焦ったのだろうか。
「おや、一万ドル紙幣とかもあるんですねえ」
 おばさんはパイプを銜えたまま器用に喋りながら、一方をみつめている。
 そこには、さらに小型の金庫が据え置かれている。
高額紙幣と張り紙。
「それは主に銀行用の紙幣で、市場には出回らない金だよ...って、さっき頭取の人が言ってたじゃないか」
「ふうん。これは盗まれなかったのですね」
「まあ、盗んでも換金――ってのも変だけど、市場じゃ使えないからね」
「ふうん」
 また呟いた。
「でも嵩張るワケじゃないし、持って行ってもいいと思うんですけどねえ」
「母さんみたいなこと言わないでよ」
 金に無頓着なのがおばさんの数少ない美点だと思っているデューは、眉をしかめた。
「欲張るとろくなことにならないって」
「あ〜言ってやろ」
 ふふふ、と笑うおばさん。横顔もちゃんと笑っていた。
「わたし、物覚えは良いのですよ」
「物覚えだけはね」
 嘆息する。
 あと、推理に関する勘もだけど、それを言うとつけあがりそうなので絶対に言わないことにしていた。
 もっとも、彼自身は気づいていないだろうが...デューがそれを言わないのは、彼女――サリサタに対するちょっとした対抗心からでもある。
 さておき、デューはリノリウムを蹴って、おばさんに尋ねた。
「もういい?」
「ん、次はトイレですぅ」
「口調」

(消えた銀行強盗)

2006年01月26日(Thu)  いまさらな話。
 ガンガンでひぐらしの一遍の連載が始まるそうです。
 正直、ひぐらし自体にあまり興味がない(※)ので、その断片がガンガン本誌で連載されるというのは吉なのか凶なのか。トライゼノンの一遍だけがドラマガで連載するみたいな。
 単体だけ読んで面白いのなら、良いんですけど。どうなんだろ。
 ...まあ、特集の組み方にも寄るか。

※サウンドノベル全般にあまり興味がない。
 最後にやったサウンドノベルは、「街」あるいは「すべてがFになる」
 あと、推理というか謎モノらしいので、完結待ってから読んでも別にいいよなあと思っている。(京極堂で一度懲りた)
 事実、戯れ言シリーズ最終巻(上・中・下) は全巻出てから一気に読んだ。
 推理ものの連載の場合、往々にして待つ楽しみより待たされる苦しみの方が辛い。

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 さて、謎も提示されたし本題である。
 とは言え、デューはあらかたの想像が付いていた。
「でもさ、消えた強盗って言うのは」
「わかっている」 むっつりと刑事が腕組みをする。
「一般客については、聴取中だ。事実は伏せているがな」
 さすがに、理解はしているらしい。
「ってことは、やっぱり外に解放されたときは、客だけ?」
「ああ、そうだ。目隠しをされたまま、ひと塊になって出てきた。確認を取ったが誰も強盗を確認していない」
 もはや確定、だろう。
 話に置いてけぼりの頭取が、不安げに首を回す。
「あの、どういうことでしょうか」
 何故かおばさんに尋ねる。
 おばさんはと言うと話を聞くわけでもなくパイプを吹かしていた。
 訊かれたおばさんは、ちらりとデューを見る。
「解放された人質に強盗が紛れているってこと」
「え、ええ!?」
 頭取は、素っ頓狂な声を上げてから、立ち上がって、することもないので座った。
 思わず笑いそうになったが、デューは根性で堪えた。
「で、でもそんな五人も紛れるなんて...」
 慌てている割には、良いところを突く。
「例えば、警察の到着するまでに何人か逃げいていたとしたら? その時の格好が、強盗然とした格好じゃなくて一般客風だったなら?
 全員を縛って目隠しをした後なら、一人や二人でも人質を解放するぐらい出来るだろうし」
「あっ」
 デューは、刑事の顔を伺った。
「ああ、そちらも、目撃者がいる。何人かの一般客らしき人間が、事件後すぐに逃げ出していったらしい。...まだ見つかっていない」
 確定、だった。
 おばさんの方を見上げると、うんうんと頷いている。
 本気で理解しているのかは相変わらず謎だが。
「しかし、どちらにしろ問題が残る」
「...というと?」
「金も消えたのだ」
 強奪された金は、黒のバッグに詰められ、仮に100ドル紙幣だけだとしても鞄三個は満杯になるほどあったらしい。
 さすがに、それを一般客に扮して持って逃げたとすれば目立つだろうが、今のところそれらしき姿を目撃した人間はいない。
 ふと、気になったのでデューは訊ねてみる。
「...えっと、こう言うときに何だけど、もしかして俺達のお金も」
「いえ、それは」
 また、頭取氏はおばさんを見た。
 見られたおばさんは、自分に視線が集まるのに気づいて、パイプを吹かしたまま下を指さした。古びた鞄がある。今はそれがパンパンに膨らんでいて、ところどころから100ドル紙幣が飛び出していた。
「...これ、ココに置いてたの?」
 よく取られなかったなあ、とデューは感心した。

(消えた銀行強盗)

2006年01月25日(Wed)  朝になったら迎えに行くよ
 ヘルカイザーまだかなあ。

 ガンオケはまだ三周目です。
 戦闘は面白い反面あれですね。戦闘と授業でしか発言力稼げないというのもどうだろう。電子妖精はなんだかルールブレイクっぽくて嫌なんですね。
 まあ、そのために雑談が豊富なのかな。
 てか、自分がオケラなのに他の生徒に5、6万も発言力溜まってるのは何ともなあ。

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 サリサタ・ノンテュライトは応接室で、今のようにコーヒーを飲んでいた。
「それで、お引き出し金のことなのですが、なにぶん大金ですので今日の営業が確定してからと言うことで」
「はい」
 ちなみに、時間は営業終了直前である。
 よく解らないが、謙られて、敬われている。
 少しむずがゆい。
 普通、お金を全額引き出すというのだから、もう少し嫌な顔をしても良いと思うのだけれども。
 この若さで、大量に預金があるから、「やり手」 とでも思われているのだろうか。
 まあ、そんなことを考えていたときに銀行強盗が現れた。
 もっとも強盗と言うより、ギャングである。いきなりハットに覆面で顔を隠した男がピストルとロープを持って応接室に押し入ったかと思うと、手早くサリサタを縛り付けて目隠しをし、頭取を連れ去った。
 彼ら(多分5名) は、警備員を武装で無力化した後に、人全てに銃を突きつけて全力で脅した。
 そしてサリサタ同様に銀行員と客を手早く細縄で縛り上げ、目隠しを施し、応接室に閉じこめ、その後頭取に金庫を開けさせて金を奪った。
 頭取が縛られ応接室に押し込まれたその後、銃声を聞きつけた市民の通報で警察が到着し、強盗側は交渉の後に人質を解放し...約30分の間に、金と一緒に消え去ったのである。
「のである――って、やけにダイジェストなんだけど」
「だって、私応接室にいていきなり縛られたから詳しいことなんてわかんないんだもん」
 もん、って。
「まぁ、いいけど。じゃあ、なんでおばさんは解放されなかったのさ?」
「...てたから」
 饒舌に解説していたサリサタの口調が、とたんに弱々しくなる。
「はい?」
「え、と。その...き」
 白い肌に朱が差す。
「気絶? なんでまた」
「あの、」 助けは別方向からやってきた。
「サリサタ様は強盗達から私を守ろうと、その奮闘なされて」
「あえなくやられて気絶したと...お・ば・さ・ん」
 デューがサリサタを睨む。
「は、はぁいv」
 その厳しい表情に、思わず居竦むサリサタ。
 その顔は、彼の母親の顔よく似ていた。
「あれほど、ひとりの時は危険なことをするな、って言ったよね?」
「ふ、ふたりの時は良いのですかぁ?」
「口調。ふたりの時は、俺が止めるってだけ」
 あまり言うと、本気で幼児退行しそうなのでデューは説教を引き上げる。
「ともかく、今度はちゃんと黙って縛られといてくれよな。
じゃないと、ちゃんと守れないよ」
「そ、そうね」
 人差し指をあわせて、サリサタは所在なげに頷いた。
「お、お父さんとお母さんに頼まれてるものね」
「っ、そうじゃないだろ! 俺が、」
 語気が強くなりかけたのを、デューはギリギリで自制した。
「と、ともかく返事」 
「は、はあい...」
 いきなりのやり合いにビックリした残り二人は、口を半開きにしたまま硬直していた。が、それでも少しした後に、
「あ、あの。今度ってまたあるのですか?」
「あんたら、どういう生き方してるんだ」
 冷や汗をたらして、そうツッコミを入れた。

