ハクセキレイ(スズメ目セキレイ科)白鶺鴒
Motacilla(モタキッラ セキレイ属-ラテン語でセキレイ 絶えず動かす小さなものの意)
alba
(アルバ 白い)
Black-backed(背面が黒い) Wagtail(セキレイ類-尾を振るものの意)     L21cm

ユーラシアの殆どとアラスカ半島・グリーンランドで繁殖し、北方のものは冬季北アフリカ・アラビア半島・東南アジアに渡る。
日本では、留鳥または漂鳥。以前は北海道でのみ繁殖しその他の地方では冬鳥であったが、近年繁殖地の南限が南下し、西日本の一部でも普通に繁殖する。農耕地、海岸、河川など低地の水辺にいて地上を歩いて昆虫などをとる。非繁殖期には、橋の下、建物、樹上で、集団ねぐらをとる。地面に降りたときには腰を上下に振る。大きな波形を描いて飛ぶ。
ハクセキレイには多くの亜種があり、日本では日本で繁殖し普通に見られる亜種ハクセキレイM.a.lugens の他に、5亜種(ホオジロハクセキレイM.a.leucopsis・ネパールハクセキレイM.a.alboides・シベリアハクセキレイM.a.baicalensis・タイワンハクセキレイM.a.ocularis・メンガタハクセキレイM.a.personata)が観察されている。
【声】地鳴きは「チュチュン、チュチュン」(キセキレイに比し柔らかい声)。「ツツッ、ツツッ、ツィツィ」など複雑な声を出し囀る。

【名の由来】「顔の白いセキレイ」のこと。“セキレイ”は漢名
“鶺鴒”の音読みで「背筋がすらりと伸びて清伶な鳥」の意。
○セキレイ類は奈良時代から区別せず「ツツ」「マナハシラ」、平安時代から「トツギヲシ」「ニハタタキ」の名で知られ、室町時代から「セキレイ」と呼ばれるようになった。江戸中期には「ハクロセキレイ」「シロセキレイ」と区別して呼ぶ。異名;「ウスセキレイ」「ハジロセキレイ」「仏セキレイ」「ムナグロセキレイ」「ワタリセキレイ」

◇馬見丘陵公園では、主に冬に渡来していたが、近年夏に観察することも多くなってきている。親と一緒にいる巣立った幼鳥を観ることも多い。

2004/10/16  馬見  冬羽♂ (背などの上面は灰色になるが黒い羽毛が混在している) 
♂夏羽;頭頂から背、腰までと、前頸から胸が黒く、過眼線も黒い。翼は黒く、大・中雨覆、次列・三列風切外縁は白く、飛翔時は白い翼帯が目立つ。、尾は黒く、最外側尾白い。嘴と足は黒い。
♀夏羽;背、肩羽が灰色味が強いほかは♂に似る。
♂冬羽;背などの上面は灰色になり、♀夏羽に似る。
♀冬羽;頭頂から上面にかけて灰色になり、胸の黒色部も小さくなる。
第1回冬羽;眉斑や顔、喉が黄色味を帯びる。
幼鳥;
全体に灰色で、眉斑と耳羽が白い。
2004/04/10  奈良  夏羽♂  2009/04/27  大阪  夏羽♀
夏羽♂;頭頂から背・腰、前頸から胸は黒い。
夏羽♀;♂に似るが背・肩羽が灰色味が強い
2008/12/19   馬見   冬羽♀ 2004/10/16  馬見  第1回冬羽
冬羽では♂は背が灰色になり、
♀は頭頂から上面にかけて灰色になる
第1回冬羽では顔が淡い黄色の個体が多い
風切・初列雨覆は灰褐色(翼帯が出るものもいる)

亜種メンガタハクセキレイ 亜種タイワンハクセキレイ
2009/03/18  西表島 2010/03/26  与那国島
バイカル湖より西部のトルクメニスタン・ウズベキスタン・カザフスタンなどに分布 ロシア(中央シベリア高原以東のシベリア・極東地域)およびアラスカ西岸に分布
顎線と頬線の間の線は白くない。背は明白色で頭の黒色部との境界は明瞭。 夏羽は背からの上面が灰色で、胸の黒色は腮まで伸びている。嘴が細く短い

亜種ホオジロハクセキレイ
2009/03/18  西表島 2010/03/26  与那国島
中国大陸・朝鮮半島・台湾・日本(南西諸島・九州・本州西部)に分布。
額の白色部は広く、黒の過眼線は無く、顔から腮・喉が白い。頭上から背、腰、尾は黒い