ネロの母親が死ぬところから、ネロの「復活」まで描いた、ハッピーエンディング版を見ました。マルチエンディングで、原作同様の終わり方をするバージョンも国によって公開されているようです。
日本のアニメと大きく違うのが、パトラッシュが黒のむく犬になっているところでしょう。ネロやアロアが比較的よく似ているのに対して、アニメに慣れた日本人には違和感があります。ネロとアロアは幼年時代と大きくなってからとで役者を変えています。幼年時代のは、髪型といい服装といい、日本のアニメを意識しています。幼年ネロは、はっとする美少年で、ショタ好みの人にはおすすめ(違う)。
他にアニメと違うのは、パトラッシュのもとの飼い主におじいさんがお金を出して買い取るのではないこと、アロアの家が「裕福な自作農」として描かれていること、反面、風車小屋を燃やしてしまう男がネロの地主であることなどです。また、画家の先生とネロとの関係が、日本のアニメよりも濃く描かれています。
役者を途中で変えて、年齢を高くしたために、ネロとアロアの関係も幼なじみというよりも淡い恋という感じになっています。これ以上、ネロを大きくすると「絵なんか描いていないで働きなさい」となってしまう、ぎりぎりです。日本のアニメの年齢でやると、よほどの子役がいないと映画が、もたないかもしれません。コンテストに応募する以上、ハリウッド版のほうが自然かも。また、アロアの父がはたき者の自作農にしたため、雪の中に財布を落として大慌てするシーンにも説得力が増しました。アロアの母親、すてきなお母さんです。
ネロのおじいさん、画家の先生の演技もよく、いい映画になっています。やはり、最後は落ちつかないですね。木に竹を接いだような、夢落ちもどきになってしまいました。アンハッピー・エンディングでも、別に天使が空から降りてくる描写はないのだろうと思います。