1. 修士論文
・「日本の作業組織に関する社会学的研究の展開」(単著)1990年3月、関西学院大学社会学部
 企業の作業組織のあり方を説明するため、これまで多くの社会学的仮説が提示されてきた。本稿では、企業の作業組織をめぐって提示されてきた社会学的仮説をマクロ−ミクロの軸から整理し直し、マクロとミクロをつなぐ組織変動論への新たな視点を導く準備作業を行った。



2. 編著
・『「観光のまなざし」の転回』(堀野正人との共編)2004年4月、春風社
 ジョン・アーリ『観光のまなざし』が発刊されてから、すでに10年以上が経過している。「まなざし」という概念を用いて、観光現象に迫ろうとしたこの本は、観光社会学においてひとつの画期をなす。しかし、我々はその後、アーリの理論なり分析手法なりを、どれだけ咀嚼し、乗り越えることができたであろうか。本書はアーリの「観光のまなざし」を展開=転回させていこうとする試みである。



3. 学術論文
「作業組織における小集団活動に内在するメカニズムの役割――ある製鋼会社の事例研究を中心に」(単著)1994年3月、『関西学院大学社会学部紀要』第69号、pp.109-119
 本稿は、日新製鋼株式会社周南製鋼所を事例とし、二度にわたり従業員に数日間インタビューを重ねたものである。とくにQC活動に注目し、従業員による小集団活動に内在する意味付与のメカニズムを明らかにした。結論として、小集団活動での相互作用の中で職場の人間関係・作業そのもの・会社組織全体に対する意味付与がなされ、結果、それが作業能率向上にも結びつき得ると結んでいる。

「作業組織の小集団活動への『意味世界からのアプローチ』――文献レビューによる概念枠組みについての覚え書」(単著)1994年10月、『関西学院大学社会学部紀要』第71号、pp.135-142
 本稿は、組織全体の目標や価値がいかにして実現・維持されるのかについて、成員同士の相互作用という社会過程論的な視点から考察していくための概念枠組みを理論的に提示したものである。その際、成員の相互作用に内在する意味付与のメカニズムに注目し、このメカニズムが人間関係・作業・組織に対して持つ成員(個)の「状況の定義」を変更し、コミットメントを介し組織(全体)の目標や価値に結びつくと主張している。

・「石けん運動における諸組織団体に関する考察――それぞれの社会的世界、それぞれの石けん運動」(単著)1995年7月、『奈良県立商科大学研究季報』第6巻第1号、pp.59-66
 滋賀県琵琶湖における水環境問題をめぐっては、地域に根づいた多くの組織団体が石けん運動を展開してきた。本稿では、こうした石けん運動について考察している。その際、各組織団体が水環境問題をめぐり多様な「状況の定義」を行なっており、そのため運動のあり方も相互に異なり、結果、同じ地域の中でさえ多様で非対称的な社会的世界が構築されていることを数度にわたる聞き取り調査により明らかにした。

・「社会的リアリティとしての『理解』と『誤解』――いかにして人はコミュニケーションにおいて『理解/誤解』するのか」(単著)1996年7月、『奈良県立商科大学研究季報』第7巻第1号、pp.21-31
 我々はいかにしてコミュニケーションにおいて人を「理解/誤解」しているのか。この問いは、異なる文化・地域・民族間でいかにコミュニケーションを展開していくのかを考えることへ繋がる。本稿は、この問いをエスノメソドロジーの概念を援用しつつ考察した。結論として、我々は伝わるがゆえに相手を理解するのではなく、理解している感覚を社会的に構築するがゆえに相手を理解するセルフ・リフレクシブな構造を指摘している。

・「『観光地に対する印象』の形成と効果――奈良の調査から」(単著)1996年12月、『奈良県立商科大学研究季報』第7巻第3号、pp.11-21
 ツーリストたちの観光行動を考えていく上で、観光地の印象は重要なものとなる。では、観光地の印象とはいかなる要因によって説明しうるのだろうか。これについて本稿では奈良という地域を事例としつつ質問紙調査のデータを統計的に分析しながら、年齢・性別・日常の居住地(観光地までの距離)といったツーリストの基本的属性に焦点を当て考察した。また観光地の印象がリピーターを生む重要な要因となることも指摘した。