(消えた銀行強盗)


2006年01月24日(Tue)  透明な翼広げて、
ライブドアショックはええといつ起きたんだ...?
この日は、そろそろショックが落ち着いて各方面の株価がもとに戻ってきた頃合いの日です。
ってことは、ショックから数日して落ち込んだときに関連株を買って、今日まで持っておけば上がるってことですね。
まあ、言うのは簡単ですが(笑)
買う勇気、売らない勇気、上がっても待つ勇気、売る勇気。
まあ、色々いるのではないでしょうか。
ただ、カンで待つのはそりゃ無謀という奴です。
経験則やら情報分析やらで必ずこうなる、と踏んで機を待つのが勇気なワケです。
自分を信じる、あるいは自分の答えや正しさを見失わずに疑わないことが勇気だと言うことでしょうか。
まあ、よくわかりません。
勇気って奴にも、色々種類があります。
機動刑事ジバンなんて「愛するものを自分を捨てても守るんだ」 と歌っていますし、そう言う勇気もあるのでしょう。

何の話だ...ええと、ライブドアショックです。
小泉さんは「それとこれとは別でしょう」 とか言わずに、「信じてたのに裏切られた」 と言えばいいのに。よくわからない弁明していますね。なんでだろ。

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 突き出されたコーヒーの湯気で、おばさんの眼鏡が曇った。
 あわてて、眼鏡拭きをポケットから取り出すおばさんを横に、デューは切り出す。
「犯人が消えた件ですね」
 色々聞かれる前に、助手ですと嘘をついてから質問する。
「犯人と、金が消えた件だ」
 むすっとしている薄髪のダンディは、刑事だ。名前はこの際どうでもいい。
 明らかに、不満気――探偵がこの場にいることが不服なのだろうが、まあ、それもどうでもいい。デューだって不服なのだから。
 険悪な雰囲気を察してか、ここからの話は頭取さんが続けた。
 消えたのは犯人と、大量の金。金庫の額の4分の1くらいだという
 人質が解放され、銀行員だけになって約30分の間に消えていた、らしい。
らしいというのは、銀行員達が目隠しをされていたからである。
「目隠し? ですか。それで、犯人がええと、」
「すみません、わたしもまだ混乱していまして...順を追って」
「私が説明しましょう」
 視線が叔母さんに集中する。
 おばさんは眼鏡を拭いていた。見られて「ん?」 と、顔を上げる。
紺碧の瞳がきょとんと揺らいだ。
 とたん、ほう、とデューを除く二人からため息が漏れる。
 都会に入り、シャワーを浴びて髪も整えることも出来、ついでに幾らか化粧もしているおばさん。金髪にブルーの瞳に、最近ではそばかすも日焼けも無い、ちょっと黄色の肌。
 白人の特徴と、オリエント特有の多民族の血の通った整った顔立ちを持つおばさんは...まあ眼鏡の曇り具合によっては、エキゾチックな美人に映るらしい。
「ええと...続きを」
 見惚れている二人に、何故黙っているのだろうとか考えながら、おずおずと訊ねるおばさん。
「早く言いなよ、みんな待ってるんだから」
 促すデュー。
「え、どうして怒ってるの?」
「別に。」
 怒ってはない。少し腹が立つだけだ。
 おばさんは、年季の入った眼鏡をかけ直して――それで幾分か美人度は下がった――話を始めた。

(消えた銀行強盗) 

2006年01月23日(Mon)  灰原の時も変わってたんかな。
コナンの光彦(小1)の声が変わっていた。
声変わりか...

それはともかく、大谷育江さんが体調不良のためしばらくお休みするらしい。
大谷さんと言えば、自分の中ではちびシグナルの人なのだが、ピカチュウをはじめ、ワンピのチョッパー、ガッシュベルのガッシュ等、大人気アニメのマスコットキャラを悉く受け持っている偉大なお方である。
そりゃ、体調も不良になるわ...一日も早い回復を願っております。
回復までの代役は以下の通り、

金色のガッシュベル!!(ガッシュ・ベル役):吉田小南美
ONE PIECE(チョッパー役):伊倉一恵
名探偵コナン(光彦役):折笠愛

ガッシュはグルグルのククリか。想像が付かん...
コナンはアークのエルクで、ワンピは、
――おお、虎王じゃないですか。ワタル(ルフィ:田中真弓)&虎王のコンビですね。ちょっと楽しみ。
...でも、どうせならコナンの代役でヒミコ(灰原:林原めぐみ)&虎王のコンビを聞きたかったなあ。

って、どうでもいいけど例えが全部古っ!

