傑作に挑む意欲作!リメイク映画大全
2008年01月23日 All_About オライカート昌子
邦画と洋画のリメイク作品には違う特徴があるって知っていましたか? 傑作リメイク作品には条件があるのです。
■邦画はリメイク全盛!? その意外な実情とは?
邦画はリメイク映画が全盛なのでしょうか? 中でもテレビドラマ/コミック作品の映画化人気は過熱気味のよう。2007年の興業ランキングが10位まで発表されましたが、テレビやコミックの映画化作品以外のものは、『恋空』と『武士の一分』のたった2作だけです。
テレビドラマのリメイク作品で、今まで一番ヒットした作品は、2003年の『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の173.5億円。歴代の興行収入でもジブリ作品の3作に続き4位と大健闘しています。それに続くのが、昨年公開の『HERO』の81億円です。
映画作品のリメイクはちょっと様子が違います。2006年の『日本沈没』が53.4億円を記録。他にはドラえもんのリメイク作がスマッシュヒットを記録したのみ。他の映画リメイク作は歴代ランキングに入っていません。
■再生できた? 『椿三十郎』のインパクトは?
冬の話題作のひとつ、黒澤明監督作品のリメイク映画『椿三十郎』が公開中です。黒澤明監督作品と同じ脚本・音楽・カメラワークを使い、忠実なリメイクを志したようですが、数字的には伸び悩み気味。
黒澤作品では、決闘シーンの血しぶきが、観客に強いインパクトを与えました。今の観客は血しぶきぐらいでは驚きません。それと肩を並べるような力強いシーンが足りなかったところに、課題があったのではないかと思います。
邦画のリメイク作では、2005年の『戦国自衛隊1549』と『妖怪大戦争』も歴代100位に入れず、平凡な記録に終わりました。邦画ファンは、テレビドラマやコミックファンより、リメイク作に点が辛いようですね。
黒澤作品のリメイクとしては、5月に『隠し砦の三悪人』が公開予定です。今までのリメイク作以上のヒットと人気を得るのか、楽しみに待ちたいところです。
次は、日本のリメイク作とは一味違うハリウッド的リメイク作の秘密についてです。
■リメイクの本場・ハリウッドでは大胆な改作で心を掴む
ハリウッド作品では、リメイク3度目の『アイ・アム・レジェンド』が爆発的なヒットを記録しました。リメイクというよりは、同一原作の映画化という色が強く、その時々の技術や世界観で作り方も大きく変わっているのが特徴です。
リメイクの成功作としては、2005年に『宇宙戦争』、『キングコング』、『チャーリーとチョコレート工場』があります。全て興行成績10位以内という快挙を達成。3作品とも、監督の特色が強くにじみ出た個性的な作品。リメイクというレッテルに力負けしなかったところに成功の理由があったのでは?
今年のサマームービーの超話題作に、バットマン・ビギンズの続編『ザ・ダークナイト(原題)』があります。ティム・バートン版で、ジャック・ニコルソンが演じたジョーカーを、新作で演じるのは急死してしまったヒース・レジャー。彼の遺作となるはずです。
リメイク作ですが、ストーリーも雰囲気も違うはず、クリストファー・ノーラン版の新シリーズ『バットマン』として、新しい映画表現が期待されます。
続編のようでいて続編ではなく、リメイクのようでいて中身が違うのが、ハリウッド。リメイクかどうかよりも、原作やキャラクターを重視し、誰が作り誰が演じるのかで、大きく変わるところに独特の面白さがあります。
■リメイク映画のインパクト作『ヘアスプレー』
ロングラン公開中の『ヘアスプレー』のオリジナルは、ピンクフラミンゴなどのカルト作品でも有名なジョン・ウォルターズ監督の1987年の作品です。ダンス青春映画として人気を集め、それがブロードウェイミュージカル作品として進化。そしてミュージカル映画として形を変えてスクリーンに戻ってきました。オリジナルのキュートなテイストに音楽とダンスが大幅に追加されています。
さらにジョン・トラボルタ、クリストファー・ウォーケン、ミシェル・ファイファー、クイーン・ラティファといった大スターの登場に加え、今後の映画業界を支えるジェームズ・マーツデン、ザック・エフロン、ニッキー・ブロンスキー、アマンダ・バインズといった新進スターをキャスティング。話題を集め大ヒットを記録しました。
リメイク作には、どこが進化してどのように形を変えたのか、元の作品と見比べる楽しさもあります。リメイクなのにオリジナリティにあふれた作品に出会うことも少なくありません。そんな作品は、リメイクであるなしに関わらず高い人気を集めるのではないでしょうか?