・「観光メディアのデータベース作成方法に関するノート――観光メディアの言説分析に向けて」(単著)1997年7月、『奈良県立商科大学研究季報』第8巻第1号、pp.45-55
 メディアによる地域イメージは、観光を成立させるうえで重要な要因となる。それゆえ観光情報誌、テレビ、映画等で観光地がどのようにイメージされているのかを示すデータを蓄積していくことは、観光研究において大切な仕事となる。そこで本稿では、メディアのうち観光情報誌をとりあげ、その中で地域イメージがどのようなキャッチコピーで語られているのかをデータベース化する方法を模索した。

・「阪神大震災におけるマスメディアの役割」(単著)1998年2月、『奈良県立商科大学研究季報』第8巻第3号、pp.39-75
 本稿では、とくに新聞記事に注目し、その記事をデータ化し内容分析を行なうことにより、阪神・淡路大震災においてマスメディアが果たすべき役割について検討した。

・「〈被災者〉というカテゴリーをめぐるマスメディアの『物語』構造」(単著)1999年2月、岩崎信彦他編『阪神・淡路大震災の社会学 第1巻 被災と救援の社会学』(昭和堂)、pp.159-169
 本稿では、とくに新聞記事に注目し、その記事をデータ化し内容分析を行なうことにより、阪神・淡路大震災においてマスメディアが果たすべき役割について検討した。その結果、メディアは震災を経験した人びとを「被災者」としてカテゴリー化し、「希望をいだき、試練をのりこえるべき存在」として常にステレオタイプ化していることを明らかにし、多様な物語形式に沿った語りこそが必要だと主張した。

・「ライフスタイルの変容に対応するQA体制(1)――物質主義から脱物質主義へ」(共著)1999年3月、『品質管理』第50巻第3号、pp.54-61
 本稿は、戦後から現在までの商品の変遷をたどり、時代の特徴を刻印づけている価値観や消費スタイルの変容を考察したものである。その結果、R.イングルハートの用語を援用しながら、価値観や消費スタイルが、1)物質主義的価値観、2)機能(嗜好)享受的価値観、3)脱物質主義的価値観に移行していると主張した。

・「ライフスタイルの変容に対応するQA体制(2)――人生の豊かさを創出する品質づくり」(共著)1999年4月、『品質管理』第50巻第4号、pp.60-67
 本稿は、物質主義的価値観から脱物質主義的価値観へ変容する時代において、商品づくりや品質保証体制はいかにあるべきかを模索したものである。脱物質主義的価値観が生まれてくる時代においては、商品を通して心の満足感、存在意義、意味を顧客に感じさせる品質保証体制こそが望まれているのであり、そのためには従業員の価値観や意味を最大限に発揮させる組織が必要だと指摘している。

・「ライフスタイルの実践としての観光経験」(単著)2000年12月、『日本観光研究学会全国大会・研究発表論文集』第15巻、pp.177-180
 1970年代以降、脱近代社会への移行に歩調をあわせるかたちで、人々のライフスタイルも少しずつ変容している。では観光経験はライフスタイルの実践として、脱近代的なあり方をみちびきだす上でいかなる影響を与えるのだろうか。これついて本稿は、因子分析や回帰分析等の統計手法を用い質問紙調査のデータを分析し考察した。その上で、遊びの要素が新たなライフスタイルを生みだす上で重要となることを明らかにした。

・「観光という『イメージの織物』――奈良を事例とした考察」(単著)2001年6月、『社会学評論』第52巻第1号、pp.133-146
 観光メディアを通じ、地域イメージはたえず再生産されつづけている。それ故こうした地域イメージの再生産に関する分析は、観光を考察する上で不可欠のものとなる。本稿は奈良を事例とし、内容分析・質問紙調査・インタビューの方法を組み合わせ、地域イメージを再生産するうえでメディアが重要な役割を果たしていることを指摘した。さらにツーリストがメディアによる地域イメージを主体的に読み解いている姿を浮き彫りにした。

・「観光社会学の新たな地平をもとめて」(単著)2002年2月、『奈良県立大学研究季報』第12巻第2・3合併号、pp.29-37
 本稿では、観光のオーセンティシティをめぐる多様な社会学理論を検討した後、今後進むべき一つの方向性として「知覚の現象学としての観光空間論」を志向できると結論づけた。それは、ツーリストたちの知覚と観光空間がメディアを媒介に相互的な含みあいの関係にあることを指摘するものである。