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 おばさん――サリサタ・ノンテュライト(年齢不詳) は久々に都市に入って二日、銀行に通い尽くしだった。
 路銀が尽きかけたので、旅の初めに開設した口座から幾らか引き落とそうと考えたからである。
 新大陸に来てまで、サリサタとデューが口座を開いたのには理由がある。
 ひとつは、旅費の分散。長旅で纏まった金を持つのは得策ではない。
 銀行に預けておけば、新大陸に点在する都市の支店で都度引き落とせる。
 もうひとつは――そのもう一つが問題だったのだ。
「全額をね、引き落とそうとしたのですよ」
 ようやく縄を解いて貰って(縄抜けは無理だった) 手首をマッサージするサリサタ。
「さほど預金していませんでしたし」
「まあね」
 同意するデュー。
「それで、昨日ですよ。本店に無線を打って頂いて、残高を照会したとこですねぇ。なんと預金額がですね...」
「なっ」
 言われた額に目を見開く。
「利息というヤツですかねぇ」
「いや、最初の預金額の1000倍近くあるし...本当に心当たり無いの?」
 サリサタは、しばらく無言で通した。
 懐から、パイプを取り出して銜える。
「はい、実はあります」
 慎重に火を付ける。これが最後の草だった。
 サリサタは、過去何度か新大陸で探偵の仕事を請け負い、その成功報酬の振込先としてこの口座を教えたことがあった。
「無報酬のつもりだったんですけどねぇ。それでは引っ込みがつかないと何故かみなさん仰いますので」
「で、半分投棄的に開いた口座を適当に教えていたらこうなったと」
 デューは頭を抱え、ため息をついた。
「それで?」
「...残高を確認された銀行員さんが血相を変えて奥に消えたかと思うと、やっぱり血相を変えたトードリさんがやってきまして」
「そりゃ血相も変えるよ」
「本当に全額下ろされるつもりですか、なんて聞かれちゃったモノですから思わずハイと頷いてしまいまして。そうしましたら、お金を工面しますので翌日までお待ちくださいと言うことになったのですよ」
「いやそこはもうちょっと思おうよ...んな家建つほどの大金、持って歩けないって」
 呆れるのに飽きたのか、デューは周りを見回した。
 警官が応接間を、いや、銀行中を縦横無尽に走り回っている。
「見つからないみたいだね」
 嫌な予感を感じた様子で、デュー。
「もうすぐでしょう」
「見つかるのが?」
 気のない相づち。
「まさか」
「――だよね」 
 応接間をのぞき込むように、スーツの壮年が入ってきた。
「あの、よろしいでしょうか」
「どうぞ」
 歓迎するように手を開く、サリサタ。
「すみません、こんなゴタゴタに巻き込んでしまって...」
「いえいえ、こちらこそそんなゴタゴタな時に無理難題言ってしまったみたいで」
 帽子を胸に掲げ、微笑んで、会釈。我ながら、上手くできた。
「ええと、おばさんの知ってる人?」
「こら! さっき言ったでしょう、頭取トードリさん」
 デューの頭をはたく。おばさんと言ったことではなく、目上に対して失礼だったからである。
 どうもと挨拶をするデュー。
「いえいえ、お気になさらず。それよりも、」
 トードリ氏は、サリサタを向いて居住まいを正した。
「失礼ですが、あなたがその、名探偵であると言うことを聞きまして、少しお知恵をお貸し頂けましたらと...」
 聞き終える前に、デューとサリサタは顔を見合わせた。
 「ほらね、」 と、サリサタは片目を細め、表情だけで言った。
 デューが諦めたように、肩をすくめて息をついた。

(消えた銀行強盗)

2006年01月22日(Sun)  日曜日。
 響鬼が最終回。
 まだ見れていません...

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「で、何か弁明はある? お・ば・さ・ん」
「むーむー!」
 多分、おばさんじゃないとかそう言うことを行っているのだろうが、猿ぐつわをかまされているのでむーむーだった。
 おばさん――ディアストーカーにアクアだかバーバリーだかのトレンチと、まんまロンドンパルプから抜け出した探偵然とした格好の女性は、いつもの如く縛られていた。
「ったく、事件のたびに縛られて」
 デューは呆れた様子で、応接室で縛られ寝転がっているおばさんを見下ろす。
「そろそろ縄抜けとか習得した方が良くない?
何なら教えないでもないよ。ネルソン爺ちゃんと路地裏のおっさんと船乗りのおっちゃんに教わった三通りの抜け方があるんだけど、どっちがいい?」
「むーむー!」
 その応接間にも警官があわただしく駆け回っているのだが、二人のことを気にする様子は微塵もない。それどころではないのだ。
「あ〜、じゃあ今練習してみようか。こう言うときに練習しておかないとね」
「むーー!」
「と言っても、爺ちゃんのは縛られる前に準備がいるから無理だね。路地裏のおっさんのは腕の関節が外せないと駄目だし、じゃあ、船乗り風ので。これは靴底に小刀を仕込んでおくんだけど...」
「むーむーむー!!」
 縛られたままで、デューの講義は続いた。

(消えた銀行強盗)

2006年01月21日(Sat)  人は誰でも一つの太陽
 ガンオケをやっているので、日記の更新が滞っております。
 ゲーム中一番割を食らうのは日記です。むしろそうありたいものですが。
 現在三週目。
 鈴木イベントが回収できないと、二週目で踏んだため介入終了(強制クリア)をして三週目に入りました。三週目からはクラスメイトの配置を全て選択できる模様。
 このゲームは強くてニューゲームが設定的(世界観的)に認められているゲームであり、最終的に...何を目指すのかはまあ知りませんが、何回もやり込むことを前提に造られています。
 でも、やり込む割に三月には新作が出るんですよね。
 

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(エントランス・ザ・パラレル)

 久々に都市らしい都市に入って、二日目。
 デュー・コーンウェルは、この日フロンティアパブで新婚生活中の両親に手紙を出した後、靴とネクタイとその他生活必需品を買い、銀行に向かっていた。待ち合わせ場所に、金を下ろしに言ったはずの彼の連れがいつまで経っても来なかったからだ。
 そのまま宿に帰っても良かったが、金を使い切ってしまったので、さすがにそのまま帰るには心許ない。
 本来なら、銀行で金を下ろしてから買い物をするのが正しい順序なのだろうが、まあ、そうはいかない都合もあったのだ。
 銀行の方には、先におばさんが出向いており、昨日今日と諸処の手続きに追われている。
「はず...だったんだけどなあ」
 ひも付きのテンガロンハットを押し上げて背中に落とし、髪を撫ぜる。ザンバラに切られた母譲りの赤髪が、日光を浴びて燃えさかっていた。
 銀行前には人だかりが出来ていた。
 人だかりの多くは主に警官。
 銀行強盗である。
「つくづく、事件召喚体質だよなぁ、おばさんって」
 髪を整えて、ハットを被る。
――まあ、それもまた、名探偵の素質なのかも知れないが。

 警官隊及び刑事が、身長に銀行内の様子を探る中、警察要の馬の横で少年がモソモソと動いている。
 警官の一人が、訝しんで近寄ると、少年は今買ってきたばかりのネクタイとブーツの梱包を破き、着替えていた。
「君、今ここは危ないから――」
「あの中に、」
 見た目12、3歳の少年は、ネクタイを手慣れた手つきで締めると、
「おばさんがいるんですよね」
結ぶ。
 少年の割に、妙に落ち着いた――率直に言えば擦れたガキそのままの口調だったが、警官はそれよりも言葉の内容に気を取られた。
「そうか、ならもしかしたら――」
 警官は90度左を向いた。そこにだけ、警官とは違った一般人の集団がいる。
「あの中に、いないかな」
「いや、いなかった。
――ああ、あれが解放された人質だと言うことはわかっているけど。
何というか、物凄く分かり易い格好しているから」
 少年は、ブーツを小型ハンマーで叩いて、靴ズレを調整していた。
 ウェスタンブーツ。かなり本格的な、長旅でもするかのような靴だ。
 脱いだ方の靴も、似たような物で、こちらはまるで長旅でもしたかのようにボロボロだった。
「中、もしかして銀行員しかいないとか?」
「あ、ああ。そうだ、」
 雰囲気に飲まれて、頷く警官。
「あとは、まあおばさんか。それはどうでもいいけど」
 屈伸しながら、再度訊ねる。
「さっきから、何にも起きてない」
「あ、ああ」
「もう一度聞くけど、もしかして銀行員しか・・・・・いない?」
「えっ」 と、警官は銀行の方を向いた。さっきから音信もない銀行。
「まさか...」
 と、振り向くが、少年は既にそこにはいなかった。
 忽然と消え、次に見たときには銀行の扉前。
 ざわめきが起るよりも速く、少年は木製のドアを蹴破...ろうとしたが、やっぱりノブを手に取ってドアを開けて入った。
「馬鹿者、何故行かせた!」
 上司が警官に罵ったのは、そのしばらく後だった。
 それ程あっけにとられていたのだ。
 が、しかしその後の判断は早かった。
「と、突入だ!」
 しかし、少年はもっと疾早はやかった。
「いそがなくていいよ」
 手を振りながら、出てきたのだ。
「もう、犯人居ないみたいから」

