洋画に相次ぐ「復活・続編版」
ハリウッドに「ネタ」不足/手堅い興収狙うもジリ貧
FujiSankei Business i. 2007/6/19
米ハリウッド映画の「復活版」「続編版」が続々と公開され、映画業界はPR合戦に熱が入っています。29日公開のアクション映画「ダイ・ハード4・0」の場合、主役のブルース・ウイリスが12日に東京都新宿区の新宿パークタワーで来日会見、15日には大阪市中央区のYES NAMBA広場で映画の場面を再現したオブジェを使ったイベントなどを行いました。洋画の「復活版」「続編版」が今多いのはなぜでしょうか。
16年ぶりの米映画「ロッキー・ザ・ファイナル」(4月公開)や12年ぶりの「ダイ・ハード4.0」、「スパイダーマン3」(5月公開)、「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」(5月公開)など2007年は、人気作品の「復活版」「続編版」がめじろ押しです。
「ダイ・ハード」シリーズは、第1作「ダイ・ハード」(89年公開、興行収入18億円)、第2作「ダイ・ハード2」(90年公開、51億円)、第3作「ダイ・ハード3」(95年公開、72億円)と続編が製作されるごとに興行収入が増えており、配給元の20世紀フォックス映画(東京都港区)は「最新作で80億円突破を目指す」と力が入っています。
このような「復活版」「続編版」が続く裏には、ハリウッドが企画枯渇化に悩まされている現状があります。
ここ数年、ハリウッドでアジア映画が見直され、香港映画「インファナル・アフェア」を元に、「ディパーテッド」など「リメーク版」も多く製作されていますが、やはり顕著なのは以前ヒットした作品の「復活版」「続編版」です。
第1作でつかんだ観客を劇場に戻すとともに、新たな世代を呼び込めるからです。ブルース・ウイリスも会見で、「新作は、親子で劇場に来てほしい」とメッセージを送るほどです。
ただ、ハリウッドのお家事情が斬新な新企画を待ち望む観客を、次第にスクリーンから遠ざけているのも事実です。実際、日本では洋画の興行収入が下げ止まりません。
日本映画製作者連盟によると、洋画の興行収入は、この5年間で485億円も減り、06年は1000億円を割り込み、949億円にとどまりました。「一部の作品以外、観客が入らなくなった」「業績の足を引っ張る」など、配給会社から良い話が聞かれなくなってきました。
「復活版」「続編版」が悪いわけではありません。ただ、新企画を生み、ヒットさせる環境を整えなければ、洋画離れに歯止めはかからないでしょう。
(堀口葉子)