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柱カウンターウェイト検証実験(前編)


4.まとめ

□今回の実験結果のまとめ

・浮き上がりに対し、柱を押さえ込もうとする力を柱長期軸力で算定すると、実際の柱カウンターウェイトよりもかなり小さい値で算定される。

・梁の持ち上がり方は、まず優先梁が持ち上がり、続いて優先梁に取り付いた梁が持ち上がる。

故に柱カウンターウェイトの負担面積は梁の取り付き方によって大きく左右される。

・浮き上がり量の少ない弾性範囲内の変形では、梁の持ち上がり方が直線的であると考えられる。

・梁の浮き上がりが大きくなり弾性範囲を超えてしまうと、梁の持ち上がり方は3次曲線的になると考えられる。


□今回の実験を次回の実験へ繋げるために

・負担面積の影響が広範囲にわたるということが確認できたので、変位計の数を増やすこ とが必要であると考えられる。

特に内部柱については、隅角部柱にかかる変位計の数に対して2〜3倍が必要となる。

・梁の持ち上がり起点をより正しく推測するためにも、梁への変位計は浮き上がる柱からなるべく近距離(半間程度)に設ける。

・梁の持ち上がりによる男木女木等の継ぎ手の影響を検証する必要性がある。

・直交梁と床面がない場合(吹き抜けや階段室等)において柱カウンターウエイトを検証する必要性がある。

・垂木と母屋等で構成された下屋の勾配構面による柱カウンターウエイトの影響を検証する必要性がある。


以上のことが検証できれば、建物全体レベルでより詳細な柱カウンターウエイトを確認することができ、今後の設計法(特に終局強度設計法)には特に有益だと思われる。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2004