ヒヨドリ(スズメ目ヒヨドリ科)鵯
Hypsipetes(ヒュプシペテス ヒヨドリ属-ギリシャ語でypsilos高くpetpun飛ぶ)
amaurotis(アマウロティス amauroぼやけた(色))
Brown-eared(茶色の耳の) Bulbul(ヒヨドリ類)     L27.5cm

分布は日本周辺に限られ、国外の分布は朝鮮半島南部・台湾・フィリピン北部。
日本では、留鳥または漂鳥として全国に分布し繁殖するが、山地や北の地方のものは暖地へ大群で日中に移動する。低地から山地の林、市街地、農耕地などに棲み、庭や公園でも普通に見られる。深い波型をえがいて飛ぶ。もともとは広葉樹林で繁殖し市街地には冬期に姿を見せたが、今では周年市街地で見られる。
日本では九州以北から本州で繁殖する亜種ヒヨドリH.a.amaurotis 以外に7亜種が分布するが、南西諸島のもの以外は羽色の違いがあまり見られない。北のものより南のものほど羽色は濃く、黒っぽくなる。

【南西諸島の亜種】 【その他の亜種】
 亜種アマミヒヨドリH.a.ogawae 奄美大島  亜種ダイトウヒヨドリH.a.borodinonis 大東島諸島
 亜種リュウキュウヒヨドリH.a.pryeri 沖縄諸島  亜種ハシブトヒヨドリH.a.magnirostris 硫黄列島
 亜種イシガキヒヨドリH.a.stejnegeri 先島諸島  亜種オガサワラヒヨドリH.a.squameiceps 小笠原諸島
 亜種タイワンヒヨドリH.a.nagamichii 与那国島

【声】「ピーヨ、ピーヨ」「ピーッ、ピーッ」「ピーピョロピョロピ」などと大声で鳴く。

【名の由来】古名の“ヒエドリ”から“ヒヨドリ”に転じたもので、鳴き声から名付けられたという説が有力である。「稗を食べる鳥」で“ヒエドリ”の説もあるが、ヒヨドリは主に果実・昆虫などを食べヒエは食べないので無理がある。
○平安時代から「ヒエドリ」の名で知られ、室町時代から「ヒヨドリ」「ヒヨ」と呼ばれるようになった。異名;「ハナスヒ」

◇馬見丘陵公園では、留鳥として周年棲息し繁殖している。特に冬季は北から渡ってくる群れもあり多く見られる。

2007/10/30  馬見   亜種ヒヨドリ H.a.amaurotis (九州以北から本州に分布)
尾は長めで、体形はやや細身。雌雄同色。
成鳥;全体に灰褐色。頭部や喉、頸は青灰色味があり、他の部位より色が淡い。耳羽は茶色で、翼や尾は褐色。胸から腹は灰色で、細かい白斑が密にある。脇は橙褐色味を帯びる。下腹は白っぽく、下尾筒は軸斑が灰褐色で、白い羽縁がある。嘴は黒く、足は暗赤色。
2006/09/29  愛知  200羽ほどの群れで岬を渡るヒヨドリ 2009/10/10  愛知  秋の渡り;移動する群れ
北部のものは秋にこのように暖地に移動する

亜種オガサワラヒヨドリ
2012/07/12  小笠原-母島   頭部から背にかけて濃褐色で、日本の亜種の中で最も暗色

亜種タイワンヒヨドリ 亜種イシガキヒヨドリ
2010/03/29   与那国島 2009/03/19   西表島
亜種イシガキヒヨドリに比し大きな違いはないが、羽色はより濃いか? 九州から本州に生息する亜種ヒヨドリに比し、体下面全体が褐色。南西諸島の他の亜種も本亜種と大きな違いはない。

亜種アマミヒヨドリ 亜種リュウキュウヒヨドリ 
2010/04/18  奄美大島 2011/05/22  沖縄
亜種ヒヨドリに比し、体下面は褐色。個体差もあり南西諸島の他の亜種との識別は難しい。