(消えた銀行強盗)




2005年09月22日(Thu)  泣いて怒ったり そして笑ったり 誰かを愛したり
忍空がウルトラジャンプで再連載されるそうです。
...お、おおおおお。
オレ、忍空の作者今の今まで死んだと思ってた。
いやマジで死亡説を本気で信じていました。
過労で、だったかな。先輩に聞いた覚えがあります。
だからずっと集英社の悪しき体制の犠牲になったんだって(いや、これはあってるか) 思ってました。

う〜ん。
嬉しいけれどびっくりしたなあ。
既に心の整理が出来ていた(失礼) だけに、どう捕らえればいいのやら。
いや、もちろん嬉しいんですけどね。
そうかぁ、再連載かあ。

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「一つ解らないんだけど」
「何? デュー」
「結局、おばさんがオレに教えた事って何?」
「愛と友情と真実と根性」
「...まあ、いろいろチョイスがおかしい気がするんだけど」
 その辺が根性の出番なのかもしれない。
「それにしても、デュー。よくあれだけのヒントで犯人を見つけられたわね。
きっかけが貴方のおっちょこちょいだったとはいえ、褒めてあげますよ」
「きっかけは、おばさんが新大陸についてから、ところ構わず迷推理をかまして来たからだと思うんだけど...」
 有名税という奴である。
 今や、金髪の探偵と少年のコンビはさるスジでは有名なのだそうで。
 派手なケンカでデューが目立ったのは確かだが、おばさんが連れ去られて悩み相談何て頼まれそうになってデューが駆けつけてチャンバラに――何てことになったのは明らかに彼女のせいだった。
 こっちの気苦労なんてしった事じゃなく、おばさん拳を口に近づけて、
「むふふ」
 なんて笑う。普段は無理して大人ぶってるくせに、デューの前だと、たまにこんな子供っぽい仕草をするのだ。
「どうもここがロンドンじゃないと思うと昔の血が騒ぐのよね。だぁれもお目付役がいないし。ほら、旅の恥は掻き捨てって言うじゃない?」
「よかった、一応恥だとは思ってるんだね」
 皮肉気に言うも、自分がお目付だと思われていないという事実に苦く笑う。 
「根性もなければ友情もない、そんな真実だった気がするけど」
「あ、駄目よデュー。その言い方だと回想に行っちゃうから」
 何がどう駄目なのだか。
「――犯人は、新聞記者の噂を団長に告げ口した男、ワイアットでした。
それを知った団長は怒り狂いワイアットを厳しく尋問しました。
 何故殺したと問う団長にワイアットはあっさりと自白。
 その自白は目も当てられないわがままな理屈でしたが、しかし40人の盗賊の数人がその自白に共感しました。そして盗賊団は空中分解し、血で血を洗う論争に。
...で、その隙に逃げるおばさんとオレ。それだけの話だけどね」
 そんなわけで、ここは何処ともしれぬ荒野である。
 まあ、道があるから歩けば街に着くだろう。だから歩いている。
「そう言えば、私犯人の自白聞き逃しちゃったわ。どうしましょう、きっと100年の過去から連なる、愛と狂気の復讐劇があったに違いないわ」
「それの何処がどうしましょうなのか知らないけど。そんな壮絶な理由じゃなかったから安心して良いよ」
 もっとも、教えるつもりはないが。
 叔母さんは推理して犯人だけ勘で当てていればいいのだ。 
「だいたい、おばさんが関わると余計に事態がややっこしくなるし」
「失礼ね、デュー。これでも私、軽く二回は銃に撃たれて生還している猛者なのよ」
「それがややっこしいんじゃないか」
 よく生きてるなあ、この人。
 そう言えば、母も包丁(だかなんだか) で刺されたことがあったか。
 近所の医者のおっさんが毎度手当をしたそうだが、あのおっさん、のっぺりほやほや間抜けそうな面してよっぽど名医なのだろうか。
 それとも、あの看護婦連中が優秀なのかな。
「ああ、そうだ。愛はなかったね」
「あら、デューが助けに来てくれたじゃない。私嬉しかったわよ。やっぱりお父さんの血を引いてるだけはあるわね」
「親父ねえ」
 けなし言葉に家族を引き合いにされるのは嫌だが、褒め言葉に使われるのも嫌なものだな。
 まったく、その言葉がなければ普通に喜べるというのに。
「若い燕なんて飼ってないで、そろそろ結婚考えなよ。もうあれだよ、ほんと...ええとロスタイム?」
「デュー、聞きなさいデュー。わ、私だってその気になればねぇ」
「あの小説家はどうなったのさ」
「そ、それはその...」 ごにょごにょと。
「...ったく、探偵事務所なんて珍奇でダーティなことやってるから誰も寄りつかなくなるんだよ。なにその髪の毛。ぼっさぼさじゃん。せっかく金髪なのに」
「べ、別に金髪が私のアイディンティティって訳じゃないもん」
 もん、て。
 デューは、ため息をついて道が延びる、地平線を見つめた。陽炎がぐにゃぐにゃと揺らぐ先にちょびちょびと建物の影が見えてくる。
 風が吹いた。砂が舞い、埃っぽい匂いが鼻をくすぐる。
「ま、いいや。次どこ行く?」
「え、いいの? もうちょっと構ってもいいのに...」
 残念がる叔母を余所に、デューは目を細めて風の吹いた先を思い、口許を引き絞る。
「ま、いいや」 もう一度呟く。
「せっかく逆新婚旅行に来てるんだからさ、めいっぱい遊んでかないとな、おばさん」
「うぅ、おばさんはやめて〜」
 
 かくて、少年と探偵の旅は続く。
――のかもしれない。

(アリバイと40人の盗賊)

2005年09月21日(Wed)  むげんにいきるかいつぶり。
貝のような人生もいいかもなあ。
影響を全て遮断するのではなく、自分という貝殻の響きで世界を認識するみたいな。