・「『奈良に対する期待感』をめぐる分析――これからの奈良観光のかたち」(単著)2002年7月、『奈良県立大学研究季報』第13巻第1号、pp.1-10
 奈良という地域をデザインしていくためには、ステレオタイプ化された地域表象を解き放ち、奈良の将来像をもう一度根底から模索する必要がある。本稿は、こうした作業を行なうための準備として、1997年から1998年にかけて毎月実施された、7959名のツーリストを対象とした調査データをもとに「これからの奈良観光のかたち」を浮き彫りにしようとした。

・「神戸における『風景の政治学』」(単著)2003年5月、『アジア遊学』(勉誠社)第51号、pp.68-79
 本稿では神戸の観光空間を紹介した後、観光情報誌で神戸がどのように表象されているのかを検討している。次に、神戸の観光空間がいつごろから形成され、「ミナト神戸」はいかに生成してきたのかを考察している。結論として「風景の政治学」の重要性を述べ、神戸におけるアジアの一側面が観光の対象から排除されていることを指摘した。

・「観光のオーセンティシティをめぐる社会学理論の展開」(単著)2003年6月、山上徹・堀野正人編著『現代観光へのアプローチ』(白桃書房)、pp.197-210
 これまで観光のオーセンティシティをめぐって、多様な社会学理論が展開されてきた。そこで本稿では、こうした社会学理論の展開を概観し、その問題群を整理し直すことで、観光社会学が今後進むべき新たな地平を明確にしようと試みた。結論として、観光研究の構築主義的立場をより一歩推し進めていくことで、オーセンティシティの問題を超える新たな問いを提起できると指摘した。

・「メディアを媒介として構築される観光の風景」(単著)2003年12月、『奈良県立大学研究季報』第14巻第2・3合併号、pp.149-155
 メディアは空間を一体どのように表象するのか、そして、メディアを媒介として構築された観光地というテクストを人びとがどのように「解読している」のか(あるいは「解読させられている」のか)、観光地をめぐってはたらく、こういった力学を解明する作業を今後、精緻に行っていくべきである。その準備作業として、本稿は韓国のテレビドラマとそのロケ地を事例としながらメディアと観光のかかわりを分析した。

・「脱近代的なライフスタイルをつくる観光経験」(単著)2004年3月、『奈良県立大学研究季報』第14巻第4号、pp.1-9
 1970年代以降、現代社会のありようは近代的なものから脱近代的なものへと静かにではあるが移行しつつある。こうした脱近代社会への移行に歩調をあわせるかたちで、人びともそのライフスタイルのあり方を少しずつ変容させてきている。本稿では、まずこうした現代におけるライフスタイルのあり方について分析した後に、観光経験の因子を構成する。その上で、観光経験の諸因子が近代的および脱近代的なライフスタイルとどのように結びつき、そのあり方にいかなる影響をあたえているのかを解明した。



4. 翻訳
・「観光経験の現象学」(単訳)1998年7月、『奈良県立商科大学研究季報』第9巻第1号、pp.39-58
 本稿は、Cohen, E., 1979, "A Phenomenology of Tourist Experiences," Sociology 13(2). pp.179-201の全訳である。本稿において原著者は、旅でツーリストたちが得る経験が一義的ではないことを明瞭にし、「気晴らし」「レクリエーション」「経験」「体験」「実存」の5つのモードに分類する。こうした分類を行なうことで、観光という行為がオーセンティックなものか否かといった二者択一的な議論を回避し得ている。

・『アメリカンライフにおける同化理論の諸相――人種・宗教および出身国の役割』(共訳)2000年11月、晃洋書房
 本書は、Gordon, Milton M., 1964, Assimilation in American Life. New York: Oxford University Press.の全訳である。本書は、社会学的な視点からアメリカ合衆国におけるエスニシティ(民族性)の問題にアプローチしたもので、エスニック集団間の関係論−社会構造論−に焦点を置いている。第4章(30頁)と第6章(28頁)を担当。(全頁数280頁。監訳者:倉田和四生、山本剛郎)

・「演出されたオーセンティシティ――観光状況における社会空間の編成」(単訳)2001年1月、『奈良県立商科大学研究季報』第11巻第3号、pp.93-107
 本稿は、MacCannell, D., 1973, "Staged Authenticity: Arrangements of Social Space in Tourist Settings," American Journal of Sociology 79(3). pp.589-603を訳出したものである。ここにおいて原著者は、E.ゴフマンによって提示された「表舞台」と「舞台裏」という社会学的概念を軸心としながら、「表舞台」と「舞台裏」が交差しねじれた空間として観光地を描写している。

