キジバト(ハト目ハト科)雉鳩
Streptopelia(ストゥレプトペリア キジバト属-ギリシャ語でstreptos首飾りのperisteraハト)
orientalis(オリエンタリス 東方に関係のある)
Oriental(東洋の) Turtle(ウミガメ-ベッコウ色をした) Dove(ハト類)     L33cm

ロシア南東部・インド・モンゴル・中国・台湾・朝鮮半島・東南アジアに分布する。
日本では、留鳥または漂鳥として本州以南に分布し、平地から山地の林に生息し、市街地の公園や庭にもいる。北海道では夏鳥。枝の上に皿型の粗雑な巣をつくり、春から秋までに数回繁殖する。繁殖期には翼を激しく羽ばたいて上昇し、両翼を水平に保って滑翔して降りるディスプレイ・フライトを行う。
日本では九州以北に生息する亜種キジバトS.o.orientalis の他に、亜種リュウキュウキジバトS.o.stimpsoniが南西諸島に繁殖している。
【声】「デデー、ポーポー」と繰り返し鳴く。飛び立つときなどに「ブゥ」と聞こえる声をよく出す。

【名の由来】色彩がキジの羽に似ていることから“キジバト”。“ハト”は奈良時代からその名で知られており、その語源は「羽音のハタハタ」からきたとの説がある。
○平安時代から「ヤマバト」の名で知られ、室町時代から「ツチクレバト」とも呼ばれるようになる(アオバトも「ヤマバト」と呼ばれていた)。江戸時代初期から「キジバト」と呼ばれるようになった。異名;「アヅキバト」「トシヨリコイ」「ノバト」「フタコエドリ」「マバト」「ヨソウジバト」

◇馬見丘陵公園では、留鳥として周年棲息し繁殖している。

2008/07/23  馬見   左;♀ 右;♂ 番(雌雄同色あが並ぶと♀♂の羽色が微妙に異なる)
♂のほうが大きく、肩羽・雨覆・三列風切の赤褐色の羽縁が太く色が濃い傾向がある(単独でいるときは雌雄の識別は難しい)
雌雄同色。
成鳥;頭部から背と、胸からの体下面は灰褐色で、やや紫味を帯びる。側頸には紺色と青灰色の縞模様がある。肩羽と翼の大部分は黒褐色で、初列・次列風切などを除き、茶色で太い羽縁がある。大・中雨覆は灰色味が強い。尾は黒褐色で、中央尾羽2枚を除き残りは先端が灰白色。嘴は黒く、足は赤紫色。虹彩は橙色で、眼の周りは皮膚が裸出して赤。繁殖期には大きく裸出する。
幼鳥;全体に灰色味に乏しく、頸輪がない。虹彩の色は赤味が淡い。
2010/10/03  奈良    ディスプレイ・フライト 2010/05/12  大阪   翼を広げて日光浴
(バタバタと羽ばたいて上昇し滑翔する-タカの飛翔に似る)

亜種リュウキュウキジバト  S.o.stimpsoni 
2009/03/19  西表島
翼長・尾長が短いことで亜種とされている。亜種キジバトに比し濃色で頭は淡い。