「秘伝1」村松恒平
購入。
 物を書くと言うことに関する様々な悩みや疑問をQ&A方式で説いていくという本。元はメルマガなのかな。
 もっとも、広視野な文章業について書かれているため、自分のようにネットで小説を公開する人間に該当するアドバイスは少ない。
 だが、それでもハッとさせられる経験談、考え方等が随所にあり、幾度となく目から鱗が落ちて行ってしまった。
 特に、「推敲は一回のみ、手直しは加えれば加えるほど元のおもしろさが消えていく」 と言うくだりは、まさしくその通りで、自分はこの文章を読んだ途端、あたかも闇を裂く稲妻の眉に落ちると見えて消えたる心地であった。((c)夏目漱石)
 自分自信、演劇によって得た経験の中で「ネタは錬れば練るほどおもしろくなくなる」 と言う確信を持っていたはずだったが、こんな単純なことも小説に活かせていなかったのだと実感。
 何も分かっていなかった自分に歯がゆい思いを感じたのだった。

 高いけど、おすすめです。
 本屋で立ち読むか、図書館で読んでみましょう。気にいりゃ買えばいいさ。

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 デューはネクタイをよってロープを造りながら、団長に尋ねた。
「団長さん、東の遠征って、どれぐらい離れたところまで行ったの?」
「へ? ...そ、そうっスね。こっから馬で丸一日ってところでしょうか」
「全員で?」
「いえ、この拠点には常時、何人か留守番を残しますが」
「ん〜じゃあ、一応、その人達の名前訊いて良いかな?」
 さらっと言ったつもりだが、団長の表情が厳しくなるのをデューは見すごさなかった。
 指を立て、口許に近づけて、何かを言いかけた団長の機先くじき、
「...団長さん。あんたは、立派な人物だ。リーダーシップと言い、罪を償おうとするいさぎの良さと言い、盗賊団なんてやらしとくには勿体ない」
 ネクタイを複雑に結び輪を作り、デューはそいつへと近づきながら、
「だけどね。俺から言わせりゃ、あんたは高級すぎなんだよ。
 悪に手を染めるってのは、ある意味そこで一線を越えちゃってるんだから。よほどの覚悟がなければ、戻れないポジションに来ている。そこんところを自覚してあげないと、他の団員が苦労するよ」
 結んだ輪を広げながら、どんどんと近づく。
 途中何度か他の団員を踏んだみたいだが、気にしなかった。
「もう一度聞くけど。その留守番組が誰だったのか、指さして答えてくれるかな。名前入りで」
 団長は、しばし考えた様子だったが、やがてええいと口に出して、
「わかりました。俺はこいつらを信じます。あそこで仰向けになってるジョナサンと、ここで寝ころんでるダーナル、そんでもって、そこの」
 と、デューのすぐ下でうつぶせになっている男を指さして、
「...ワイアットです」
「やっぱりね」
 確信に満ちた声は、実のところ一つの賭だった。
 外れたら次を考えればいい程度の、リスクもない賭だったが、はたしてそれは見事に成功した。
 ワイアットと呼ばれた男は、
「ちぃ」 と、吐き捨てて転がり、飛び退り起きあが、ろうとして、
脚がもつれて床板につっぷした。
 端から見れば、腕立て伏せをしたかのように映っただろう。かなり間抜けな光景だった。
 男の足首には、ロープのように細く捻れたネクタイが巻かれている。
 デューが結んだネクタイの輪をすっぽりと両足に嵌めたのだ。
 足が絡まってなお逃げようとあがくワイアット。
「無駄だよ。もがけばもがくほど結び目はきつくなる」
 自称元トレジャーハンターの爺さんに教わった結び方である。 
「哀れだな。とぼければまだアリバイは機能したのに。団長はお前を信じると言ったのに。お前は、自分の創意も仲間も信じられなかった」
 侮蔑するように睨むと、はじめうろたえていたワイアットも、やがて憎悪の眼差しを向け、
「ガキが...」
 そのまなざしが気に入らないので、デューはカウボーイブーツでワイアットの横面を蹴飛ばした。
「ガキに諭されるぐらい、底辺で間違ってるってことだろ」
 ワイアットが気絶がてらに唾を吐いたので、唾棄するのは勘弁しておいた。

(アリバイと40人の盗賊)

2005年09月20日(Tue)  少年ハート
PASTE6.jpg 333×208 35K
ツール関係を見直してみる。

PIXIA→OpenCanvas
Word→NAMI2000

図は、NAMI2000にOpenCanvasで落書きしたもの。

※NAMI2000はアウトラインプロセッサ。
文章をツリー式に管理できる。

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「謎は全て解けました」
 おばさんは、デューと団長の前に立つや否や、そう言い放って間を待った。
「犯人は...この中にいますか?」
「聞かれても」
「デュー、いない可能性もあるんですよ」
 肩に乗った三つ編みを弾いて、自信満々におばさん。
「まっかせなさい。私の推理は星詠みより確かよ」
 正直、おばさんの祖母直伝の星詠みとやらの方がよっぽど頼りがいがあるのだが。
「ま、いいや。それで犯人って誰?」
「いいやって...デュー。あなたこの私こと美少女探偵を舐めているわね」
「...四捨五入して30歳の美少女がどこにいるんだよ」
 叔母はデューのツッコミをさらりと流して、
「そうね、名前は知らないけど、登場はしたわ」
 助言。だったのだろう。
 彼女はデューの反応を待つように、じっと瞳を重ねてくる。
 思考するのさえシャクに感じていたが、デューは渋々考えた。
 とはいえ登場人物なんて、限られている。
 デューと、叔母と――
「それって...」
 ふとよぎった思考に、目の前が明るくなる。
 瞳孔が広がったのだと、自覚しながら、
「ありえないわけじゃないけど...」
 冷や汗が頬を伝うのを感じながら、デューはおそるおそる訊ねる。
「正気? 犯人がそいつだとしたら、物凄い後味悪いよ?」
「え、どういうこと?」 不思議そうに。
 気付いてないのかい。
「...一応聞いとくけど、どうやってその推理にたどり着いたの?」
「それは勿論」 叔母は自信満々に無い胸を張った。「名探偵の勘ですよ」
「勘かい」
 叔母の探偵としての才能は、推理力ではなく勘によるところが大きい。
 そして――認めやしないだろうが、彼女の勘はそれは星詠みや占いなどに代表されるオカルトの領域だ。
 推理はあてずっぽうの癖に、なぜか事件は解決する。だから、口さがない彼女の友人達は、彼女をして「迷探偵」 とあだ名する。
 ま、いいか。
 慣れきった様子でため息をついて、デューはネクタイを首から抜く。
「犯人はわかった。となると、残りはアリバイか...」
 アリバイか。
 一度は何の意味もないと思っていた存在が、ここに来てまた意味を持ってくる。
 まあ、そういうこともあるだろう。
「ま、どうでもいいか――このまま解決編ってのも」

(「アリバイと40人の盗賊」)
 
 

2005年09月18日(Sun)  大賞三作。
購入
「紅牙のルビーウルフ」:淡路帆希
「琥珀の心臓」:瀬尾つかさ
「七人の武器屋」:大楽絢太

 改めてみると、うちの感想って挿絵家に優しくないなあ。


 ついむらっと来てファンタジアの新作全部買っちゃいました。
 個人的に富士見の新作って、ここ最近ヒットしている印象がなく反面、ミステリ文庫は好調だなあと言う印象。
 けどまあ今回の三作は、なんとなくいい感じ。
 て、まあ自分がファーストインプレッションで買ってるんだからそれだけでいい感じなんだけど。 (自分が大衆的な人間だと言う観点から)