・「オーセンティックな複製としてのアブラハム・リンカーン――ポストモダニズム批判」(単訳)2001年10月、『奈良県立大学研究季報』第12巻第2号、pp.103-129
 本稿は、Bruner, E.M., 1994, "Abraham Lincoln as Authentic Reproduction: A Critic of Postmodernism," American Anthropologist, 96(2): pp.397-415の全訳である。本稿で原著者はフィールドワークの手法を用いつつ、イリノイ州にあるニュー・セイラムという観光地を考察しており、観光地という地域がツーリストや現地スタッフ等から意味を付与されながら、つねに生成し続けていることを明らかにしている。

・「ツーリズム、創造性、オーセンティシティ」(単訳)2002年12月、『奈良県立大学研究季報』第13巻第3号、pp.13-18
 本稿は、Bruner, E.M., 1989, "Tourism, Creativity, and Authenticity," Studies in Symbolic Interaction, 10: pp.109-114の全訳である。本稿において原著者は、「意味」を生成するプロセスに注目しながら、観光のオーセンティシティが存在するものではなく、構築されるものであることを明らかにしている。

・『近代化と脱近代化(仮題)』(共訳)近刊、木鐸社
 本書は、Inglehart, R., 1997, Modernization and Postmodernization. Princeton: Princeton University Press.の全訳である。本書は、世界価値観調査のデータを用いながら、文化的・経済的・政治的変動の方向性について論じたものである。第11章を担当。(監修者:三宅一郎、真鍋一史)



5. 書評論文
「アダム・ロバーツ(Adam Roberts)著『フレドリック・ジェイムソン(Fredric Jameson)』を読む」(単著)2003年7月、『奈良県立大学研究季報』第14巻第1号、pp.35-38
 フレドリック・ジェイムソンは現代アメリカを代表する文化批評家の一人である。本稿は、ジェイムソンの全体像を描いたアダム・ロバーツ著『フレドリック・ジェイムソン』に関する書評論文である。



6. 事典項目執筆
・『地域創造用語辞典――地域創造に向けてのコミュニケーション・ツール』(共著)2001年4月、沿岸域環境研究所
 地域創造とは、地域が内包すべき機能や社会基盤を地域住民や関係者たちが主体的に充足・創造していく活動・行為の総称を言うが、本書は、この地域創造に関わる用語のうち重要と思われる134語を奈良県立大学地域創造研究会用語事典編集委員会が選択した。(編集委員、「擬似イベント」、「観光経験」、「オーセンティシティ」、「シカゴ学派」、「生活環境主義」を担当)

・『地域創造へのアプローチ』(共著)2003年7月、IBCコーポレーション
 本書は、地域創造のあり方に関する理論的・実践的な側面について、できるだけ広範な視点から取り扱ったものである。本書において一大学機関にとどまらず、広範囲な地域創造の関係者が執筆に関わることになった。(監修者:神木哲男、紙野桂人、中瀬勲)(編集委員、編集事務局、「社会学からのアプローチ」、「環境をめぐる住民運動――琵琶湖の石けん運動」、「観光の表舞台と舞台裏」、「知覚される地域空間」、「メディアによる地域イメージの創出」、「地域調査法」を担当)



7. 調査報告書
・「石けん運動にかんするネットワーク分析」(単著)1994年3月、社会意識論研究会『琵琶湖石けん運動に関する社会学的研究』((仮称)琵琶湖博物館解説準備室委託研究報告書:研究番号93-26)、pp.38-47
 滋賀県琵琶湖における水環境問題をめぐっては、地域に根づいた多くの組織団体が石けん運動を展開してきた。本章では、各組織団体が水環境問題をめぐり多様な「状況の定義」を行なっており、そのため運動のあり方も相互に異なり、結果、同じ地域の中でさえ多様で非対称的な社会的世界が構築されていることを数度にわたる聞き取り調査により明らかにした。(研究代表者:三浦耕吉郎)

・「クロス分析による観光行動の考察――観光イメージを中心として」(単著)1996年3月、奈良県立商科大学観光研究グループ『平成7年度 共同研究調査報告書・奈良観光の実態分析』、pp.18-30
 本章では、観光が成り立つ上で必要な要素を観光資源、交通機関、宿泊施設、飲食・土産店、観光情報に分類し、それぞれの印象がどのような変数によって説明しうるのかを質問紙調査のデータから統計的に明らかにしている。(研究代表者:三島康雄)