以下簡易に感想。 詳しくはmixiにて。

『紅牙のルビーウルフ』:淡路帆希
 ジャケ買い、ではなくカラー最終ぺージ買い。
 絵は問答無用で、美麗。
 なんというか、これでもかと言うぐらい王道モノだった。

『琥珀の心臓』:瀬尾つかさ
 あらすじ買い。絵の方は正直好かない部類。
 かなり概念系だけど今回一番面白かった。と言うかラストがすっごいホラー。
 生々しい感情描写と女の友情が素敵。

『七人の武器屋』:大楽絢太
 ずいぶん懐かしいノリで楽しく読めた。
 というか、ニセドラシル最高。


三作とも、面白かったです。
王道、概念、コメディ、と三者三様ってかんじでした。

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「無実を証明できないのなら、犯人を捕まえるしかない...んじゃないかなあ」
「へい、でもそれは無理なんすよ」
「ん、心当たりがある?」
 頷く盗賊団の頭。ぺらぺらと話出す。
「あの記者、腕の方は良くも悪くもない、うだつのあがらない中流ってところだったんす。記事の内容も、まあ犯罪をネタにしちゃあいますが長い物に巻かれよみたいなところがありやした。
 一応、マフィアやその他の収賄には屈しなかったみたいで、いつかデカいヤマあてて成り上がってやろうと思っていたらしいです。
 個人で動くことが多くて、自分の取材については記事になるまで誰にも明かさず、瓶詰めの蓋みてえに口が堅いってことでは評判だったんすよ」
 らしいとかみたいとか、ずいぶんと伝聞が多い。
「誰から聞いたの、それ」
「へい、こいつの」 おかしらは遠くで伸びてる一人を指さした。
「情報でして。で、ところが、一度火がつくと途端に口が軽くなるって評判で、だからうだつが上がらない中流だったわけですが」
「んなこたぁどうでもいいよ」
 死人を悪く言うななんて言って置きながら、自分が悪口雑言を吐いていることには気付かないらしい。
「それで、火がつくってのは...もしかして、アルコォル?」
「へぇ、その通りで」
 異邦人であるデューは故郷だとがぶがぶワインを飲んでいたものだが。
この新大陸は、酒を飲むことも造ることも厳しく法律で禁止されている。
 酒を飲むことが犯罪などとは全く思わないが、法で禁止されていることを行うことが犯罪なのなら、ここ新大陸では飲酒は犯罪だ。
 卑しくも新聞記者がそれを破ると言うのもいかがなものか。
「普段から飲むの、その人?」
「いや、そこまでは聞いてませんが」
「その軽くなった口で、何か言っちゃったわけだよね」
「へぇ、アトランドファミリーのキンタマをニギったとかなんとか。運の悪りぃことに、奴が飲んでたバーの店主がアトランドと繋がりがありまして」
「ふぅん」
 キンタマて。アトランドファミリー...たしか、ここらで二番目ぐらいに大きな組織だ。具体的にどんな急所だったのかは、まあ聞く必要もないか。麻薬、密造酒、人身売買、恐喝、殺人。なんでもありだ。
 なんにせよ、分かったことは一つだった。
 この盗賊の親分は、アトランドが新聞記者を殺し、その濡れ衣をこのトンチキ盗賊団に着せたのだと思っている。
 だから、犯罪者を捕まえてそれを警察に付き出すのは無理だと。
そう考えている。
 アリバイを証明できない、真犯人は付き出せない。
 なにもかも全て理解できているのに、周囲を壁にふさがれたかのように打つ手がない。
――袋小路か。
(追い詰められるってのはある意味負けだが、何もかもが終わったわけじゃあない。袋小路ってのはな――)
 のんびりとした、棒読みの様な声を思い出す。
 それは、店の近所の裏路地で日がなボンヤリしている男の言葉。
「袋小路ってのは、道が一つだけに絞られるってことなんだよな」
 それは、追い詰められたものにとって最後の好機。
 籠に追いこまれた獣に逃げるチャンスがあるとすれば、狩人が籠を開く瞬間だけだ。

(アリバイと40人の盗賊)

2005年09月16日(Fri)  青龍、白虎、朱雀、玄武、空陣、南斗、北斗、三台、玉如!...急急如律令!!
 安達祐実が結婚したんですってね。
 微妙に同年代なので、そこそこ気になったり。
 安達祐実の代表作と言えば、そう「ゴーストハンター早紀」 と「聖龍伝説」 です(おい)
 まあ、聖龍はともかく早紀の方はもう一度見たいかなあ。

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「つまりはアリバイがあると」
 アリバイと40人の盗賊、とどうでもいいことを考える少年。
「てか、元の事件がよくわかんないんだけど。ええと、コロシ?」
「へぃ、犯罪専門の新聞記者でした」
「犯罪専門ねぇ」
 相槌を打つデューに、
「へぃ、私達もずいぶん目をつけられていまして、その」
 と、
「あの記者、滅茶苦茶いけすかねえんすよ!」
「そうだ、俺らのやってないことも全部俺らのせいにして!」
「オレ、死んでしまえって思ってた。殺しはしねえけど、」
 一斉に起きあがって騒ぎ立てたのは、他の盗賊達だった。
 どうも話しを続けているうちに回復したようだ。
「黙れ、てめえら!」
ドゴン――と、床をぶち叩く音がした。
「死人を悪く言うな! それから、今、俺がこの方がたと話してるんだ。騒ぐんじゃねぇよ」
「そうよ」 反応したのは探偵だった。「これ以上キャラを増やさないでくださいよ。一作品に五人までと言う鉄の掟を知らないのですか」
「なんの掟だよ...」
 叔母に突っ込みを入れつつも、デューはつぶさに状況を整理する。
(全てを見るな。どうせ分からない。肝心なのは、“どうすれば解決するか”だ)
 それは、母の経営していた店に稀に来る刑事の言葉で、
「っと、そのアリバイてのは保安官や刑事に話して理解してもらえそうなもの?」
「...どうせ無理すよ。あいつらは、貧乏人の言葉なんか信じようともしないですし」
「そう言う感情論じゃなくて、客観的に証明できるかどうかなんだけど...」
 愚痴や偏見の有様を聞いてどうにかなる瞬間ではない。
 半ばイライラしつつも、根気よく聴取をする少年。
 叔母は叔母でロクな材料も揃わないのに推理に入っていて、役に立たない。
 二三話を聞く内に、デューはおぼろげながら事態の概要を掴み取る。

 まず、このへっぽこ盗賊達は今すぐにでも足を洗いたい。
 犯罪をしたのは事実なので、警察なり保安官に自首しようと思っている。

 それは良い、のだろう。
 いくら反省しようと過ぎた過ちは不問にならないが、重要なのは今のあり方と罪の精算だ。

 しかし、自首をしようとした段階で、盗賊達は自分たちに掛けられた罪が不当に重いことを知った。
 これは冗談じゃないぞと、盗賊達は一致団結したらしい。
 罪は償うが、他人の犯罪の分までは償いたくはない。