・「記述分析」(単著)1997年3月、『第16回商工会議所青年部全国大会・アンケート調査結果報告書――観光地発展の魅力と発展の可能性を探る』、pp.19-26
 本章では、「奈良に対する期待感」をたずねている質問諸項目について、その回答の分布の型を通して、奈良観光に対する人びとの感じ方を捉えようとしたものである。その結果、人びとの「理想」と奈良観光の「現実」との差異から期待感の%を捉えるべきであり、そこから奈良観光の目指すべき理想の形が見えてくると結論づけている。(研究代表者:三島康雄)

・「条件分析」(共著)1997年3月、『第16回商工会議所青年部全国大会・アンケート調査結果報告書――観光地発展の魅力と発展の可能性を探る』、pp.27-34(伊東眞一、伊藤忠通との共著)
 本章では、「奈良に対する期待感」の質問諸項目をめぐる人びとの反応の違いを、彼らの居住地から説明しようとしたものである。結論として、自己の居住圏に近ければ近いほど、観光地に対して非日常的な目で見ることはできず、結果、厳しい評価をくだす傾向があると主張している。(研究代表者:三島康雄)

・「〈奈良県観光調査〉の特徴――『調査』という営みにおけるその位置づけ」(単著)1997年3月、『平成8年度 奈良県観光実態調査報告書(T)――平成9年度奈良県観光実態調査実施のための準備作業』、pp.4-18
 既存の行政調査の中には、調査法、分析法ともにあまりにもずさんな方法を採用しているものもある。そこで本章では、観光に関わる行政調査の調査法、分析法等のあり方について今後の方向性を整理しまとめたものである。(研究代表者:三島康雄)

・「『入り込み客数』調査の計画と推定方法」(単著)1997年3月、『平成8年度 奈良県観光実態調査報告書(T)――平成9年度奈良県観光実態調査実施のための準備作業』、pp.19-44
 奈良にはどれくらいの観光客が毎年、訪問するのか。こうした入り込み客数については、これまで科学的に調べられることはなかった。そこで本章は、入り込み客数の算出について科学的な規約に沿った方法を用いて行なわれるべきだと提言したものである。(研究代表者:三島康雄)

・「阪神大震災におけるマスメディアの役割」(単著)1997年3月、(株)原子力完全システム研究所ワークショップ阪神・淡路大震災研究会『平成8年度 阪神・淡路大震災における危機管理のあり方――行政・企業・地域住民を中心に』、pp.17-54
 本章では、とくに新聞記事に注目し、その記事について統計的に内容分析を行なうことにより、阪神・淡路大震災においてマスメディアが果たすべき役割について検討した。(研究代表者:倉田和四生)

・「街頭面接調査の概要」(単著)1998年3月、『平成9年度 奈良県観光実態調査報告書』、pp.18-20
 本章は、平成8年より奈良県から委嘱された「観光実態調査」について実施されたものの内、該当面接調査の概要を記したものである。(研究代表者:三島康雄)

・「街頭面接調査の単純集計」(単著)1998年3月、『平成9年度 奈良県観光実態調査報告書』、pp.21-61
 本章は、平成8年より奈良県から委嘱された「観光実態調査」について実施されたものの内、該当面接調査の単純集計を記したものである。(研究代表者:三島康雄)

・「『奈良に対する期待感』をめぐる考察」(単著)1998年3月、『平成9年度 奈良県観光実態調査報告書』、pp.62-69
 本章は、平成8年より奈良県から委嘱された「観光実態調査」について実施されたものの内、該当面接調査のデータを用い、奈良に対する期待感について検討したものである。奈良に対する期待感の%を「観光客の欲求」と「現状の充実度」との関数としてとらえ、今後の奈良観光のあり方について提言した。(研究代表者:三島康雄)

・「危機管理における情報ネットワークのあり方」(単著)1998年3月、(株)原子力完全システム研究所ワークショップ阪神・淡路大震災研究会『平成9年度 阪神・淡路大震災における危機管理のあり方――行政・企業・地域住民を中心に』、pp.65-77
 本章では、阪神・淡路大震災の事例を通じて、災害時における地域の情報ネットワークのあり方について考察した。災害初動時にとくに必要とされる安否確認、救援物資確保、ボランティア依頼に関して情報がいったいどのように繋がったのかを事例を通じて検討し、そこに共通する関係のあり方を抽出した。さらにネットワーキング・ボランティアとも言うべきキーパーソンが存在することを明確にした。(研究代表者:倉田和四生)