 まあ、これも解らないではない。
 本当に改心したいのかとも思うが。

 そこで盗賊達は、せめて自分たちに掛けられた冤罪の中でもっとも重い「新聞記者殺人事件」 の容疑だけでも晴らそうといろいろと調査をした。
 そいうことらしい。

「事件当時、オレらは東に遠征中でした。ですからありえないんすよ」
 まあ、そのアリバイもあり得ないのだが。
 そこそこ裏も取れそうな不在証明だが、これをお上の前で証言するのは難しいところだろう。
「よし」 デューは一つ頷いた。
「どうにもならないなぁ」
 そして首を傾げた。
「お願いしますよぉおお!!」

(アリバイと40人の盗賊)

2005年09月15日(Thu)  すげえよ、アキバ王。
なんだあれ。
実況板のスレ消費スピードが 1000〜1800res/min(分)とかアホみたいな数値に。

孫引き参考:
NHK総合の勢い: 17res/分 20:45〜21:00 [N]845
NHK教育の勢い: 10res/分 20:45〜21:00 NHK手話ニュース845
日本テレビの勢い: 5res/分 19:00〜20:54 プロ野球〜東京ドーム「巨人×阪神」
TBSテレビの勢い: 25res/分 19:54〜20:54 うたばん
フジテレビの勢い: 44res/分 19:57〜20:54 奇跡体験!アンビリバボー
テレビ朝日の勢い: 3res/分 20:00〜20:54 新・科捜研の女[終]
テレビ東京の勢い: 1869res/分 19:30〜20:54 TVチャンピオン
テレ東だけあって、アニメ使い放題だったのが印象的だったかなあ。
でもメイド喫茶の方が多かったなあ。
てか、プリクラ千円とか高ーー!
「プリクラだけでも400円ですねでメイドさんがつけばこんなもんです」
と、爽やかにのたまっていた店員さんが印象的でした。

あと、誰か知らないけれど金のロックマンを売るなーーー!w

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「なるほどつまり、貧乏からついカッとなって盗賊団やってみたモノの、ロクに成功もせずに失敗ばかりで、借金はかさむ一方で、そんなだから、他のみんなの士気もがたがただしで、罪の意識とかも目覚めてしまうしで、いい加減足を洗いたいんだけど、何故か重犯罪人としてお尋ね者になっていてのっぴきならないと」
「別に要約して説明してくれなくてもいいんだが、その通りだ畜生」
「冤罪ねえ」 帰ろうかな、とデューはぼんやり考える。
 いまさらだが、ココは街はずれの廃宿である。
 別に街に根を下ろしても良さそうなのだが、街には街でマフィアが縄張りを貼っているので新米潰れかけの盗賊団が根を下ろすには危険すぎるらしい。
...借金もしているらしいし。
 ウェスタン・ブーツで軋む床板を鳴らし、おばさんが乗ったら抜けそうだなとか考える。
(要するに、会社をクビになってのっぴきならないサラリーマン達がスプーンで銀行強盗とかコメディしてたら、いつのまにか本物の犯罪者の濡れ衣を掛けられたと)
 三文小説にでもありそうな話だ。
「で、おっちゃんは具体的に何の罪を押し着せられてるんだ?」
「殺人です。しかし、それはありえないのです。
盗賊団結成時、我々は人殺しと貧しいモノから奪うことだけは止めようと心に誓ったのですから」
「...いや他の人間からも盗めないくせに、そんな御法度作られても」
「わかりました」
 とつぜん、今の今まで黙り込んでいた女性が、一つ頷いた。
「事件の謎は八割方解けました」
「まだ八割も事件の概要を教えてもらってない気がするんだけど」
「ふふふ、解っちゃいましたですよぉ」
「口調、口調がヘンだから」
 叔母は、どうにも推理となると思考が幼児退行する性質がある。
 彼女は、パイプを胸でごしごし擦って内ポケットに収めて、ディアストーカーを目深に被った。
 そして真剣な顔で向き直り、
「デュー、今すぐ事件の関係者をここに集めてもらえますか」
「いや無理だから」
 そもそも容疑者すら判明していない。
「犯人はこの中に...」
「いたらこの話、終わると思うんだけど」
「冤罪なんです、後生ですから信じてくだせえ!!」
「むぅ。私の推理を否定するの? しちゃうの??」
 どこかくじけた様子で、肩を落とす。
「おばさんのは推してるだけで理が無いじゃないか」
 あいかわらずだな、この人は。
と思いつつ、デューは大きく息をつく。

(アリバイと40人の盗賊)

2005年09月14日(Wed)  思い出に負けた。
 アドベントチルドレン初回限定版購入しました。
 初回限定版は、映像特典あると思ってたんだけどパッケだけ違うらしい。
 限定版以外にも特典版と言うのがあって、こっちはフィギュアにTシャツにインターナショナルにアニメOVAがついていたらしい。
 ネットで見たインターナショナルの専用スタンドはべらぼうにカッコよかったなあ。
 もち、値段もべらぼうですが、フィギュアやアニメの完成度は十二分に高いらしく、今思うとあっちを注文しても良かったかもなあと後悔していたり。
 今買うとすげえプレミアついてそう... 

(以下、微ネタバレ)






 クラウドの剣すげーーーー!!
 最大六本まで分離可能な大剣って、破邪百獣剣も真っ青だよ!
 アレかっこいい、アレ欲しい。て言うかあれだけでDVDの元が取れたようなもんだよ。

 いやあ、おもしろかったです。
 アクションばりばり。八割ぐらいアクションでもー目が回る回る。
 個人的には召喚獣やらマテリアやらリミットブレイクやら、FFの大げさな戦闘スケールをほぼ忠実に再現できているあたりが物凄く嬉しかった。
 何とは言いませんがアニメになったとたんいきなりエフェクトやら効果がショボくなるゲームって良くありますし、ああいうのって作り手側が思ってる以上にがっくり来るんですよね。

 ジェノバってなんだっけって思いながら見てましたが、そういうことはどうでもいい。とにかく懐かしいやらカッコイイやら。
 ストーリーはほとんど覚えてないけどそんなことどうでも良いぐらいに迫力満点で見応えがありましたさ。
 と言うか、ストーリーは基本外伝(あるいはAFTER) 的な作品だし、そんなことより主人公ズのその後やフルCGのアクションを素直に楽しむべき。
 正直字幕追っててもストーリー難しかった。

 にしても、ティファはじめ女性陣はめっちゃ可愛かったなあ。
 ユフィの船酔いに思わず笑みがこぼれたり。
 マリンだけ微妙だったかな。
 ティファの格闘もクオリティ高くてよかったです。かなり無重力でぎゅいんぎゅいん回っていましたね〜。ミラ・ジョヴォヴィッチや水野真紀でもああは行くまい。
 ヴィンも変身こそしなかったけど、ミュータントっぷりは遺憾なく発揮していました。携帯持ってないことをアピールする辺りが微笑ましい。
 タークスもまあ、そこそこ出番あったかなあ。
 お笑い担当だったけどw

(おまけ)
 CMも入っていました。
 内容は、ACのトレーラーと、近日発売のヴィンセントのアクションゲームと、現在配信中のタークスの携帯ゲーム、それから...あ、アニメ?
 どうやら特別版についていた、ザックスイベントをまとめたOVA 「LAST ORDER FINAL FANTASY VII」のダイジェストらしいです。
 ついでに今後発売されるザックスメインのゲーム「クライシス・コア」 のCMも兼ねているようで。
 もしかしたらアニメは究極限定版(約二万円)でしか見られないのかもしれない。

 ヴィンセントのゲーム(ダージュ オブ ケルベロス) にユフィが出てました。 あ、衣装ちょっと違う。
 ゲームの方ではリーブさんがもう少し活躍するそうで、その辺も見所かなあ。
 他のキャラも出てくるようです。クラウドだけ映ってなかったのが気になります。スピンオフによくある本編主人公は顔見せ無しだったりして。

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「ば、馬鹿な」
 盗賊団の親分はうつ伏せで土を舐めながら、うめく。
「な、なぜ40人もいた盗賊団がこんなガキ一人に壊滅するんだ!」
「ほんと。なんでだろ...」
 少年は周囲――残らず倒れふす盗賊達を眺め、ぼやく。
「紙幅が少ないからでしょう。行間を読みなさい」
「7000文字ぐらいありそうだよ、おばさん」
 おばさんと呼ばれた女性は、拳をデューの頭上に落して、ディアストーカーをかぶりなおした。
 縄で擦った手首を軽く撫で、コートの懐から古ぼけたパイプを取り出す。
「全く、ようやく落ち着いたわ」
「煙草なんてとうに切らしちゃったくせに」
 悪態をつきながらもデューは頭を抑えて涙ぐんでいた。頭が痛いのもあったが、それ以上に拳骨を打ちおろすという動作に絶対的な身長の差を浮き彫りにされているのが痛かった。
「ああ、デュー」
 そんな少年のコンプレックスもつゆ知らず、妙齢の女性は大仰に嘆く。
「お金を切らしたのは誰のせいでしょう。
先日アレほど苦労してアジトを見つけ追いこんだ賞金首を、あやまってアラスカ行きの運搬物に詰め込んでしまったのはどこのどなたでしょう」
「そ、その話はいいじゃんか。“しふく”が足りないんだろ?」
「...と、そうでした。そこのあなた。見たところ開拓移民の開拓を終えて職を失って、結果盗賊になってしまっていた一団ズ」
「な、なんだ」
「正解なのかよ」 ぼやく少年。
「その通り立ちくしょう! 悪かったな」
「悪いには悪いですが、本題は別です。
 いくらそこな間抜けな少年がカモラと喧嘩して目立ったとはいえ、それで保護者である私が盗賊団にさらわれる理由にはなりません」
 元々喋る気力すらなさそうな男は、それで言葉を失った。
 叔母さんは、ディアストーカーを被りなおして、不適に笑う。
「良いでしょう。縛られてもないのでだんだん考えるのに飽きてきました。
あなたが足を洗うというのなら、非礼は目を瞑り、とっとと事件を解決して差し上げましょう」
「おばさん!?」
「いいのか、お...」
「私はまだ二十代ですっ」

(アリバイと40人の盗賊)

2005年09月13日(Tue)  今週の購入物
「男爵校長」購入。
もえよんの4コマはこれで最初で最後かもしれないなあ、としみじみ。
男爵校長は廃刊したもえよんの生き残り組の一角。
まんま、萌え四コマ雑誌に連載されていた4コマですが、4コマとしてもしっかりオチがついていて面白いです。
というか、4コマとして面白くないと買わないんですが。

何と言うか絶妙の間の取り方、全コマボケっぱなし、ありえないオチ(と校長)等、ツボな要素が多くて素敵。
よく分からんがキレがある、そんな四コマ(どんなん)
青先生単体のネタが一番好きかなあ。

青井「今日はパン工場見学です!! みんな行儀よくするように!! パン工場を甘く見ると 思わぬ痛手をこうむるぞ!!」
アリカ「フランスパンで殴られるに違いない!」
青井「いや、それはないだろうフランスじゃあるまいし!!」

この手の多段ボケばっかりなのが男爵校長の味。

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 砂と埃にまみれ、金髪はもはやただの黄髪になりつつあった。
 頭頂から微妙にずれたディアストーカーの位置が気になるが、手が届かない。
 つくづくやるせないとは、このことだろうか。

「...街入っていきなり拉致されるとは思わなかったわ」
「ふ〜ん。おばさんでもそう言うことあるんだ」
 返ってきたのは少年の声。そろそろ声変わりするかしないかと言うぐらいの中途な高さのよく通る声。
 彼女は、目を閉じて嘆息する。
 何かを呪うかのように、とはいえ何をも恨まぬようにと。
「デュー、聞きなさいデュー。あなたには三つ言っておくことがあります。
 まず、私はおばさんではありません。
 次に、拉致されることを想定していなかったとは言っていません。
 最後に、私がこうして地元でもお尋ね者の盗賊団に捕えられたのは、あなたが見境も無しに地元のカモラと喧嘩をしたからです」
 ひと言ひと言、噛んで含めるように説きふせる妙齢の女性。
 デューと呼ばれた黒髪にネクタイジーンズ姿の少年はひとしきり考えた後、
「30歳はおばさんじゃん」
「よりにもよってそこにだけ反応しない! それに私はまだ20代です!」
 自称二十代の女性は怒る。
 後ろ手にぐるぐる巻きにされたままなので眉だけをつり上げて。
 対して黒髪の少年は、肩をすくませ、
「それにカモラじゃなくてマフィアだし。言葉はちゃんと使おうぜ」
「どっちでも一緒でしょうに」
「全然一緒じゃないことない。新しい言葉を認めないようになるのは、歳を食った証拠だぜ、おばちゃん」
 デューの悪たれ口に妙齢の女性は目眩を起こしたかのように首を振り、
「ああ、デュー」 嘆く。「どうして、こんなに小憎らしく育ってしまったのでしょう。
 きっと私以外の“教師たち”全員の責任でしょうね。そうに違いありません。
 それとも“あの両親”のどちらかの血がそうさせているのでしょうか。
 わたしは、あなたの叔母として悲しくあります。情けなく思います」
「自分がおばさんって言うのはいいのかよ...」
 舞台役者もかくやの大仰な台詞に、バツが悪そうに頬を掻くデュー。
 それは自己の不徳で家族や教師を引き合いに出てきてしまった居心地の悪さで、
同じ言葉を他の誰かが言えば少年は烈火のごとく怒っただろうが、
 彼女のぼやく分にはデューはめっぽう参ってしまうのだ。
 彼女もまた、デューの家族で教師だから。
「けど、いたずらと言葉遣いに掛けては、ほとんどおばさん譲りだと思うんだけどなあ」
「嘘を言わない。私があなたに与えたのはもっと崇高なモノです」
「崇高なモノ?」 不信気に、少年。
「ええ、」 自信満々にぐるぐる巻きの彼女。
「じゃあ、その崇高なモノは...」
 ぐるり、と少年は周囲を見回した。
 そこには、先ほどから無言でデューとその叔母を二重にも三重にも囲みナイフや銃をを突き出している、
――盗賊団の面々。
「この状況をなんとかできちゃったりするのかな」
 冷や汗を垂らすデューに、
「もちろん」
 彼女は欠片も疑わずにそう答えた。

(「アリバイと40人の盗賊」)


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