・「街頭面接調査」(単著)1999年3月、『平成10年度 奈良県観光実態調査報告書』、pp.16-200
 本章は、平成8年より奈良県から委嘱された「観光実態調査」において実施されたものの内、該当面接調査の最終結果の概要、単純集計を記し、そのデータを用い今後の奈良観光のあり方について提言したものである。(研究代表者:三島康雄)



8. 口頭発表
・「作業組織における小集団活動に内在するメカニズムの役割――ある製鋼会社の事例研究を中心に」(単独)1993年10月、第66回日本社会学会(東洋大学)
 本発表は、日新製鋼株式会社周南製鋼所を事例とし、二度にわたり従業員に数日間インタビューを重ねたものである。とくにQC活動に注目し、従業員による小集団活動に内在する意味付与のメカニズムを明らかにした。結論として、小集団活動での相互作用の中で職場の人間関係・作業そのもの・会社組織全体に対する意味付与がなされ、結果、それが作業能率向上にも結びつき得ると結んでいる。

・「観光という『イメージの織物』――奈良を事例とした考察」(単独)1997年11月、第70回日本社会学会(千葉大学)
 観光メディアを通じ、地域イメージはたえず再生産されつづけている。本発表は奈良を事例とし、和辻哲郎や亀井勝一郎による奈良への旅の諸相について分析した後、地域イメージを再生産するうえでメディアが重要な役割を果たしていることを内容分析と質問紙調査から明瞭にした。さらにツーリストがメディアによる地域イメージを主体的に読み解いている姿を浮き彫りにした。

・「ライススタイルの実践としての観光経験」(単独)2000年12月、第15回日本観光研究学会(九州産業大学)
 1970年代以降、脱近代社会への移行に歩調をあわせるかたちで、人々のライフスタイルも少しずつ変容している。では観光経験はライフスタイルの実践として、脱近代的なあり方をみちびきだす上でいかなる影響を与えるのだろうか。これついて本発表は、因子分析や回帰分析等の統計手法を用い質問紙調査のデータを分析し考察した。その上で、遊びの要素が新たなライフスタイルを生みだす上で重要となることを明らかにした。

・「観光都市の表象、表象の観光都市――シカゴを事例とした考察」(単独)2001年11月、第74回日本社会学会(一橋大学)
 本発表では米国シカゴを事例としながら、シカゴの観光空間をめぐるツーリストの知覚と、シカゴを描いた映画を分析した。これにより「見る」というツーリストたちの知覚と観光空間が、メディアを媒介として相互的な「含みあい」の関係にあり、それゆえツーリストの知覚は表象の作用に方向づけられながら観光空間と可逆的な関係にあることを明らかにした。これは既存の都市社会学の射程にはない新たな都市空間論の模索でもある。

・「神戸の観光空間にひそむ『風景の政治学』」(単独)2003年10月、第76回日本社会学会(中央大学)
 本報告では神戸の観光空間を事例としながら、空間と知覚が密接に関わるものとして「風景」のあり方を分析した。まず神戸の観光空間について簡単に紹介し、観光情報誌において神戸がどのように表象されているのか述べ、その後、神戸の観光空間の形成史についてふれた。その際、「ミナト神戸」が生成してくる状況をも考慮しつつ、別の風景が「観光のまなざし」にふれないように監視するまなざしと二重のものとして、ある風景を観光において見る「観光のまなざし」が作動していることを指摘した。

・「奈良市における新たな観光ブランドの創造」(単独)2004年2月、都市、地域および観光に関するワークショップ(愛知大学)
 本発表では、「古都奈良」という観光ブランドが明治以降に創られたものであることを指摘し、新しい観光ブランドが奈良市において創られようとしていることを述べた。このことを通して、観光における「伝統の創造」が奈良においても見られることを描写している。

・「Tourist Spots as Texts written by Media Images」(単独)2004年5月、Workshop on Place, Memory and Identity in "New Asia"(National University of Singapore)
 According to Boorstin, tourists do no more than see media-created images. He argues that tourists' experiences are only the "pseudo-events" that media create, and therefore these experiences are superficial and contrived in nature. Tourists, however, do not simply accept media-created images passively. Going beyond the scope of Boorstin's analysis, I argued that tourists use "bricolage", and subjectively "read" the tourist spots as texts written by media images. This "reading" can be considered equivalent to the "negotiated reading" that Stuart Hall discusses in his cultural studies. In conclusion, I suggested that tourists transform the structure of the media-created images, despite being strongly influenced by the media that reproduces the images of tourist spots.